国立大学で初めて「羊膜バンク」を設立しました
医学部附属病院は,平成27年8月29日に日本組織移植学会から,組織バンク(カテゴリーI)として認定を受け,国立大学で初となる「羊膜バンク」を設立しました。
羊膜とは,妊婦の子宮内にある胎盤の一部で,胎児を包み,羊水を保持している薄い膜のことです。 今までは出産後の排泄物として扱われていましたが,羊膜は薄く伸縮性に富んでおり,また血管成分を含まないため,移植に用いても拒絶反応が起こりにくいという特徴をもっています。その為,近年皮膚科や耳鼻科では,熱傷などの創傷部を被覆する目的で使用され,また,眼科でも瘢痕性角結膜上皮症に対する羊膜移植術の臨床応用が行われる等,羊膜は再生医療分野での新しい素材として応用され始めています。
これらのことから,厚生労働省は,羊膜移植の安全な実施に向けての体制を整えることを医療機関に求めています。本院も羊膜移植実施の為に体制整備を進め,日本組織移植学会から,組織バンク(カテゴリーI)の認定を受け,「羊膜バンク」を設立することとなりました。
組織バンク(カテゴリーI)とは,羊膜を採取,保存し,その羊膜を自施設のみならず,他施設にも羊膜を斡旋することができる施設をいいます。今回の認定により,当院から遠方の患者さんも,近隣の医療機関で羊膜移植を受けることができるという可能性が広がりました。
当院では,今後も最新の安全な医療の提供ができるよう体制作りを進めていきます。
