腰部脊柱管狭窄症
加齢による脊椎の変性により腰部で神経が圧迫され、歩くと足の痛みやしびれが出現する病気です。60歳以上の人に多く発症します。
症状(以下の3つが3大症状です)
1)歩行障害
少し歩くと足がしびれたり、痛くなったりします。数分間しゃがんで休憩すると、また歩けるようになります。
2)背筋を伸ばせない
背筋を伸ばして立つと、足のしびれや痛みが出現します。スーパーなどのカートを押して歩くと、少し楽に歩けます。
3)排尿障害
夜間にトイレに立つ回数が多くなったり、残尿感が残るようになります。
診断
症状と検査(MRIなど)で判断いたします。
分類
腰部脊柱管狭窄症は
1)両足のしびれと排尿障害を主訴とする馬尾型
2)片足の痛みを主訴とする神経根型
3)両方が共存する混合型
の3つのタイプに分類されます。
治療
1)馬尾型で症状が軽い場合にはプロスタグランジンE1という薬が有効です。この薬が効かないようなら手術が必要になることがあります。
2)リハビリでは腰部の温熱療法が少し有効なことがあります(ただし効果はその日だけです)。牽引は効果がありません。
3)片足だけが痛いという病態には選択的神経根ブロックという方法が有効です(腰椎椎間板ヘルニアの項目を参照してください)。
4)以上の治療が効果無かった場合には手術を検討します。
手術方法
最も標準的な方法は背中の骨の一部と黄色靭帯を削って、神経を除圧する方法です(腰椎椎弓切除術)。1カ所だけの手術であれば1−2時間で終了します。術後は柔らかいコルセットをして3日目ぐらいから歩けるようになります。
最近我々は、1カ所だけの狭窄症に対しては、内視鏡を用いてこの操作を行う“内視鏡視下椎弓切除”を行っています。方法は腰椎椎間板ヘルニアの手術と同じなのでそちらのページをご覧ください。
多椎間での狭窄、再手術例、すべり症を伴っているもの、側彎を伴っているものなどは、骨移植や、金属を用いた固定などを併用することもあります。