私たちは、“糖尿病専門医として全身を診る”ために科学的思考を駆使する内科医(physician scientist) を育成し、愛媛の糖尿病診療のレベルアップ、さらには、新たな診断・治療法の開発等を通じて社会に貢献することを目標としています。日本人の糖尿病患者数は急増し、40歳以上の3人に1人は糖尿病もしくは予備群と推定されます。また、糖尿病患者を診ることは、同時に多岐にわたる合併疾患を診ることにほかなりません。さらに、どの領域においても、糖尿病の合併は多く、周術期の血糖管理をはじめ専門医の必要性がますます高まっています。しかしながら、糖尿病専門医数は不足しています。新たに当科に入局あるいは研修する医師と一緒に、糖尿病をキーワードとして、地域医療のみならず世界にも役立つことを目指します。 

愛媛大学大学院医学系研究科 分子機能領域
糖尿病内科学講座  教授 大澤 春彦



 糖尿病は、単なる代謝異常ではなく、あらゆる臓器に障害を引き起こす全身疾患です。そのため、糖尿病専門医は、動脈硬化、がん、認知症、神経、腎及び眼疾患、皮膚科疾患、妊娠など、内科の全領域はもちろんのこと、全身に渡る総合的な知識を持った医師をめざす必要があります。2年間の初期研修の後、3~5年目は、全国の内科共通の内科専門研修プログラムに沿って、大学、松山日赤等の基幹病院と愛媛医療センター等の連携施設を中心に内科全般70領域、救急医療、地域医療、一般内科外来等の研修を行います。5年目の研修終了時までに内科専門医の受験に必要な研修項目を達成できるように、研修病院を配慮します。また、5~6年目からは、内科サブスペシャリティーである糖尿病専門医の研修に加え、大学院・社会人大学院への進学を選択できます。3年目から大学院に所属し、内科専門医研修が行えるプログラムも用意しています。
 先述しましたように、糖尿病は、単なる代謝異常ではなく、あらゆる臓器に障害を引き起こす全身疾患です。そのため、血糖のコントロールはもちろんのこと、内科全般に渡る総合的な診療、治療ができるように指導します。現在、当科では、周術期やステロイド使用時など、外科を中心に、各科からの血糖コントロールの依頼が非常に多く、常時40-60名の入院患者の血糖管理を行っています。また、高血糖による急性合併症で救急受診する患者数も増加しています。しかしながら、糖尿病専門医が常勤し、周術期や妊婦の血糖管理を依頼できる病院はむしろまれです。従って、将来どの科に進む場合でも、インスリンによる血糖管理の方法を研修することは必須と考えます。糖尿病治療について教科書には書かれていない実践的なポイントも含めて指導します。




最短で内科専門医・糖尿病専門医を取得するためには、2年間の初期研修での科の選択が重要です。当科では内科および糖尿病の専門研修カリキュラムを最短でクリア出来るように、5年間の研修施設・プログラムを配慮します。

 糖尿病患者数の急増に伴い、糖尿病専門医の育成は社会的にも急務の課題となっています。当科では“糖尿病専門医として全身を診る”ために必要な幅広い知識・技術を身に付けた医師の育成を行います。当科は、糖尿病専門医研修に必須の1型糖尿病や、緊急性を要するケトアシドーシス、遺伝子異常による糖尿病、二次性糖尿病、妊娠糖尿病など専門科でなければなかなか経験できない症例が多いのが特徴です。また、糖尿病専門医研修に必須のポンプを用いたインスリン持続皮下注入による治療や、持続血糖モニタリングなどを常時行っており、最短期間で糖尿病専門医を取得することができます。専門医取得後は、大学・県内外の基幹病院において糖尿病診療を行っています。また、当科では、検査部との連携により、臨床検査専門医取得に向けたプログラムもあります。プライマリケアに必要な、超音波検査を中心とした生理検査や、細菌検査、血液検査を始め、免疫・生化学検査等を実習し、“全身を診る”ために必要な幅広い検査の知識・技術を身に付けることをめざします。
 研究面では、当科は遺伝疫学・分子生物学を統合した臨床研究に力を入れており、国内外の学会発表ならびに、Nature Genetics, Am J Hum Genetics, PNAS, Diabetes, Diabetes Care など国際的一流誌への論文掲載の実績があります。大学院に入り、世界の最先端で、遺伝子を応用した個別化医療に挑みたいという方も大歓迎です。更に、若手医師の学会発表等を通して、physician scientist の育成にも力を入れています。実際これまでに、日本糖尿病学会の中四国地方会で5名が若手研究奨励賞(YIA)を、また、複数の糖尿病財団研究助成を受けています。
 更に当科では予防医学、患者教育のためのフイールド活動も積極的に行っています。一般市民への啓発活動、コメディカルとの連携による糖尿病患者会、小児1型糖尿病キャンプ、東温市の一般住民を対象にした大規模前向き臨床研究など、他の科では経験できない病院外での予防医学にも取り組めます。他科に比較し、女性医師が多いことも特徴です。ママさんDrも、大丈夫。出産や育児についても医局員全員であなたをバックアップします。



