愛大コーホート研究へのご参加のお願い

愛大コーホート研究へのご参加をお願い致します
次世代の予防医学に貢献しましょう!!
愛媛の地域医療の継続・発展にも貢献できます!!

生活習慣病と呼ばれる病気はたくさんあります。生活習慣を改善すれば、生活習慣病を予防できるはず。では、具体的にどのように生活習慣を改善すればいいのでしょうか。

一方で、親が高血圧なら、その子も高血圧になりやすいなど、生まれ持った遺伝的な背景も生活習慣病の発症に影響します。ある病気になりやすい体質を持っていても、生活習慣の改善でその病気を予防することはできないのでしょうか。

以上のような疑問を解決するためのエビデンス(証拠)はいかにして創出できるのでしょうか。それは、人間の集団を研究対象とした「疫学研究」です。この疫学研究でしか、エビデンスを得ることができません。それは、動物や細胞で効果があったとしても、人間で効果があるのかどうかがわからないためです。

現在、欧米に比較すると、日本人を対象とした疫学研究はとても少ないのです。同じ人間なのだから、欧米人の疫学研究で得られたエビデンスを日本人に適用すればいいのでは!?でも、日本人と欧米人では、遺伝的背景が異なりますし、食習慣を始め生活習慣や生活環境が異なります。日本人における病気の予防方法を開発するためには、日本人を対象とした疫学研究によるエビデンスが必須となります。

愛媛大学では日本人を対象とした疫学研究を実施すべく、「愛大コーホート研究」と称する疫学研究を実施しています。

できるだけたくさんの方々に「愛大コーホート研究」にご参加いただきたく、お願いいたします。この研究では、20年間追跡いたします。その間に心筋梗塞や認知症、癌を発症するかもしれません。お亡くなりになるかもしれません。研究では、例えば、認知症を発症した方々と発症しなかった方々を比較することで、どの様な生活習慣が認知症予防に効果があるのかを調べます。もしかしたら、愛媛の特産である魚介類や柑橘類の摂取が多いほど、認知症に予防的であるかもしれません。このような結果が得られれば、魚介類や柑橘類の摂取を推進すると同時に、「愛媛産には、愛がある」とする一次産業や食品産業に役立つかもしれません。

さらには、例えば、認知症になりやすい体質(遺伝要因)が明らかになったとします。もし、このような体質を生まれ持ったとしても、ある生活習慣を実践することで認知症の発症を予防したり、発症を遅らせたりすることができるかもしれません。

また、ある病気になったとしても、どの治療方法が健康寿命の延伸に有効であるのかも調べることができます。

臨床の場においては、例えば医師が、ある病気の新たな治療方法を開発した場合、従来の治療方法よりも新しい治療法の方が、より有益であることを示さなければなりません。「愛大コーホート研究」という大きなデータベースがあれば、新しい治療法と従来の治療法を比較することが容易となり、医学・医療の発展に貢献しやすくなります。つまり、有能な医師は、「愛大コーホート研究」のデータベースを活用して、エビデンスを創出することで医学の発展に貢献できるのです。「愛大コーホート研究」のデータベースは、有能な医師を愛媛に呼び込む有力な武器となり得るのです。これこそが地域医療の継続と発展の礎となります。

是非とも、「愛大コーホート研究」にご参加くださいますよう、心よりお願い申し上げます。

「愛大コーホート研究」の概要

調査の内容

現在の参加者は、上の図の左下に当てはまる枠組みにご参加いただいております。

  • 質問調査票の回答
  • 採血(遺伝子検体含む)、採尿
  • 身長、体重、体組成、ウエスト、ヒップ測定
  • 超音波骨密度測定
  • 動脈硬化の検査(フォルム)
  • 口腔内検査(う蝕視診・歯周ポケット測定)
  • 嚥下機能検査
  • 眼圧、眼底検査
  • 面接による認知機能検査(MMSE、MOCA-J)
  • 体力測定(握力、開眼片足立ち、5m歩行)
    からなります。
    健診は、集団健診方式で実施いたします。
    5年毎にこのような健診を含む調査を繰り返したいと考えています。

一方、左上の枠組みでは、質問調査票にご回答頂き、可能であれば、血液(遺伝子検体確保のため)をご提供いただければと考えます。5年毎に質問調査票にご回答頂きます。

是非とも、どちらかの枠組みにご参加くださいますよう、お願い申し上げます。ただし、左下の健診のある枠組みについては、人数の上限がありますこと、ご了承のほど、お願い申し上げます。

質問調査票の回答は、インターネットを介した電子データ集積システムを原則とします。これは、REDCapという米国バンダービルト大学が開発した世界医学アカデミアで標準とされているシステムです。PCやタブレットでは、快適に回答できますが、スマホだとちょっとしんどいかもしれません。研究事務局に電子メールで申込いただければ、こちらからREDCapにアクセスするためのメールを返信いたします。

REDCapでの参加が難しい場合は、冊子でご回答いただくことも可能です。

参加ご希望の方は、epi-prev@m.ehime-u.ac.jpまで、ご一報のほど、お願いいたします。

お問合せ先
〒791-0295
愛媛県東温市志津川454
愛媛大学大学院医学系研究科疫学・公衆衛生学講座
電話:089-960-5283 FAX:089-960-5284
E-mail:epi-prev@m.ehime-u.ac.jp

「愛大コーホート研究」の今後の展開

本邦ではデジタル庁も設置され、国民の情報を有効に活用する機運が高まっています。ヘルス関連においても、個人情報を守りながら、適切な運用がなされていきます。上の図の右にありますように、行政機関や医療機関と連携しながら、愛大コーホート研究と様々なデータとを突合することで、愛媛における巨大なヘルスデータベースを構築したいと考えます。

愛媛ヘルスデータサイエンスを発展させ、愛媛発の数多くの学術的価値の高いエビデンスを世界に発信したいと考えます。

現時点で「愛大コーホート研究」から創出されたエビデンスの例

  1. 難聴でない人と比較し、難聴の人では、1.86倍軽度認知障害(正常認知機能と認知症の間の段階)が多い。特に、60歳以上で顕著な結果となりました。
  2. 男性に限りますが、高血圧の人では、正常血圧の人より1.52倍難聴が多い。また、高血圧、脂質異常症、糖尿病のいずれか2つ以上を持っていると、1.82倍難聴が多いという結果が得られました。
  3. 親知らずを除いて28本の永久歯すべて持っている人に比較して、21本以下の歯を持つ人では1.96倍難聴が多いという結果となりました。
  4. 70歳以上に限りますが、学歴が高いほど頸動脈内膜中膜厚の厚さが薄く、頸動脈内膜中膜厚が1mm以上の肥厚のある割合が57%低下しました。