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2020年11月17日

★祝★ 矢部先生 日本神経治療学会 論文賞受賞

この度、第38回日本神経治療学会学術集会にて矢部勇人先生が論文賞を受賞されました!

おめでとうございます!!

 

受賞の対象となった論文は、2019年に神経治療学に投稿された

L-ドパ持続経腸療法における血中濃度の検討―効果と課題について』です。

 

 

 

受賞論文の概略は以下の通りです。

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L-ドパ持続経腸(LCIG)療法はパーキンソン病患者において用いられる治療の一つであり、一定速度で持続的にレボドパ製剤を持続投与することで一定のレボドパ血中濃度が維持され、ウェアリングオフ現象やジスキネジア等の運動症状の変動の軽減が期待される治療法である。

しかしながら、個々の患者におけるレボドパ血中濃度を用いた検討は十分には行われておらず、今回、LCIG治療を行うパーキンソン病患者を対象として、LCIG療法の効果や課題、レボドパ血中濃度の関連を検討した。

パーキンソン病患者6名中5名はLCIG療法導入後、著明にオフ時間が短縮した。残る1名に関して、持続投与量を増やすも血中濃度が低下しており、後に腸閉塞が判明した。

血中濃度が1日モニタリング可能であった2名に関して、いずれも血中濃度は概ね安定していたものの夕方にオフの訴えを認め、うち1名では追加投与により日常生活に支障をきたすほどのジスキネジアがみられた。

パーキンソン病の進行期では血中濃度と相関して運動症状の変動がみられる。LCIG療法では血中濃度の安定が期待されることから、至適維持投与量や追加投与量を決定するにあたってレボドパ血中濃度を測定することは有用と考えられる。

また、一部の症例では血中濃度はほぼ一定にもかかわらずオフ症状がみられており、引き続き検討が必要である。

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当科では、パーキンソン病患者さんのレボドパ血中濃度を測定し、その結果を参考にしながら薬剤調整を行っております。

LCIG療法中の患者さんのPEGJ tube交換前後での検討や、血中濃度に影響する因子も検討しています。

引き続き、個々の患者さんに応じたよりよい薬物治療を提供できるように研究を続けたいと思います。