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免疫学・感染防御学講座

免疫学・感染防御学

教授

山下 政克

Masakatsu YAMASHITA

研究内容

1)メモリーT細胞分化機構解明

 抗原認識後のT細胞運命決定について、エピジェネティクスと細胞内代謝に着目して研究しています。抗原を認識したことのないナイーブT細胞は、抗原認識により活性化しクローン増殖をしながらエフェクターT細胞へと分化します。分化したエフェクターT細胞の一部は、抗原排除後も二次リンパ組織、骨髄や末梢臓器において特にメモリーT細胞として長期間存在し、次の同一抗原の侵入に備えます。現在では、メモリーT細胞は、ステムセルメモリー(TSCM)、セントラルメモリー(TCM)、エフェクターメモリー(TEM)などの循環型メモリーT細胞(TCIRC)とティッシュレジデントメモリーと呼ばれる組織在住型メモリーT細胞(TRM)などのサブセットに分類されていますが、その分化選択の機構は明らかになっていません。また、TRM中に存在すると考えられている病原性メモリーT細胞(TPATH)の分化機構や記憶T細胞の組織移行の分子機構も完全に解明されているわけではありません。私は、ポリコーム群遺伝子及びトライソラクス群遺伝子とその標的遺伝子に着目して、メモリーT細胞サブセット分化の代謝-エピゲノム制御機構を明らかにするとともに、分化調節法を確立することにより改変T細胞免疫療法や新規慢性炎症治療法の提唱につなげたいと考えています。

2)T細胞老化の分子機構解明

 T細胞をはじめとする免疫系は加齢とともに老化(T細胞老化/免疫老化)し、免疫能が低下すると考えられています。免疫老化は、がん、慢性感染症、認知症、循環器疾患、糖尿病や自己免疫疾患など、多くの加齢性疾患の発症のリスク因子となります。また、免疫回復力(免疫レジリエンス)という概念が提唱されています。いくつかの研究結果は、免疫老化に伴って免疫レジリエンスが低下することが、加齢疾患発症や疾患予後の悪化につながることを示唆しており、免疫レジリエンスは、さまざまな加齢関連疾患の予測因子となることが期待されています。免疫レジリエンス低下の簡便な指標として、末梢血のCD4 T細胞/CD8 T細胞比率が示されていますが、免疫老化・免疫レジリエンスの低下を正確に測定するマーカー群は未だ同定されていません。そこで、末梢血生体分子情報をマルチオミックス解析することで、免疫レジリエンスの正確な評価方法を確立すること目指します。

略歴

1989年筑波大学第二学群農林学類 卒業
1991年大阪大学医学研究科医科学修士課程 修了
1991年 藤沢薬品工業(株)新薬研究所
1996年- 1998年東京理科大学生命科学研究所(出向)
1998年博士(薬学)取得
1998年千葉大学医学部分子免疫学講座(助手)
2000年若手研究推進事業さきがけ研究21専任研究員
2002年千葉大学大学院医学研究院免疫発生学講座(講師)
2004年千葉大学大学院医学研究院免疫発生学講座(助教授、准教授)
2010年公財 かずさDNA研究所ヒトゲノム研究部(室長)
2012年- 現在愛媛大学大学院医学系研究科免疫学講座(教授)
2018年- 現在愛媛大学大学院医学系研究科感染防御学講座(兼任教授)

所属学会

  • 日本免疫学会
  • 日本アレルギー学会
  • 日本がん免疫学会
  • 日本がん学会
  • 日本分子生物学会

担当授業科目

  • 免疫学
  • 病原生物学

アピールポイント

とやまふるさと大使です

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