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1、中枢神経内での伝導路形成

 神経系の臓器としての特殊性は神経系全体が一つの神経回路網を形成していることにある。

従って、神経科学の王道は神経回路の解析にあるといっても過言ではない。神経回路網の複雑
さは、ともすると「脳は脳を理解できるか」という反語的な疑問を投げかけ、研究者の無力感
を誘うが、神経系を一つのブラックボックスとして扱うだけでは前進は少ない。      

複雑な神経回路網をほぐす一つの手がかりは発達期のまだ単純な回路網の解析に有る。   
個体発生的に初期の未熟な伝導路は成体ではより高度な伝導路により置き換わってしまうこと
は考えられ得ることである。                             

しかし、初期の伝導路はある意味でその個体の生命維持にかかわるような基本的かつ重要な回
路である可能性も高いのである。                           

余談になるが、ある高名な学者が「ものごとの本質を見抜く二つの方法はゆさぶりと起源の解
明である」と言っておられた。ゆさぶりとは実験であり、起源の解明とは発生学とも言える。

本教室は中枢神経内での伝導路解析をメインテーマの一つとし、初期伝導路の研究を行ってい
る。神経発生の分野は研究テーマの宝庫であり解明すべき多くの問題点が研究者を待っている。

若き研究者の参加を期待する。                            

ある高名な学者:                              
この先生は同時にたとえ話として若い人達の異性の見極め方(これは神経回路の研究より難
しいかもしれない)としても同様の方法が可能であると言われた。まず、ゆさぶりとは多くの
問題点を投げかけること、起源解明とはその人がどのような行動パターンを取ってきたかを親
や友人に聞くことである。そうすれば一見解明困難と思われる成人でもその本質を見抜くこと
が出来るのであると。                                



2、宇宙環境での中枢神経系の変化

平成11ー13年度において宇宙フォーラムからの研究費を得て、宇宙環境での胎児神経の発
達に対する影響を明らかにする。特に無重力状態のシナプス発生、神経細胞の分化、神経細胞
死に対する影響を中心に検討したい。                         

宇宙環境の無重力状態では、骨格筋等に加わる力も少なく、従って脊髄運動ニューロン等の発
達に差が生じる可能性が高い。我々は、電子顕微鏡モンタージュ写真を用いて脊髄シナプス発
生を研究してきた。本研究の最終目的は鶏胚や妊娠マウスを地上と無重力環境で飼育し、脊髄
を初めとし、延髄、橋、小脳、中脳、間脳、終脳における両環境での神経発達の違いを明らか
にすることである。                                 




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