プログラム紹介

プログラム概要

申請大学名 愛媛大学
プログラム名
(全角20字以内)
医学科大学院からの基礎研究医養成コース
事業責任者
連絡先
職名・氏名 医学系研究科医学専攻教授 田中 潤也
TEL 089-960-5241
FAX 089-960-5242
事務担当者
連絡先
統括事務 医学部総務課総務チーム
TEL 089-960-5125
FAX 089-960-5131
E-mail mesyomu@stu.ehime-u.ac.jp
学生関係事務 医学部学務課大学院チーム
TEL 089-960-5868
FAX 089-960-5133
E-mail mgakumu@stu.ehime-u.ac.jp

1.事業の概要・特徴

少数の学生を特殊な養成コースに所属させる東京スカイツリー型のシステムは成功は難しいと考えます。世界に通用する基礎研究医になる人物を実績なしで見いだすのは不可能であり,群れでの行動を好む現在の学生気質には合わないことがその理由として挙げられます。そこで我々は,医学科1年生からの必修科目「医科学研究(研究室配属)」を出発点として,遙かな高みを目指す裾野の広い富士山型の研究医養成コースを整備いたします。これは,学部生を初・中・上級と発展する学生研究員として育てる医学科大学院制度(大学院科目等履修生を含む)を経て,学部卒業直後に大学院に入学,1・2年は臨床研修/3・4年は研究支援・国際化支援を受ける制度です。学部から大学院に続く長期の研究経験とSA/TAとしての指導者経験を積み重ね,生涯基礎医学分野で生きていくという確信を得た学位取得者には,テニュアトラック教員/助教/留学というキャリアプランを明確に提示いたします。

2.事業実施の必要性

<課題>

平成24年度には学部卒業直後の基礎系大学院生5名が誕生し,学部学生による全国規模の基礎系学会での発表は18件でした。しかし,これらの若者が基礎研究医を目指すと決めたわけではありませんでした。世界に通用する創造性,研究技術,粘り強さと積極性,教育者としての資質など,基礎研究医に求められるものは多岐にわたります。我々は,山積する医学医療の難問に挑戦する意志と,ライフサイエンス発展に寄与出来る研究力を有し,教育者として後進から慕われ,研究室や大学のマネジメントにも能力発揮が期待出来る基礎研究医育成を目指します。

(1)人材発掘と学生のモチベーション

この目標に対して,最も重要な一歩は,意志と能力ある人材の発掘と捉えています。新入生107名からの人材発掘を目的の一つとして,1年次に「医科学研究Ⅰ」を開講しております。しかし,1年生にとって基礎研究医としての自立はあまりにも遠い目標であり,モチベーションを上げることは難しいと言えます。

(2)医学科大学院

学部卒業直後に社会人(初期研修医)として大学院に入学する制度を設けておりますが,2年間は臨床研修に専念させるため,実質的な研究期間は2年足らずです。研究期間の不足を学部時代の研鑽によって補う制度が「医学科大学院」であり,学部5/6年次に大学院講義科目10単位を取得する科目等履修制度も含みます。しかし,基礎系研究室では予算的制約が大きく,研究機器整備も一般的学生実習レベルに留まる現状があります。基礎研究医の枯渇により,屋根瓦式指導による後進育成機能が停滞して久しく,そこに,【モチベーションの低い学生】が加わってますます,基礎系教員の意欲を削ぐ悪循環が存在しています。

(3)大学院医学専攻

基礎系大学院への入学は容易な決断ではありません。身近にロールモデルがなく将来のキャリアプランが見えません。基礎系研究室の多くは研究費が少なく,大学院生が自ら望むプロジェクトには予算が回らない現状があります。存分に研究をし,世界に成果を投げかける経験がなくては,基礎研究医としてやっていく決断は下せません。臨床系とは異なり,経済的な不安もあります。現在,愛媛大学大学院医学専攻では,基礎-臨床連携指導制度を確立し,基礎系講座に所属する場合は,臨床系教授を副指導教員に指定し,臨床系副指導教員が研修終了後の医師としてのアルバイト先の斡旋や,もし基礎を断念した場合には専門研修に進めるよう調整するなどの役割を果たすことになっております。また,臨床医学に還元できるTranslational Researchの推進,基礎医学の世界で生きていく意志の再確認,医師収入による経済的基盤の確立等のため,本養成コースでは2年間の臨床研修期間を重視していますが,研修終了後に積極的に基礎へ進路を取れるような制度作りは十分ではありません。

<対応策>
(1)(2)への対応:学生研究員制度 / 初級・中級・上級学生研究員

学部のレベルを超えて基礎研究の研鑽を積む学生を「学生研究員=医学科大学院生」に認定し,後輩の指導や,研究室の管理運営に関与させます。その目的は,能力ある学生の選抜,学生研究を推進する雰囲気作り,ステップアップする目標設定,クラブ活動的な屋根瓦式指導体制の確立,世界レベルの成果を伴う研究能力養成です。【学生研究員の認定】基礎系学会の学生会員となり,筆頭演者として成果発表をした学生を「初級学生研究員」とします。「学生研究員」は毎年,筆頭演者として学内の「医科学研究発表会(9月)」と「医学専攻研究発表会(3月)」,および所属学会での発表を義務づけ,SA(Student Assistant)として後輩の研究指導や研究室の管理運営に関与します。「初級」認定後1年以上の研究歴を持ち,インパクトファクター2.5以上の原著論文の筆頭著者となれば学部長表彰を受け「中級学生研究員」に昇進します。中級で更に1年の研究歴を積み,外国人教師による集中英語レッスンを受け,国外の学会で発表することで「上級学生研究員」となります。3年以上の学生・教員双方のたゆまぬ努力がなければ「上級」にはなれず,ここに至れば,基礎医学分野で生きていく確信も芽生えるはずと考えます。SAが後輩を教えるシステムは,群れで行動することを好み,単独での決断が困難な現在の学生気質にフィットし,「教えることが最善の学習方法」という原則にも合います。ステップアップ式の目標は,粘り強いモチベーションを引き出せます。5/6年次の学生研究員は科目等履修生として大学院講義を受講します。※参考:平成24年度,愛媛大学医学部医学科で「初級」が認定できるのは約15名,「中級」約5名の見込み。上級は未定。

