Course

先進呼吸器外科学

Course introduction

講座紹介

提案型寄附講座
先進呼吸器外科学

大学病院と市中病院の長所と短所を勘案し、患者様の利便性をより重視した新しい相互補完的関係を構築する

先進呼吸器外科講座は、現在の地域医療、特に呼吸器診療における歪や問題点を解決するために設立された講座です。地域医療として特に脚光を浴びているのは、いわゆる過疎地における医療体制の不備と考えられがちですが、問題はそこだけではありません。実は地域の中心部の基幹施設においても様々な問題点が浮かび上がっています。

例えば現在、愛媛県で肺癌の手術をコンスタントに行っている施設は、東予に1施設、南予に1施設です。もっとも人口の多い中予地区には4か所ありますが、実情としては需要に追いついておらず、そのほとんどの施設で肺癌手術は1~3か月待ちとなっています。実際当院においても、現在手術は1か月半から3か月待ちで、患者さんは「その間に癌が進んでしまうのではないか」という恐れを常に持って過ごすことになります。この現状を何とか打開しようと多くの方策を探ってきましたが、病院のキャパシティー的に限界であると知らされ、打ちのめされてきました。

そこで誕生したのが本講座です。愛媛大学医学科においても「地域医療にかかわる講座(センター)」が作られていますが、そのほとんどが過疎地域と大学病院を繋げることによってそれら医療過疎地域に医療資源を供給する手段として機能しています。この度、我々が考えたのが、都会における医療過疎、医療難民を救済するための組織、「都市部における地域医療センター」という構想です。大学病院と市中病院、お互いの得意な部分と足りない部分を相互補完することによって、一つの組織を新たに作り上げようというもので、それを実現するために設立された講座です。

【講座問い合わせ先】

提案型寄附講座 先進呼吸器外科学講座

〒791-0295 愛媛県東温市志津川454
TEL:089-960-5331 / FAX:089-960-5335
関連HP 心臓血管・呼吸器外科学講座 https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/surgery2/

Research content

研究内容

  • 都市部における地域医療センター構想の成否
  • 基幹施設とサテライトセンターにおける相互補完的な患者の流れの構築
  • 基幹施設とサテライトセンターにおける流動的なスタッフの流れの構築
  • 基幹施設とサテライトセンターにおける相互補完的な呼吸器外科医育成法の確立
  • 呼吸器疾患の早期発見と初期対応及び早期治療の可能性の追求
  • 肺癌における先進的外科治療
  • 呼吸器疾患に対する低侵襲手術(胸腔鏡下手術、単孔式胸腔鏡下手術、肺区域切除術, etc.)

Main achievements

主な実績

  • Sano Y, Okazaki M, Shigematsu H, Yamashita N, Sugimoto R, Sakao N, Mori Y, Yukumi S, Izutani H. Quality of life after partial lung resection with uniportal versus 3-port video-assisted thoracoscopic surgery: a prospective randomized controlled study. Surg Today. 2021: 51(11): 1755-1763.
  • Sano Y, Shigematsu H, Okazaki M, Sakao N, Mori Y, Yukumi S, Izutani H. Hoarseness after radical surgery with systematic lymph node dissection for primary lung cancer. Eur J Cardiothorac Surg. 2019;55(2):280-285.
  • Mori Y, Sano Y, Sugimoto R, Sakao N, Ryuko T, Takeda M, Kitazawa R, Yukumi S, Izutani H. Mediastinal and Hilar Lymph Node Metastases from Renal Cell Carcinoma with Concomitant Lung Carcinoma: A Rare Case with Unique Diagnostic Challenges. Acta Med Okayama. 2022;76(2):225-228.
  • Ryuko T, Sano Y, Kitazawa R, Otani S, Sakao N, Mori Y. Lung Metastasis from Thyroid Carcinoma Showing a Pure Ground-glass Nodule. Ann Thorac Surg. 2022 Jan 4:S0003-4975(22)00001-7.
  • Takeda M, Sano Y, Shigekawa S, Kitazawa R, Sugimoto R, Izutani H. Use of uniportal video-assisted thoracic surgery combined with a posterior approach to resect a dumbbell-shaped mediastinal granular cell tumor: A case report. Int J Surg Case Rep. 2021 Oct 1;88:106460.
  • Okazaki M, Sano Y, Mori Y, Sakao N, Yukumi S, Shigematsu H, Izutani H. Two cases of granuloma mimicking local recurrence after pulmonary segmentectomy. J Cardiothorac Surg. 2020;15(1):7.
  • Okazaki M, Sano Y, Soga Y, Katayama H, Sakao N, Shikatani Y, Yukumi S, Shigematsu H, Sugita A, Izutani H. Combined atypical carcinoid tumour and squamous cell carcinoma of the lung. Intern Med. 2015;54:1385-8.
  • Sano Y, Date H, Toyooka S, Oto T, Yamane M, Hiraki T, Gobara H, Mimura H, Kanazawa S. Percutaneous computed tomography-guided lung biopsy and pleural dissemination: an assessment by intraoperative pleural lavage cytology. Cancer. 115:5526-5533. 2009
  • Sano Y, Kanazawa S, Mimura H, Gobara H, Hiraki T, Fujiwara H, Yamane M, Toyooka S, Oto T, Date H. A novel strategy for treatment of metastatic pulmonary tumors: radiofrequency ablation in conjunction with surgery. J Thorac Oncol. 3:283-8. 2008
  • Sano Y, Kanazawa S, Gobara H, Mukai T, Hiraki T, Hase S, Toyooka S, Aoe M, Date H.Feasibility of percutaneous radiofrequency ablation for intrathoracic malignancies: a large single-center experience. Cancer, 109:1397-1405. 2007

Paper

論文

Staff introduction

スタッフ紹介

先進呼吸器外科学 教授
佐野 由文

教授からのメッセージ


本講座は、これからの地域医療形態の一つのモデルケースとなるようなセンターを作る構想です。現在の主流である市中病院から基幹病院への患者紹介と、基幹病院から市中病院への患者紹介、あるいは逆紹介というパターンでは難しい市中病院と基幹病院のスムーズな連携の形を、呼吸器分野という限定された分野のみではありますが、基幹病院と市中病院を完全にリンクさせるセンター構想によってシームレスな連携の形を構築することです。わかりやすく申し上げると、愛媛大学医学部附属病院呼吸器センターのサテライトセンターを南松山病院に置くというイメージです。二つのセンターは、患者のみならず医師をはじめとするスタッフもお互い自由に行き来することができる関係を目指しています。

具体的には、南松山病院の呼吸器センターにおいて呼吸器疾患患者を広く、またいち早く発見し、そこで可能であれば診断・治療を行いますが、困難あるいは不可能であると判断した場合には、素早く愛媛大学病院呼吸器センターに送ってタイムラグの少ない早期治療を行う、また大学病院で治療を行い、その後のリハビリ、あるいはフォローが必要な患者さんは南松山病院に送って追加加療を行うというシステムです。そこに介在するのは単なる「紹介状」や「情報提供書」ではなく、医師やスタッフとなるため、より密な関係が築け、それは患者さんにとって非常に大きな裨益となると考えられます。また今後行き詰まりが生じる可能性が示唆される我が国の医療にも一筋の光を投じることになると信じております。

スタッフ紹介


  • 佐野 由文 (先進呼吸器外科学教授・呼吸器センター センター長)