熊木 天児

熊木 天児 – Kumagi Teru –

専門分野 消化器内科(特に肝胆膵)、総合診療科、地域医療、プライマリケア、医学教育、医学英語

 

卒業

平成7年

所属学会・資格

医師免許(日本およびカナダ・オンタリオ州)
日本内科学会(認定医・指導医・四国支部会評議員)
日本プライマリケア学会(認定医・指導医)
日本病院総合診療医学会(認定医、特任指導医)
日本消化器病学会(専門医・指導医・全国評議員)
日本消化器内視鏡学会(専門医・指導医・全国評議員)
日本肝臓学会(専門医・指導医・西部会評議員)
日本膵臓学会(指導医)
日本胆道学会、日本超音波医学会、アメリカ消化器病学会

受賞歴

第24回日本病院総合診療医学会学術総会 育成賞/指導医賞(2022年)
愛媛医学会賞(2021年)
愛媛大学大学院医学系研究科優秀論文賞 最優秀賞(2020年)
愛媛大学医学部医学科Best Teacher賞(2019年)
愛媛大学医学部医学科Best Teacher賞(2018年)
愛媛大学医学部医学科Best Teacher賞(2017年)
愛媛大学医学部医学科Best Teacher賞(2016年)
愛媛大学医学部医学科Best Teacher賞(2015年)
愛媛大学医学部医学科Best Teacher賞(2014年)
愛媛大学医学部医学科Best Teacher賞(2013年)
愛媛大学医学部医学科Best Teacher賞(2012年)
日本膵臓病研究財団膵臓病研究奨励賞(2012年)
国際膵臓研究フォーラム最優秀演題賞(2011年)

自己紹介

消化器内科を専門とする。2006年にカナダ・オンタリオ州医師免許を取得し、トロント大学消化器内科(肝疾患センター)で約4年間診療に従事。帰国後、膵臓病の診療および研究にも新たに挑戦。2011年に国際膵臓研究フォーラム最優秀演題賞、2012年に日本膵臓病研究財団膵臓病研究奨励賞を受賞。関心事は消化器疾患のみならず内科全般、プライマリケア、地域医療と多岐にわたり、大学病院では総合診療科外来も担当。臨床研究にも従事し、関与した英語論文は150編以上。2019年度愛媛大学大学院医学系研究科最優秀論文賞、2021年度愛媛医学会賞を受賞。最も力を注いでいるのは医学教育。2020年に総合臨床研修センター長、2021年に同センター教授に就任。

ひとこと

私たち医師に課せられた役割は診療・研究・教育ですが、その中でも大学で勤める教員に与えられている最も特徴的な役割が教育です。海外専門診療から地域医療・プライマリケアまで幅広い分野での経験を1人でも多くの医学生・研修医・若手医師に伝え、熱く指導したいと思います。そして、共に学んで行きたいです。

主要論文

  1. Kumagi T, et al. Increased survival and decreased tumor size due to intratumoral injection of ethanol followed by administration of immature dendritic cells. Int J Oncol 2003: 23: 949-955.
     
    臨床研究が主体のため意外と思われがちですが、学位論文は樹状細胞を用いた癌免疫療法に関する基礎実験でした。
  2. Kumagi T, et al. Recent clinical features of Wilson’s disease with hepatic presentation. J Gastroenterol 2004; 39: 1165-1169.
     
    愛大病院開院以来のWilson病16例のまとめです。少数例ながらも特徴を掴んでいるということでアメリカ肝臓学会診療ガイドラインに引用されております。
  3. Kumagi T, et al. Administration of dendritic cells in cancer nodules in hepatocellular carcinoma. Oncol Rep 2005; 14: 969-973.
     
    樹状細胞を用いた癌免疫療法が一斉を風靡していた頃、世界で初めて腫瘍局所に直接患者由来の樹状細胞を注入したpilot studyです。
  4. Kumagi T, et al. Hepatocellular carcinoma for the non-specialist. BMJ 2009; 339: b5039.
     
    Toronto時代のこと、あの世界5代誌と言われているBMJにHCCに関して非専門医向けの総説を書く機会を頂きました。
  5. Al-Harthy N, Kumagi T, et al. The specificity of fatigue in primary biliary cirrhosis: Evaluation of a large clinic practice. Hepatology 2010; 52: 562-70.
     
    Torontoでは同僚とともに論文を量産しましたが、オマーン出身の同僚(2児の母)の指導者として完成したPBCの疲労感に関する論文です。
  6. Kumagi T, et al. Baseline bile duct loss and treatment response predict long-term histological progression in primary biliary cirrhosis. Am J Gastroenterol 2010; 105: 2186-94.
     
    UDCA治療中PBC患者の予後予測因子を同定した論文です。Toronto criteriaとしてNEJMに掲載されてるstudyの基準となり、各種ガイドラインにも引用されている最も感慨深い論文です。私が筆頭あるいはコレスポの論文で最も引用されております。
  7. Yamanishi H, Kumagi T, et al. Clinical significance of B cell-activating factor in autoimmune pancreatitis. Pancreas 2011; 40: 840-845.
     
    帰国後、膵疾患診療および臨床研究を開始し、AIPの病態にBAFFが関与していることを示した論文です。アメリカ消化器病週間ではトップ1%の演題に選ばれ、後にヨーロッパとの共同研究に繋がりました(Gastroenterology 2012; 143: 1361-74.)。
  8. Kumagi T, et al. Biliary atresia and survival into adulthood without transplantation: a collaborative multi-centre clinic review. Liver Int 2012; 32: 510-518.
     