 研究で養う洞察力と論理的思考力は,臨床をする上でも,大変重要です。従って、専門医の取得に加え,研究により幅広い知識と思考力を身につけることが,将来大いに役立つと考えています。臨床的な力に加え、自ら仮説をたて新たな疾患概念や成因、治療法などを見いだせる”physician scientist” の育成を目指しています。当科での研修中は、学会発表等を通して、physician scientist の育成にも力を入れています。実際これまでに、日本糖尿病学会の中四国地方会で5名が若手研究奨励賞(YIA)を、また、複数の糖尿病財団研究助成を受けています。
 当科は遺伝疫学・分子生物学を統合した臨床研究に力を入れており、国内外の学会発表ならびに、Nature Genetics, Am J Hum Genetics, PNAS, Diabetes, Diabetes Care など国際的一流誌への論文掲載の実績があります。大学院に入り、世界の最先端で、遺伝子を応用した個別化医療に挑みたいという方も大歓迎です。生命科学の真理の一部を,世界で初めて,自ら見出す時の充実感は格別です。






 前述のように,糖尿病専門医のニーズは高まる一方であり、愛媛県内外を問わず、派遣の要望は一貫して強く,この需要は,今後も続くものと思われます。これまでに、川村良一が成田赤十字病院,中村 舞が愛媛県立中央病院,能美幸信、松下由美、源本真由、羽立登志美が松山赤十字病院で研修してきました。現在,高門美沙季が大学病院で診療・研修を行っています。また,基礎研究では,後藤孝也が東京大学医科学研究所を経て,自治医科大学地域医療学センター人類遺伝学部門で講師を務めています。
 海外留学は,単に研究に専念するのみならず,口頭発表や論文執筆をするのに十分な英語力を習得する良い機会です。さらに異文化の中で生活することにより,多面的な視点を身につけることも将来にわたり役に立ちます。これまでに,大沼 裕特任教授が,米国のバンダービルト大学に留学しました。現在,唐 岩(中国からの大学院生)が,米国のNIHを経て,アルバートアインシュタイン大学に留学中です。また,国内留学としては,川村良一、現在大学院生の東岡真由が,九州大学の久山研究室で学んできました。今後も各自の要望に沿って,愛媛県内県外での研修,就職,留学を支援し,外国への留学も積極的に進めています。



役職 氏名
(出身大学)
専門医,指導医
教授 大澤 春彦
(千葉大学)
日本糖尿病学会専門医、同研修指導医、同理事、同評議員、日本内科学会研修指導医・認定内科医、日本臨床検査医学会臨床検査専門医
准教授 高田 康徳
(愛媛大学)
日本糖尿病学会専門医、同研修指導医、同評議員、日本内科学会総合内科専門医、同研修指導医、日本循環器学会専門医、日本腎臓病学会専門医、日本高血圧学会専門医、同研修指導医
特任講師 川村 良一
(愛媛大学)
日本糖尿病学会専門医、日本内科学会総合内科専門医、同研修指導医
助教 松下 由美
(愛媛大学)
日本糖尿病学会専門医



東岡 真由
(平成23年愛媛大学卒・認定内科医・大学院生・ 平成27年糖尿病学会中四国地方会YIA受賞)

私は愛媛大学を卒業し、2年間の初期研修を経て糖尿病内科に入局しました。その後、関連病院である松山赤十字病院内科で2年間研修し、現在は大学病院で糖尿病専門医研修を行っています。松山赤十字病院では糖尿病患者さんの入院・外来診療はもちろん、救急外来や急性期疾患の入院診療まで多くの症例を経験することができました。大学病院では、県内の幅広い地域から紹介される珍しい症例もあり、貴重な経験を積むことができました。今からは大学院の国内留学という形で福岡県の久山町研究室で疫学を学んでいます。漫然と過ごすのではなく、年数が進む毎にまた新しいことを学ぶことが出来る環境があり、とても幸せに思っています。糖尿病診療の面白いところは、病気そのものを見ていても上手くいかないところだと思います。患者さん一人一人について、どのようにアプローチすれば病気を受け入れ、生活習慣改善に取り組んでもらえるかを考えながら、患者さんと接することで、自分自身も成長していけたらと思いながら日々診療を行っています。大学も関連病院も医局の雰囲気が大変良く、楽しい職場です。興味のある方は是非、研修・見学にいらして下さい。

高門 美沙季
(平成26年愛媛大学卒・大学院生・平成23年糖尿病学会中四国地方会YIA受賞)
私は初期研修2年目の平成27年4月に入局し、現在大学院に所属しています。私が糖尿病を専攻した理由は、患者さん一人一人の生活習慣や考え方に沿った治療を一緒に考え、回復の喜びを共に分かち合えるからです。全身性の疾患である糖尿病は、ケアする範囲も幅広く、毎日が発見と学びの連続です。大学院では、検査部で頸動脈エコーを丁寧に教えてもらい、一般住民を対象とした2,000人規模の「東温スタディ」という研究に参加しています。まだまだ未熟な私ですが、医局の雰囲気はとてもあたたかく、各自の目標やステージにあったプログラムを用意してくださり、丁寧に指導してくださいます。興味のある方は、ぜひ一度見学にいらしてください。お待ちしています。




外来医長:高田 康徳
診療科長:大澤 春彦
電話 089-960-5647