愛媛大学医学部附属病院 検査部

ISO15189認定臨床検査室

各検査部門紹介

中央採血室

 採血は8時~16時30分まで実施しています。毎日、250~400名の外来患者さんの採血を実施し、看護師と臨床検査技師が、採血を担当しています。
 採血された検体は、中央採血室隣の検体検査室に運ばれ、直ちに検査を開始します。約1時間後、コンピュータにて結果を報告し、外来診療に間に合うように検査を実施しています。
(項目によって、報告時間は異なりますので、1時間以内に報告できない項目もあります。)

検査部受付(2階)
検査部受付(2階)
採血受付・尿検査受付・ご自宅から持参された便検体などの受付を実施しています。
検査部受付(2階)
モニタ画面

モニタ画面

 採血がある場合、整理番号票を渡しますので、待合室に設置されているモニタで番号を呼ばれたら、採血室内に入っていただきます。

検査室

 採血室には、7台の採血台を配置し、その内3台は机の高さを調節することが可能になっており、車椅子で来られた方が利用できるようになっています。 採血室内でも、整理番号でご案内しています。

 採血を受けられる前に、下記に該当する方は採血担当者にお申し出ください。

  • 血液透析中の方(シャントがある方)
  • 乳房切除手術を受けられた方
  • 血液をさらさらにするお薬を服用の方
  • 採血時にご気分が悪くなられたことがある方
  • 消毒用アルコールにアレルギーのある方
  • 止血用のテープでかぶれる方

 採血終了後には、血液が流れ出ることがありますので、必ず5分以上圧迫止血をご自身でお願いします。

血液検査

 血液検査室は血球計数および血液形態検査と止血凝固学的検査を行っています。

 血球計数とは血液中の白血球、赤血球、血小板の数を測定し、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値などを計数する検査です。造血の指標となる網状赤血球なども測定します。血液形態検査は白血球、赤血球、血小板の形態を顕微鏡で観察することにより、白血病、各種の貧血などの血液疾患の診断の補助となるデータを臨床に提供しています。

多項目自動血球分析装置XE-5000を用いて検査を行っている様子。
多項目自動血球分析装置XE-5000を用いて検査を行っている様子。

 止血凝固学的検査は生体内の凝固、線溶能を評価するための検査です。血液は身体の中では凝固せずに血管内をスムーズに流れなければなりませんが、血管破損により出血してしまった場合はただちに凝固して出血を止めなければなりません。血液が保持するこのような能力が凝固、線溶能というものです。この機能に破綻が生じると止血困難であったり、逆に身体の中で血液が凝固して重篤な病態(心筋梗塞・脳梗塞など)を生じます。

自動血液凝固分析装置CP-2000を用いて測定を行っている様子。
自動血液凝固分析装置CP-2000を用いて測定を行っている様子。

生化学検査

 生化学検査では血液中の血清(血漿)および尿中成分を大型の生化学分析装置で分析し、外来および入院患者の診療に必要な情報を発信しています。
 検査項目は蛋白質、電解質・無機物質、糖質、酵素、脂質などの肝機能検査、腎機能検査、脂質・糖代謝検査を実施し、病態把握に有用な情報を精確で迅速に結果報告を行っております。

生化学検査

免疫血清検査

 高性能な自動免疫化学発光装置を用い、肝炎ウイルス・HIV・梅毒などの感染症検査、腫瘍マーカー検査、甲状腺や性腺から分泌されるホルモンの検査を行っています。また、血漿タンパクの測定や自己抗体検査、アレルギー検査なども行っており、疾患の診断や治療効果判定に用いられています。

自動免疫化学発光装置(いろいろな項目を測定しています。)
自動免疫化学発光装置(いろいろな項目を測定しています。)
トキシノメーター(光学的方法により細菌・真菌感染を高感度に測定しています。)
トキシノメーター(光学的方法により細菌・真菌感染を高感度に測定しています。)
ゼラチン粒子凝集(PA)法(血清の希釈系列を作成して測定します。)
ゼラチン粒子凝集(PA)法(血清の希釈系列を作成して測定します。)
免疫固定電気泳動法(血液中の異常蛋白を調べています。)
免疫固定電気泳動法(血液中の異常蛋白を調べています。)
自己抗体検査の1つである抗核抗体の検査。
自己抗体検査の1つである抗核抗体の検査。
スライドを蛍光顕微鏡で見て判定します。
スライドを蛍光顕微鏡で見て判定します。

輸血検査

(輸血検査室)
(輸血検査室)
(自動輸血検査機器)
(自動輸血検査機器)

 病気の治療に輸血を必要とすることがありますが、輸血を安全に実施するためには輸血検査が不可欠です。輸血検査室では、輸血に関する専門的な知識を有した認定輸血検査技師を中心に、血液型検査をはじめ、輸血副作用を生じる抗体を検出する試験である不規則抗体検査、患者血液と輸血用血液製剤との適合性をみる試験である交差適合試験などを実施しています。また、学生実習や卒後研修も積極的に受け入れ、社会における輸血検査技術および輸血の安全性の向上に貢献できるよう努めています。