(1)(2)への対応:医科学研究/「学生研究員」指導にかかる経費支援

「医科学研究」は,3年半におよぶ実験実習系教育科目です。この教育経費に対する予算措置は十分ではありません。学生研究員数に応じて「医科学研究」に要する消耗品費を支給いたします。

(1)(2)(3)への対応:国際化支援

海外での学会発表前に,医学英語担当の米国人教師に個人レッスンを依頼,その費用を負担します。上級学生研究員および学位論文(英文原著)の公表が確約された大学院生に対し,短期海外留学を支援いたします。

(1)(2)(3)への対応:双方向型学セミナー

有力基礎医学研究者の講演と学生/大学院生の成果発表を組合わせ,双方向型の研究者育成教育を行います。大学自己負担による事業として,★ウインタースクール(研究志向学生の研修合宿)★上級学生研究員・大学院生提案型プロジェクト推進★基礎系大学院生のTA/RA任用。高校生に向けて,本事業を広報いたします。

3.事業の成果及び効果

大学院医学専攻(基礎系)を修了し学位取得するものを年間5名輩出いたします。そのなかから,基礎医学系の研究者/教育者としてキャリアを継続すると決断したもの3名を見出し,テニュアトラック教員/任期付助教/留学の3つの選択肢を提示いたします。この3名は,山積する医学医療の難問解決に向かって挑戦する意志と,ライフサイエンス発展に寄与出来る研究力を有し,教育者としても後進から慕われる指導をし,研究室や大学のマネジメントにも能力が発揮出来る人物です。なお,マネジメントや教育については,愛媛大学が推進しようとしている新たなテニュアトラック制度においても具体的な教育がなされております。これらの成果は,日本のライフサイエンス発展と医学医療の水準向上に直結します。また,愛媛大学の活力は間違いなく向上します。なお,学生研究員は,2年目以降各年度初級20名, 中級5名,上級5名を確保するよう事業を展開いたします。

4.事業の運営体制

学部教育担当の教務委員会と大学院教育担当の学務委員会をまたぎ,現在の医科学研究,医学科大学院や学部-大学院連結型教育を担当する「研究者育成委員会」が本事業を統括します。中心的な委員は,医学部長(兼 研究科長),医学科長(兼 医学専攻長),教務委員長(兼 総合医学教育センター長),学務委員長(兼 研究者育成委員長),臨床研修センター長(大学院生の研修指導)です。さらに,学部生・大学院生の指導に当たる基礎系教授の集まりである,基礎系教授懇談会で事業推進についての意志統一を図ります。

5.事業の評価体制

事業評価は,「研究者育成委員会」が担当し,医学専攻会議(教授会)で総括します。主たる評価指標は,学生研究員の認定数,国内/国際学会発表数,論文数, 留学者数,基礎系大学院入学者数,基礎医学系大学院を修了し,テニュアトラック教員,助教,留学等,生涯を基礎医学分野でやり抜くと決断した者の数とします。また,5カ年の事業前半では,大学院修了者がいないため,学部教育における「医科学研究発表会」,大学院教育(学生研究員や科目等履修生を含む)における「医学専攻研究発表会」の基礎医学系演題数の推移も成果指標として扱います。これらの成果を基礎医学系学会の中国四国地区地方会等および全国規模の学会での教育系シンポジウムで発表し,外部からの意見も取り入れます。学生研究員や大学院生のアンケートも定期的に行い,批判的意見も募ったうえで,事業推進方法の見直しも含めた柔軟な運営を心がけます。なお事業推進の中間になる平成26年度秋に,基礎研究医養成に力を入れる中四国地区大学の先生方にご参集願い,基礎研 究医養成システムに関するシンポジウムを開催する計画です。

6.プログラム修了者のキャリアパス構想

プログラム修了者(大学院医学専攻4年課程を修了し,学位を取得したもの)のうち,基礎医学の道を最終的に選択したものに対して,次の3つの選択肢を提示いたします。

(1):5年任期のテニュアトラック制度:愛媛大学全体として本年度より開始する制度で,医学専攻では,基礎医学系に限定して適用。教育,研究,マネジメントの3方面で充実した研修プログラムを準備しており,中間審査,最終審査を経て講師に採用されます。

(2):助教(3年任期付き特定教員):大学院時代の研究を発展させる必要のあるケースを中心に適用します。なお,定年退職を迎える教員が今後増えてくることから,通常の定員内助教として採用される場合もあり得ますが,この場合も任期制を厳格に適用いたします。

(3):留学:研究能力の一層の発展を目指すキャリアパスです。留学先については,基礎系教授懇談会が責任を持って選定いたします。

7.補助期間終了後の事業継続に関する検討状況

医学系研究科医学専攻の自己負担額約450万円を継続し,基礎医学系講座での「医科学研究」推進を緩めず,入り口部分での人材発掘に勉めます。また,現在,ウインタースクールや学部生の学会旅費等の支援を受けている愛媛大学教育改革促進事業(愛大GP:平成23-24年度,課題名【医学科大学院制の確立:学部-大学院一体化による医学研究者/医学教育者/指導的医師の育成】)のような愛媛大学負担の予算獲得を維持することを目指します。