これまでの経過

脳卒中地域連携パスは、今治地区で作成して、それを県全域で使用することが承認されましたが、県下各地域でも内容を検討し、改訂していくことが決められました。現在使用されている最新版パス(Version 2.0)は、患者用(図1)、基本情報(図2)、急性期用(図3a、b)、回復期用(図4a、b)、および維持期用(図5)からなります。

連携会議は、各地域で施設数や医師数に違いがあるため、実情に合った形式で運営されています。現在は作業部会として、中予地区(愛媛県医師会館にて)、今治地区(済生会今治病院にて)、南予地区(市立宇和島病院にて)、宇摩地区(HITO病院にて)で開催されています。中予地区では第1回が2008年3月26日に開催され、最近の第20回は2016年7月13日に行われました。また、今治地区では第1回が2007年11月28日に開催され、最近の第31回は2016年6月6日に行われました。南予地区では、第1回が2008年6月6日に開催され、最近の第10回は2016年8月26日に行われました。

それに加え、各地区の連携会議参加者を対象にして年1回の学術講演会が松山市で開催され、教育講演と県下各地区での地域医療連携の現状報告が行なわれてきました。第1回学術講演会は平成20年7月10日に、最近の第9回は平成28年9月21日に開催されました。これまでの学術講演を表1(※)に示します。また、本研究会への参加施設はこちらをご覧ください。

※表1 これまでの学術講演(PDF)

これまでの活動から

医療側の成果

  1. 急性期施設と回復期リハビリテーション施設とのFace to Faceの関係を築くことができました。
  2. 作業部会での協議や症例検討を通じて、急性期施設と回復期施設での診療内容を理解することができ、相互の信頼関係を築くことにつながりました。
  3. 各施設間の情報伝達は連携室を経由して行われることになり、窓口が一本化され、転院が円滑になりました。
  4. 急性期施設から回復期リハビリテーション施設に転院された患者様が、リハビリテーション施設を退院されるときの情報が、急性期病院に提供されるので、全体の経過を把握できました。

患者側の成果

  1. 急性期病院に入院後早期に、脳卒中診療の連携システムの有用性を患者側にご理解頂くことで、転院時の様々な不安が軽減されたと考えられます。
  2. 連携パスを使用するために、回復期リハビリテーション施設にとって必要な患者情報が確実に伝達されます。
  3. 急性期施設と回復期施設との情報伝達が円滑になり、回復期リハビリテーション転院後の再発や急変時でも、直ちに急性期施設に依頼できます。
  4. 回復期リハビリテーションにてリハビリが終了し、退院する際には、患者様の神経機能障害に応じて、在宅医療のサポートやアドバイスを提供してくれます。

今後の課題

  1. 急性期施設と回復期リハビリテーション施設との連携は進んだが、維持期施設との関係は不十分である。再発防止のためには、必要であり、今後の最優先課題です。
  2. 連携の効果を実証するためには、連携システム構築による機能回復の向上についての検討が必要です。しかし連携パスは紙ベースであり、記載漏れや保管方法(各病院電子カルテへの取り込み、紙パスのまま保管)の問題もあって、各施設データを集計する解析は困難です。ICT化による急性期、回復期、維持期での情報共有が必要と考えられます。

参考資料

参考資料をPDFでご覧頂けます。