遺伝子検査

 遺伝子検査室は、主に肝炎ウイルスであるHBVとHCVのリアルタイムPCRおよびOSNA法による乳がんリンパ節転移検査を行っています。

リアルタイムPCR法によるHBV-DNA、HCV-RNAの測定装置
リアルタイムPCR法によるHBV-DNA、HCV-RNAの測定装置
(ウイルスの存在を証明する高感度な定量測定法で、肝炎患者の病態把握や治療方針の決定、
および治療経過の観察に有用な検査です。)
OSNA法による乳がんリンパ節転移検査
OSNA法による乳がんリンパ節転移検査
(OSNA法は、転移陽性リンパ節における発現量が最も高いCK19mRNAを特異的に検出することができます。
また従来の術中病理診断と同等の精度を有し、さらに病理診断と比較し簡便で迅速性に優れており、
術中の迅速診断として非常に有用な検査です。)

細菌検査

 感染症を調べるための検査です。感染症は、細菌、真菌(カビ類)やウイルスなどの微生物によって起こります。細菌検査室では、採取された検体(血液、尿、喀痰、皮膚分泌物、便など)を培地(微生物を発育させるために使用します)に塗布し培養を行い、原因微生物の検出および効果のある薬(抗生物質)を見つけるための検査を行っています。

顕微鏡を使用して、検体から微生物を探しています。
顕微鏡を使用して、検体から微生物を探しています。
質量分析装置を使用して微生物の同定を行っています。(原因微生物を決定します)
質量分析装置を使用して微生物の同定を行っています。(原因微生物を決定します)
薬剤感受性試験を行っています。(効果のある薬を調べるための検査です)
薬剤感受性試験を行っています。(効果のある薬を調べるための検査です)

生理機能検査

 生理機能検査室では、患者さんに直接接して、以下のような身体の機能を調べる検査を行っています。

心電図検査

 心臓は、全身に血液を循環させるポンプのような働きをします。このときに発生する微弱な電流を波形として記録し、不整脈や心筋梗塞などがないか調べる検査です。
 一般的な心電図は安静状態で検査しますが、必要に応じて、踏み台の昇り降りをする負荷心電図や、携帯型の機械を付けて24時間波形を記録するホルター心電図なども行われます。 検査は、胸、手首、足首を露出し仰向けに寝て電極を取り付けます。身体を流れる電流を波形にするだけで、電流を流すわけではありませんので、痛みは全くありません。検査時間は3~5分程度です。

心電図検査

呼吸機能検査

 肺の容積や、空気を出し入れする換気機能を調べる検査です。息切れ、咳が出るなど肺の病気が考えられる時や、手術の麻酔法を選択する時に行われます。
 鼻をクリップで止めマウスピースをくわえ、合図に合わせて息を吸ったり吐いたりする検査です。病状により精密な検査をすることもありますが、通常の検査時間は10分程度です。

呼吸機能検査

脳波検査

 脳は、その活動に伴なって常に微弱な電流を出しており、その変動を頭に付けた電極でとらえ、波形として記録するのが脳波検査です。けいれんを起こした時、意識障害がある時、てんかんや脳腫瘍が疑われる時などに行われます。
 ベッドに仰向けに寝て、頭に十数個の電極をペーストで取り付けます。安静状態で目を開いた時や目を閉じた時、深呼吸をした時などの脳波を調べます。必要に応じて、光や音の刺激を与えたり、睡眠中の脳波を検査することもあります。
 検査時間は、電極の取り付け、取り外しを含めて約60分です。

脳波検査

超音波検査(エコー検査)

 超音波を身体に当てて返ってくる反射を受信し、心臓や腹部、血管の状態を画像に映し出す検査です。超音波は、X線撮影やRI検査のように放射線による被曝の心配がありませんので、妊婦さんや乳幼児でも安心して受けることができます。
 検査する部位を露出してベッドに寝て、プローブと呼ばれる超音波発信機を身体にあてます。プローブと皮膚の間に隙間が開かないように、ゼリーを塗って密着させ、臓器の断面の画像をモニターで観察します。検査時間は20~30分程です。
 以下の診断に有用です。

  • 心臓超音波検査:心筋梗塞、弁膜症、先天性の心臓病など
  • 腹部超音波検査:結石、ポリープ、嚢胞、癌など
  • 血管超音波:動脈硬化、深部静脈血栓症など
超音波検査(エコー検査)

サーモグラフィー検査

 身体から発する遠赤外線の量を計測して、皮膚表面の温度分布をみる検査です。温度別に色分けされたカラー映像を撮影します。閉塞性動脈硬化症のような動脈が細くなる疾患では、血流が低下するため温度が低くなります。また、腫瘍など血管の新生や増殖が多い組織は、血流や代謝率が高いために温度が高くなります。
 検査をする部分を露出して15分程度安静にし、本来の皮膚の温度に戻してから撮影します。必要に応じて、検査する部分を氷水につけて温度の回復を観察することもあります。検査時間は安静にする時間を含めて20分程度です。

サーモグラフィー検査

脈管機能検査(ABI・PWV検査)

 手と足の血圧の比較や脈の伝わり方を調べることで、動脈硬化の程度や、血管の狭窄や閉塞の程度を数値として表す検査です。
 ベッドに仰向けになり、両腕と両足首に血圧計の帯(カフ)を巻きつけ、心電図の電極、心音マイクを装着します。検査時間は5分程度です。

脈管機能検査(ABI・PWV検査)

時間外検査

 患者容態の変化に対応するため24時間体制にて迅速に検査を実施しております。

時間外検査