愛媛大学医学部附属病院 先端医療創生センター

部門紹介

イメージングインフォマティクス支援ユニット

スタッフ一覧

  • 齋藤 卓(ユニット長)

ユニット概要

近年の顕微鏡を用いたバイオイメージング技術の発展により、組織・個体における生命現象の複雑な時空間動態が、分子・細胞レベルの空間スケールで観察できるようになってきています。このイメージング技術の発展に伴い、画像データから画像解析を通じて生命動態情報を定量的に抽出する技術も発展しています。自動化や、ハイスループットに重点を置いた研究は「バイオイメージインフォマティクス」と呼ばれ、いままさに発展しつつある研究分野です。このような研究は従来の生物・医学と光学・情報科学・数理科学を結びつけた融合分野であり、今後のイメージングに基づく定量性を備えた生物・医学研究にとって欠かすことのできない技術になります。
イメージングインフォマティクス支援ユニットでは、新規画像情報取得の自動定量化法の開発とその技術の生物医学応用展開を目指した研究を進めています。バイオイメージング部門との連携を図り、先端的な2光子励起顕微鏡を用いたin vivo深部イメージングや超解像イメージングと連動した解析技術の開発を行っています。また、数理モデリング技法とコンピュータシミュレーションを駆使してタイムラプス画像から生体機能ダイナミクスを抽出する研究も行っています。開発した技術を医学応用することで新規病態診断法の提案を目指しています。

研究紹介

第2高調波像のパターン解析 

第2高調波発生(Second Harmonic Generation; SHG)は2次の非線形光学効果によって誘起される現象であり、この現象を介して入射波の2倍の周波数を持つ光を観察することができます。SHGは非中心対称性を有する物質中で誘起され、生体内においてはミオシンやコラーゲンなどがこの光を効率的に発生します。図Aはメダカの体幹部分の2光子励起顕微鏡を用いた観察像の3次元画像表示(左)と2次元画像表示(右)です。緑色に表示された部分は神経組織であり、青色で表示された部分がSHG像になります。このSHGは、筋肉組織のミオシンから発生しているものと考えられます。画像を見てわかるように、SHGは筋肉組織全体から発生しているもののその空間強度分布には規則的なパターンがあるように見えます。我々は現在、このような繊維構造物の「質感」を数値化する新規画像解析手法の研究開発を進めています(図B)。この画像解析手法の医学への応用展開として、コラーゲン繊維の損傷や異常形成が原因となって起こる、例えば変形性関節症のような、病気の病態把握や診断技術開発へと繋げる研究も行っています(Biomed Opt Exp 6(2):405-420, 2015)。

コンピュータシミュレーション技術を駆使した生体画像解析

生体組織は、多数の細胞が集まることで形成されます。組織の中で細胞は、細胞分裂・細胞死・遊走など様々な細胞活動を行い、組織はそれらが複雑にからみあいながら動的に保たれます。したがって、生体組織機能は個々の細胞の総体として理解されなければなりません。このためには、分子・細胞レベルの現象を可視化する先端イメージング技術の進歩はもちろん、それに加えて、個々の細胞の動態から組織全体の振る舞いを推定する解析手法の発展が必要になります。これまで我々は脊椎動物のモデル生物であるゼブラフィッシュの胚発生現象を研究対象として蛍光ライブイメージングとコンピュータシミュレーションを組み合わせた組織成長リズムを推定する解析手法の研究に取り組んできました(PLoS Comput Biol 10(12): e1003957, 2014)。現在、我々はこのような解析手法の開発をさらに進めており、将来的には、がんのような病的な組織形成へ応用することで新たな病態把握・診断技術の提案に繋げたいと考えています。