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【学生インタビュー】令和5年度パテントコンテスト特別賞「命を救うハンカチ」について(医学科3年生冨岡さん)

今回インタビューを受けていただいた学生さんは、令和5年度パテントコンテストにて、特別賞(新しい生活様式アイデア賞)を受賞した「命を救うハンカチ」の開発者、医学部医学科3年生の冨岡 珠里さんです!

パテントコンテストは、日本の次世代を担う生徒、学生自らが考え出した発明から優秀な作品を表彰するもので、文部科学省や特許庁などが主催しています。

優秀作品の受賞者は、特許の専門家である弁理士のサポートや出願料の支援が受けられ、冨岡さんも実際に特許を出願しました。

冨岡さんには主に、コンテストを応募した経緯、開発までの苦難、今後の目標について熱く語っていただきました!

○パテントコンテストに応募してみようと考えたきっかけはなんですか?

(冨岡さん)就学支援システムの学内メールでパテントコンテストのことを知りました。

すぐに応募したわけではなくて、締切ぎりぎりまで応募するかどうか悩んでいました。

ただ、このパテントコンテストを知る前から、自分のアイデアをよくスケッチブックに書き起こしたりしていましたので、自分のアイデアを形にするチャンスかもしれないと思い、応募させていただきました。

医学科3年生 冨岡 珠里さん

○命を救うハンカチの開発経緯について教えてください。

きっかけは、救急医療に関する知識・技術を学生同士で楽しく学ぶサークルOrange Crossでの出来事でした。活動の中で、人形を用いた胸骨圧迫の練習をしていたのですが、他の学生が「カチッカチッ」といった胸骨圧迫が十分できていることを示す音が鳴っているのに、私だけ全く鳴らすことが出来なかったんです。

その時に友人から胸骨圧迫の姿勢についてアドバイスをもらい、正しい姿勢を意識して練習するうちに、段々と十分な深さで胸骨圧迫を行うことができるようになりました。また、昨年7月に行われた第39回日本救急医学会 中国四国地方会での市民公開講座「心肺蘇生体験講座」に指導スタッフとして参加した際に、多くの方が十分な深さや適切なリズムで胸骨圧迫ができていないと感じました。指導の傍らで上手くできていない人たちを観察していると、皆さん共通して正しい姿勢で胸骨圧迫を行えていないと気付いたんです。私自身が姿勢を正したことで胸骨圧迫を上手く行えるようになったこと、第一発見者として心肺蘇生法を行う可能性が高い市民の方々の胸骨圧迫の姿勢を改善する必要性が高いことから、胸骨圧迫の姿勢を正しく直してくれるような補助具があればいいのになと思うようになりました。

そこで、いざ胸骨圧迫をしなければならない状況になった時に、誰でも正しい姿勢で胸骨圧迫を行える補助具を自分で作ってみようと思い、スケッチブックにアイデアを描き始めたのが開発のはじまりです。

3Dプリンターで作成した、試作品第一号

(最初は試作品を手で握って胸骨を押すことを考えていた)

そこから、「胸骨圧迫の姿勢を正しくすることで胸骨圧迫の質を高め、心肺蘇生法による救命率を上げる」というコンセプトの下で、アイデアを試行錯誤していきました。最初は胸骨圧迫を正しい姿勢で行うために、どのような形の補助具を作成すればいいか、救急医学の佐藤格夫教授と相談しながら、アイデアを考えていきました。そして、愛媛大学で学生向けに無償貸出されている3Dプリンターを利用して最初に作成したのが、この試作品(左写真)です。

初期の案は、底部が凸状になっている試作品を手に握って、胸骨圧迫を実施するというものでしたが、持ち運ぶには大きすぎることが課題でした。

冨岡さんが発案した「命を救うハンカチ」の紹介

そこで、皆さんが手軽に持ち運ぶことができ、かつ、いざというときに補助具として胸骨圧迫を実施できるものにしようと、徐々に方向性が定まっていきました。

さらに、なるべくコストがかからず身近に取り入れられるもの、万が一の際は胸骨圧迫を正しい姿勢で行うサポートができるということを重要視した結果、普段みなさんが持ち歩いているハンカチに注目して開発を進めてみることにしました。

そして、課題だった補助具の大きさを小さくかつ取り外しが可能なものにすることで、普段はハンカチとして利用し、いざというときは、ハンカチで倒れている人の胸部を隠して胸骨圧迫を実施できる、「命を救うハンカチ」が生まれました。

(インタビュアー)私も自動車教習所で一度講習を受けましたが、実践できるかといわれると自信がないですね。

(冨岡さん)正しい方法でできるという自信をもって言える方は少ないでしょうし、ましてやいざ実践となると自分にできるのだろうかと不安に思う方も多いと思います。私自身も最初は胸骨圧迫が出来なかったので、他にもできない人がいるのではないか?その人たちがもし胸骨圧迫を行わなければならない状況になった場合、どう思うのか?という気持ちに寄り添った結果、「命を救うハンカチ」を生み出せたと思っています。

実際に行うとなると、パニックに陥ることが想定されますので、講習では正しいフォームで出来ていたとしても、上手くいかないこともあるかと思います。そこで、緊迫した救命現場においても「命を救うハンカチ」を用いることで、胸骨の位置と正しい姿勢を維持しながら、目の前の命を救う処置を行っていただけるのではないかと考えています。

○今後の目標は?

(冨岡さん)一番の願いとしては、製品化を実現させ、世界中の皆さまのお手元に届けたいという思いがあります。

製品化が実現したら、AEDや救命救急キットなどの中に入れていただく、学校教育や自動車教習所などにて配布していただくといった啓発活動に力をいれていきたいです。

このようなことを通して、皆さんに「命を救うハンカチ」を知っていただくことから始めて、良さを実感していただいた上で、実際にお手元に置いていただけたら幸いです。

今後特許権が取得できたら、製品化にあたり、補助具の凸部の形や利用する素材、補助具のカスタマイズ性の拡充などを検討していきたいと思います。

○最後にご支援いただいた方へ一言!

(冨岡さん)特別賞という栄えある賞をいただき、特許出願まで進めることが出来たのは、学生の自由な発想を形にしてくださる愛媛大学の風土があったからだと感じております。

また、開発にあたり専門的なご相談をさせていただいた救急医学の佐藤教授をはじめ、愛媛大学教職員の皆さま、特許出願にあたり私を一からサポートしてくださった担当弁理士・相原正様、パテントコンテスト運営の皆さま、私の活動を応援してくださった家族友人、関係者の皆さんに感謝申し上げます。

【参考URL】

デザインパテントコンテスト https://www.inpit.go.jp/patecon/

令和5年度パテントコンテスト選考結果 https://www.inpit.go.jp/patecon/r05pc_results.html

愛媛大学医学部学生ホームページ Orenge Cross https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/students/?page_id=74