医学部附属病院概要2019
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地域小児・周産期学講座(愛媛県)救急航空医療学講座(愛媛県)地域医療再生学講座(四国中央市) 近年,大都市や県庁所在地への医師の偏在により,それ以外の地域では医師不足となり,住民の健康のみならず生命を守ることが困難になりつつあります。愛媛県四国中央市でも医師不足とともに高齢患者の増加など様々な医療問題を抱えており,同市の医療再生を図るため,愛媛県の寄附により愛媛大学大学院医学系研究科に地域医療再生学講座が開設され(平成22年4月),平成28年4月からは,四国中央市による寄附講座となりました。本講座では,地域サテライトセンターを四国中央市に設置し,同センターを通じてHITO病院,四国中央病院において専門科業務や二次救急医療を支援するほか,地元開業の先生への救急初期診療支援や病診連携,さらに行政機関と協力して市民の健康増進活動にも携わっています。また,医学生や研修医が地域で働きたいと思える魅力ある境環作りへの支援や地域医療を担う医師の養成にも努めています。 愛媛県における救急医療の現状は,特に人口減少地域での医師の減少から,極めて厳しい状況にあります。各2次医療圏において,行政や地域基幹病院等による現状改善に向けた努力が為されてきましたが,未だ決定的な政策はありません。そのような状況の中で,愛媛県では,可及的早期にドクターヘリコプター(以下,ドクヘリ)を導入し,広域搬送による高度な救急医療の地域間格差の軽減を目指してきました。 そこで,愛媛県を事業主体,県立中央病院を基地病院,愛媛大学医学部附属病院を基幹連携病院とし,ドクヘリ事業を支援する体制を構築するべく,「救急航空医療学講座」の設置に至りました。愛媛県からの寄附講座である本講座は,愛媛県のドクヘリ事業を支援すると同時に,ドクヘリ搭乗医療者の養成や,医学生,研修医等に対する教育や指導を行い,愛媛県における救急医療の高度化と持続的な人材確保に寄与することを目的としています。 また,今後起こりうると予想されている大規模災害時には,広域な傷病者搬送など,他府県との連携を図りながらドクヘリの有効的活用が期待されています。 本講座では,若手医療人の育成から大規模災害時における対応まで,幅広く教育・診療・研究を行っていきます。 小児医療,特に小児救急医療や周産期医療の充実はとても重要な課題であり,社会において大きく期待されています。この要請に応えていくためには,人材の確保と機能的な連携を図ることが重要です。 そこで,愛媛県の地域医療介護総合確保基金の活用により,愛媛大学大学院医学系研究科に,地域小児・周産期学講座が新設されました。 この講座では,東予地区の周産期医療,中予地区の小児救急医療および南予地区の小児医療を主に担当し,愛媛県全体の小児医療および周産期医療の充実,発展をめざしています。東予では,県立新居浜病院に,中予では,松山市急患医療センター内に,南予では県立南宇和病院,市立宇和島病院をサテライトとして連携し,診療・教育・研究を通して,長期的に安定した小児・周産期医療が提供できるようなシステムの開発を行います。本講座が起動することにより,地域医療活性化のブレイクスルーとなり,地域医療発展のためのモデルになることを目標としています。24

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