Course

循環生理学

Course introduction

講座紹介

器官・形態領域
循環生理学

生理学は生体の情報を

収集し、分析し、予測する

学問である。

このトレーニングが

医師としての診断力や、

治療法・予防法の

選定力につながる。

当講座では、生体を構成する各組織・器官の生理機能や発生・分化機構について蛋白質レベルや遺伝子改変動物レベルでの基礎研究を推進しています。そしてその成果を、臨床医学に応用することを目指しています。教育では、医学科1年生の基礎医学展望と、2年生の人体生理学講義および実習を担当しています。特に、人体において体液の恒常性を維持するために、循環器系、呼吸器系、消化器系、泌尿器系、神経系、内分泌系の器官群が、いかに統合的に作用しているかに力点をおいて授業しています。

【講座問い合わせ先】

器官・形態領域 循環生理学 〒791-0295愛媛県東温市志津川454
TEL:089-960-5245 / FAX:089-960-5246
公式HP http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/physiology2/

Research content

研究内容

  • RNA結合タンパク質Acin1の生理機能の解析

遺伝子の発現は転写レベルだけでなく、スプライシング、mRNAの化学修飾、核外輸送、安定性の調節、翻訳制御など、多段階にわたる転写後調節によって精密に制御されている。これらの過程には多種多様なRNA結合タンパク質が関与している。なかでも選択的スプライシング(AS)は特に重要な役割を担い、単一の遺伝子から構造・細胞内局在・発現量・生物学的機能の異なる複数のタンパク質アイソフォームを生み出す主要な機構である。ヒト遺伝子の90%以上がその対象となり、ASの破綻は細胞・組織・個体レベルでの重篤な機能異常や疾患を引き起こしうるため、その制御機構の解明はきわめて重要な課題である。

我々は、アポトーシス時のクロマチン凝縮誘導因子として同定されたAcin1(Acinus)が、RNA結合タンパク質としても機能する点に着目している。Acin1コンディショナルノックアウトマウスを作製し、各組織におけるAcin1の生体高次機能の解析を進めている(Aoto M et al., Sci Rep. 2025)。さらに、新規Acin1結合タンパク質の探索を通じて、RNAプロセシングにおけるAcin1の生化学的役割の全容解明を目指している。

  • 神経細胞の分化や脳の発生機序の解明

神経幹細胞は自己複製するとともに、脳を構成する神経細胞や各種グリア細胞に分化をします。この分化メカニズムはまだよくわかっていませんが、近年Zfp521という因子が神経細胞への分化に重要であることが明らかとなりました。我々はZfp521遺伝子を欠損したマウスを作製し、その生体での役割を調べています。これまでにこのマウスは統合失調症様の行動を見せること(Ohkubo N et al., PLoS One, 2014, Ohkubo N et al., Ehime Med. J., 2016)、脳内モノアミン量の変化があること(Ohkubo N et al., Life Sci., 2019)などを明らかにしてきました。本研究の成果は、神経幹細胞分化機構や脳の発生機構を明らかにするとともに、精神疾患や神経変性疾患の発症メカニズムや治療法に結びつくと考えています。

  • 血液の微小循環の制御に関わる因子の探索

血液の微小循環とは、細動脈・毛細血管・細静脈レベルで行われる血液循環のことです。全身の細胞に酸素と栄養を届け、老廃物を回収するという、いわば「生命維持の最前線」の役割を担っています。微小血管は全血管の95%以上を占めており、細胞の代謝や免疫応答、組織の修復に欠かせません。我々は、この微小循環の制御に関わる物質の探索に取り組んでいます。

Main achievements

主な実績

  • Aoto M, Sakai H, Tokunaga N, Miyazaki M, Kiyoi T, Ohkubo N, Imai Y, Mitsuda N. The splicing factor Acin1 is essential for embryonic development but has limited effects on muscle structure and homeostasis. Sci Rep. 2025, 15(1):14017. doi: 10.1038/s41598-025-98851-x.
  • Ohkubo N, Aoto M, Kon K, Mitsuda N. Lack of zinc finger protein 521 upregulates dopamine β-hydroxylase expression in the mouse brain, leading to abnormal behavior. Life Sci. 2019, 231:116559. doi: 10.1016/j.lfs.2019.116559.
  • Aoto M, Iwashita A, Mita K, Ohkubo N, Tsujimoto Y, Mitsuda N. Transferrin receptor 1 is required for enucleation of mouse erythroblasts during terminal differentiation. FEBS Open Bio. 2019, 9(2):291-303. doi: 10.1002/2211-5463.12573.
  • Ohkubo N, Matsubara E, Yamanouchi J, Akazawa R, Aoto M, Suzuki Y, Sakai I, Abe T, Kiyonari H, Matsuda S, Yasukawa M, Mitsuda N. Abnormal behaviors and developmental disorder of hippocampus in zinc finger protein 521 (ZFP521) mutant mice. PLoS One. 2014; 9(3):e92848. doi: 10.1371/journal.pone.0092848.

Staff introduction

スタッフ紹介

循環生理学 教授
満田 憲昭

教授からのメッセージ


〜 探究心と創造性を持とう 〜
医学部に在学中あるいは卒業後の皆さんは、医師免許を取得したのちにたくさんの医療技術を習得するでしょう。しかしそれだけでは単なる技術者に過ぎません。優れた医師とは、患者さん・住民・医療スタッフ・後輩医師に対する指導者であり、教育者でなければなりません。そして優れた指導者や教育者は、探究心や創造性を持ち合わせていなければならないと私は考えています。これらの能力は自分で研究を行うことを通じて身に着けるしかありません。また、日進月歩の医療についていくためには、自ら先端医療について学ぶ習慣を身に着けていなければなりません。そのためには外国語の論文を読む能力も必要です。私は医学部を卒業後10年間ほど臨床講座に身を置いたのち、基礎医学講座に移り基礎研究を開始しました。当講座では、経歴、年齢を問いません。基礎研究に興味がある方は、ぜひ訪ねてみてください。

スタッフ紹介