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2023.06.02 活動報告

令和4年度 地域医療再生学(寄附講座)活動報告書

令和5年3月

愛媛大学大学院医学系研究科 地域医療再生学講座

令和4年度 地域医療再生学(寄附講座)活動報告書

間島 直彦(地域医療再生学講座主任教授)

 

愛媛大学大学院医学系研究科 地域医療再生学講座は、宇摩地区が抱える地域医療の課題(医師不足、救急医療)に取り組むために、平成22(2010)年4月に愛媛県の寄附講座として愛媛大学医学部に設置されました。平成28(2016)年4月からは四国中央市の寄附講座となり、現在も活動を継続しております。四国中央市や関係医療機関の皆様のご支援に心より感謝いたしております。

令和4年度は、整形外科は間島(2014年度より)、小児科は平井洋生准教授(2021年度より)、脳神経外科は大塚祥浩助教(2022年度より)、中村和助教(2022年度より)の4名のスタッフが、四国中央病院とHITO病院内のサテライトセンターで活動しました。

整形外科は、HITO病院において四国中央市の救急外傷、関節疾患、高齢者骨脆弱性骨折の治療に取り組みました。多くの骨折患者に対しては、術後のロボットリハビリテーションを積極的に導入し、多角的なアプローチを用いて高齢者患者の早期回復を目指しています。人工関節センター(2016年4月開設)では、宇摩地区の皆様に人工関節の最先端医療を提供できる体制を構築、近隣地域からの紹介も増加し、手術症例数は年間100症例を超えています。令和4年度からは、高齢者の大腿骨近位部骨折患者に対する二次骨折予防活動を、院内だけではなく四国中央市全体に広げる活動に取り組んでいます。

脳神経外科は、HITO病院にて脳神経、脊髄・脊椎疾患の治療にあたるとともに、脳卒中治療に積極的に取り組んでいます。2014年に開設した脳卒中センターは、2019年には脳卒中学会から四国中央市内唯一の一次脳卒中センターとして認定を受けています。時間との戦いといわれている脳卒中に対してより迅速な診療・治療を行うことが可能な環境・設備を整えました。また、四国中央市における脳外科医師不足に対応するため、オンラインで愛媛大学病院とデジタル回線を結びリアルタイムに連携を取れる遠隔手術支援システムの検証を継続して行っています。

小児科は、四国中央市における唯一の小児入院施設である四国中央病院にて、小児救急医療のための東予東部救急輪番制整備と維持に加え、予防接種や気管支喘息等の慢性疾患、感染症を診療しています。近年は発達障害や不登校などに総合的に対応するニーズが増加しています。また、当地区唯一の分娩取り扱い病院でもあり、助産師が中心となって虐待や養育困難のハイリスク妊婦に対しても早期から介入しています。四国中央市の行政や教育機関と定期的な情報交換を行い、各機関と連携した活動を行っています。

本年度も新型コロナウィルス感染症のため、講座主催の市民講座や運動教室が開催できず大変残念な一年でした。自宅に引きこもっている高齢者にとって、今こそ継続的な運動療法や栄養指導が必要です。地元のケーブルテレビを利用した自宅で簡単に行えるロコモ運動・栄養教室プログラムを、令和5年度から開始できるように準備しています。

地域医療再生学講座では、専門医による専門医療を提供するだけではなく、地域の子供たちの健やかな成長、高齢者の健康維持や豊かな生活に役立つ活動を継続していきたいと考えております。また、次世代の地域医療を担う研修医や若手医師の受け皿となってまいります。これからもご協力やご指導をよろしくお願い申し上げます。

 

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