    自身主導の多国籍共同臨床研究でした。22例と少数例ながらも胆道閉鎖症患者のマネージメント、移行期診療に警鐘を鳴らす論文となりました。そして、6-7年後に日本でも肝疾患の移行期診療が注目されるようになりました。
  9. Seleznik GM, et al. Lymphotoxin β receptor signaling promotes development of autoimmune pancreatitis. Gastroenterology 2012; 143: 1361-74.
     
    先行する論文(Pancreas 2011; 40: 840-845.)が契機で共同研究の申し入れのあった研究です。特に稀少疾患の場合、血清保存が如何に重要であるのかを物語っております。
  10. Nakamura M, et al. Genome-wide association study identifies TNFSF15 and POU2AF1 as susceptibility loci for primary biliary cirrhosis in the Japanese population. Am J Hum Genet 2012; 91: 721-8.
     
    PBCの遺伝子感受性に関する論文です。研究の同意を得るのは余分な労力かもしれませんが、大学に勤める者にとって研究は重要な任務です。同意して頂いた皆様感謝の気持ちで一杯です。
  11. Kuroda T, Kumagi T, et al. EPOCH Study Group. Improvement of long-term outcomes in pancreatic cancer and its associated factors within the gemcitabine era: A collaborative retrospective multicenter clinical review of 1,082 patients. BMC Gastroenterol 2013, 13:134.
     
    膵疾患臨床研究の立ち上げ当初は途方に暮れましたが、県内の先生方にご協力を頂き、愛媛胆膵疾患研究グループ【Ehime Pancreato-cholangiology(EPOCH)Study Group】を設立しました。処女作は、愛媛県内の膵癌診療の実態を示した論文です。
  12. Trivedi P, Kumagi T, et al. Good maternal and fetal outcomes in pregnancy associated with primary biliary cirrhosis. Clin Gastroenterol Hepatol 2014;12:1179-1185.
     
    避妊手術歴のあるPBC患者が多いことがとても気になって立ち上げたプロジェクト。PBCと妊娠に関する先行研究はほとんどなく、終わってみれば世界で最も情報の多い論文となりました。結論として妊娠・出産は現実的であります。
  13. Trivedi P, et al. Optimising risk stratification in primary biliary cirrhosis: AST/platelet ratio index predicts outcome independent of ursodeoxycholic acid response. J Hepatol 2014: 60; 1249–1258.
     
    発表の頃は、UDCA治療を受けているPBC患者の予後予測因子を解明する研究が乱立し始める頃であり、約1,000人の患者さんでAPRIを用いて予後を判断するものでした。
  14. Lammers WJ, et al. Global PBC Study Group. Levels of alkaline phosphatase and bilirubin values are surrogate endpoints of outcome for patients with primary biliary cirrhosis – an international follow-up study. Gastroenterology 2014; 147: 1338-49.
     
    やはり、PBCの予後予測因子に関する内容であり、世界中の著名な施設が参加し、約5,000人による解析です。しかも、ALPとBilだけでできるとしたものです。シンプルさが受けたのだと思います。The cheaper and the easier, the betterですね。
  15. Koizumi M, Kumagi T, et al. An unusual case of abdominal pain. Gastroenterology 2015; 148: e1-2.
     
    IMPNの“pig nose appearance”提唱となった論文です。症例報告であってもcatchyであれば、消化器系最高峰であるGastroenterologyに掲載されることが分かりました。日常的に行っているカンファレンスでの言葉のキャッチボールは大切ですね。
  16. Lammers WJ, et al. Global PBC Study Group. Development and validation of a scoring system to predict outcomes of patients with primary biliary cirrhosis receiving ursodeoxycholic acid therapy. Gastroenterology 2015; 149: 1804-1812.
     
    先行研究(Gastroenterology 2014; 147: 1338-49.)よりも確実性を持たせた研究であり、稀少疾患であるPBC患者6,000人以上のデータ解析より得られました。スマホに年齢、Bil、Alb、ALP、血小板数を打ち込めば算出されます。
  17. Trivedi P, et al. Stratification of hepatocellular carcinoma risk in primary biliary cirrhosis: a multicentre international study. Gut. 2016; 65: 321-329.
     
    PBCも肝細胞癌の危険因子です。しかし、PBCの診断のついた皆さんがそうでしょうか?その問いに答えた論文です。日常の診療で疑問に答えるのが臨床研究です。会ったこともない患者さんに役に立てると言うのは臨床家としての醍醐味です。
  18. Ohno Y, Kumagi T, et al. EPOCH Study Group. Early pancreatic volume reduction on CT predicts relapse in patients with type 1 autoimmune pancreatitis treated with steroids. Orphanet J Rare Dis. 2016; 11: 103.
     
    稀少疾患であるAIPはステロイド治療に反応する反面、再燃率の高いのも特徴です。しかし、それを予測する因子には様々な報告があり、一定の見解のないのが現状です。そこで、膵容積の変化で再燃を予測できるとしたものです。
  19. Kuroda T, Kumagi T, et al. EPOCH Study Group. Efficacy of chemotherapy in elderly patients with unresectable pancreatic cancer: a multicenter review of 895 patients. BMC Gastroenterol 2017; 17: 66.
     
    EPOCH Study Groupとしては重要な論文です。高齢者膵癌診療の問題点を追究しました。ますます進む高齢化社会に問題を提起してくれました。今後は治療法の至適な選択が求められ、これを明らかにしていきたいです。
  20. Kumagi T, et al. Early detection of pancreatic cancer in patients with chronic liver disease under hepatocellular carcinoma surveillance. Mayo Clin Proc. 2019; 94: 2004-2010.
     
    膵臓を調べる目的ではなく受けた検査で、偶然にも膵臓に異常が見つかることがあります。無症状であっても早期膵癌を見逃さないためにも、専門医のもとで精査を受ける重要性、特に主膵管拡張の精査が早期診断に繋がることを強調しております。