専攻長・学科長挨拶
看護は、様々な健康上の問題をもつ人々の生活を支える仕事です。生活とは、食事、排泄、睡眠など誰もが毎日繰り返している営みですが、同じようにみえる生活の中にも人それぞれの嗜好、大切にしているものや習慣があります。看護は対象となる人々の一人ひとり違う生活を支援することであり、看護を実践していくうえで大切なことは、生活の中にある人それぞれの思いや価値観に気づける力だと思います。気づく力は、決して天性のものではなく、どれだけ関心をもってその人に関われるかということと、関わりの中で体験したことからいかに学ぼうとするかという姿勢によって育まれます。看護という職業は、病むことや老いること死ぬことといった人の辛い体験に向かいあう責任の重い仕事ですが、自ら気づき考えた看護実践がその人に良い影響を及ぼすことができたら、それはかけがえのない喜びであり看護の力を感じる経験になります。こうした経験を重ねることが、困難な状況でも看護を続けていける、学び続けられる動機づけになると考えます。本学科では学生がこのような経験を重ねることを支援し、看護実践の中から主体的に学び続ける看護師を育成することを目標に教育に取り組んでいます。
また、看護職を取り巻く環境は、疾病構造や保健医療制度の変遷によって大きく変わってきています。活躍の場は、地域へと広がり、より専門性の高い看護が求められています。どのような環境にあっても看護の本質を見失わず、対象となる人々の健康な生活を守るために看護職として何をすべきか考え、共に働くチームメンバーや多職種に自分の考えを適切に伝えていく力をもった看護師の育成が大切であると考えます。本学科・専攻科では、平成6年の学科開設以来多くの卒業・修了を輩出しております。これらの地域で活躍する実践家の協力を得て、高い看護実践力と研究マインドをもった看護職の育成にも努めております。
愛媛大学での学びが、生涯にわたる看護職としてのアイデンティティの形成に役立つことを心から願っております。