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2020.07.01 活動報告

令和元年度 地域医療再生学(寄附講座)活動報告書

令和2年3月

愛媛大学大学院医学系研究科 地域医療再生学講座

地域医療再生学(寄附講座)の令和元年度活動報告

間島 直彦(地域医療再生学講座主任教授)

 

2010年4月に県の寄附講座として愛媛大学医学部に地域医療再生学講座が開設され、今年で10年が経過します。4名の講座スタッフが専門性を活かしながら、診療、教育、研究、地域貢献を行うとともに、宇摩圏域が抱える医療課題の解決に向けて取り組んでまいりました。その間、多くのご支援やご協力をいただきました、県、市役所、保健所や消防など行政の方々、宇摩医師会、四国中央病院やHITO病院をはじめとした医療機関の方々には厚く御礼申し上げます。

本年度は、整形外科は間島(2014年度より)と見崎浩助教(2018年度より)、脳神経外科は尾崎沙耶助教(2019年度より)、小児科は日野ひとみ講師(2018年度より)の4名のスタッフが、四国中央病院とHITO病院内のサテライトセンターを中心として活動しました。講座の活動といたしましては、市民公開講座を2019年11月にHITO病院で、2020年1月に四国中央病院で開催いたしました。また2020年2月には講座活動成果報告会をしこちゅ~ホールで行い、山下医学系研究科長、篠原市長、高木医師会長など多くの関係者の方々にご列席頂いた中で今年度の活動内容を報告いたしました。

小児科は、当地区唯一の小児入院施設である四国中央病院において予防接種や気管支喘息等の小児慢性疾患、感染症の診療を行うとともに、四国中央市の小児救急医療維持のために新居浜も含めた広域救急輪番制整備に対する支援を行ってまいりました。また、近年増加する不登校を含めた発達障害などの社会的ニーズに対応するため、多職種のコメディカルを育成することにより、チームとしての能力向上を目指しました。また、五苓散と小児感染性胃腸炎の研究に科研費による支援をいただき、愛媛県下の協力病院や大学病院の基礎部門と協力して進めています。

脳神経外科では、てんかん、脳血管障害、脳腫瘍などの脳神経疾患の治療にあたるとともに、HITO病院脳卒中センターにおいて脳卒中の急性期治療に力を入れています。脳卒中学会専門医、脳血管内治療学会専門医として、脳梗塞では従来のt-PA静注による血栓溶解療法に加えて血管内手術による血栓回収療法を積極的に行い、劇的な改善例を経験しています。また、高血圧性脳出血に対し術中CTナビゲーション支援下の内視鏡血種除去手術を行っています。四国中央市の脳卒中患者に対し急性期から慢性期までのシームレスな包括的医療サービスの展開を目指しています。

整形外科は、HITO病院サテライトセンターにて二次救急外傷の支援、スポーツ外傷、高齢者骨脆弱性骨折の治療とともに、HITO病院人工関節センターにて、関節疾患患者に対して人工関節の最先端医療を提供できる体制を構築しました。脊椎・脊髄の患者に対しては、最新のCT手術室やナビゲーションシステムを用いた安全でかつ正確な手術治療を提供出来るようになっています。また、高齢者運動器疾患であるロコモティブシンドロームの予防のために、院内外で定期的に市民教室を開催して、高齢者骨脆弱性骨折の一次予防・二次予防を目指したリエゾン活動を行っています。

今年度も地域のニーズに応じた専門領域のチームを構成し、医療機関や行政機関と連携して、診療、教育、研究、地域貢献に取り組んできました。われわれの活動が、地域の皆様の健康な生活の手助けとなるよう、また次世代の地域医療を担う研修医や若手医師の受け皿となるように活動を続けてまいります。

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