Greeting

 愛媛大学医学部薬理学講座は昭和50(1975)年4月に初代教授である小川暢也教授が開講された講座である。小川教授は時間薬物治療学を体系づけられ、臨床薬効評価の研究と実践に尽力された。平成5(1993)年4月より、前山一隆教授が第二代教授に就任され、中枢神経系のみならず、消化系、免疫系におけるヒスタミンの生理作用の解明に注力し、幅広い研究業績を残した。平成29(2017)年3月に前山一隆教授が退官された後は、同年12月より私、茂木正樹が3代目として教室を引き継いでいる。

 私自身は大阪大学老年科の出身であり、健康寿命の延伸や老年薬学に力点を置いている。加齢がもたらす骨格筋量減少(サルコペニア)に伴った全身疾患への影響や、加齢に伴った各人の薬剤投与後の薬剤代謝・排泄のプロファイルを可視化するプロジェクトや、高齢者のポリファーマシー問題、薬剤の相互作用や体内病態による副作用の招来を未然に防ぐシステム構築を目指している。一方で、老年病の発症自体を小児期から胎児期まで遡り、老化をトータルライフコースとして捉える新しい病態解明方法の創出を進めている。教室では前山前教授から引き継ぐアレルギーに関連する研究も着実に進めており、さらにはRNA-Seqの解析を独自で行うシステムの構築や、AIを用いた予測システムの改良など研究技術範囲を広げ、少ない人数でも効率的に研究できる環境構築を進めている。愛媛大学の多くの講座からの大学院生の研究により、教室の研究は多方面に活性化されている。また学内機関や企業との共同研究も積極的に進めており、産学連携による愛媛発の新測定システムや新たな抗加齢治療の開発が進行中であることも触れておきたい。

 興味がありましたら、ぜひ薬理学講座に連絡頂ければと思います。よろしくお願いします。

教授 茂木 正樹