Course

循環生理学

Course introduction

講座紹介

器官・形態領域
循環生理学

生理学は生体の情報を

収集し、分析し、予測する

学問である。

このトレーニングが

医師としての診断力や、

治療法・予防法の

選定力につながる。

当講座では、血液、血管、脳の機能的・形態的な発生・分化機構について蛋白質レベルや遺伝子改変動物レベルでの基礎研究を推進しています。そしてその成果を、臨床医学に応用することを目指しています。教育では、医学科1年生の基礎医学展望と、2年生の人体生理学講義および実習を担当しています。特に、人体において体液の恒常性を維持するために、循環器系、呼吸器系、消化器系、泌尿器系、神経系、内分泌系の器官群が、いかに統合的に作用しているかに力点をおいて授業しています。

【講座問い合わせ先】

器官・形態領域 循環生理学 〒791-0295愛媛県東温市志津川454
TEL:089-960-5245 / FAX:089-960-5246
公式HP http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/physiology2/

Research content

研究内容

  • 赤芽球分化の分子メカニズムの解明

赤血球の最終成熟過程において起こる脱核現象のメカニズムを解明し、その制御方法を開発することを目的としています。赤芽球の脱核は、生体の循環機能や呼吸機能の維持に重要な役割を果たしていますが、その分子機構については未だにほとんど解明されていません。また現在、輸血用の赤血球は献血により賄っていますが、その安定的な供給のために、造血幹細胞やiPS細胞からの成熟赤血球の人工的作製技術の確立が期待されています。そのなかで問題となっているのは、最終分化過程である脱核の効率の低さです。我々の研究成果は、幹細胞からの安定した赤血球産生システムを構築するための基盤となります。

  • 神経細胞の分化や脳の発生機序の解明

神経幹細胞は自己複製するとともに、脳を構成する神経細胞や各種グリア細胞に分化をします。この分化メカニズムはまだよくわかっていませんが、近年Zfp521という因子が神経細胞への分化に重要であることが明らかとなりました。我々はZfp521遺伝子を欠損したマウスを作製し、その生体での役割を調べています。これまでにこのマウスは統合失調症様の行動を見せること(Ohkubo N et al., PLoS One, 2014, Ohkubo N et al., Ehime Med. J., 2016)、脳内モノアミン量の変化があること(Ohkubo N et al., Life Sci., 2019)などを明らかにしてきました。本研究の成果は、神経幹細胞分化機構や脳の発生機構を明らかにするとともに、精神疾患や神経変性疾患の発症メカニズムや治療法に結びつくと考えています。

  • 血管新生の制御に関わる因子の探索

血管新生は、生体機能の回復や疾病の進行などの幅広い生命現象に関わっています。そこで我々は、血管新生の制御に効果的に関わる物質を探索しています。

Main achievements

主な実績

  • Ohkubo N, Aoto M, Kon K, Mitsuda N. Lack of zinc finger protein 521 upregulates dopamine β-hydroxylase expression in the mouse brain, leading to abnormal behavior. Life Sci. 2019, 231:116559. doi: 10.1016/j.lfs.2019.116559.
  • Aoto M, Iwashita A, Mita K, Ohkubo N, Tsujimoto Y, Mitsuda N. Transferrin receptor 1 is required for enucleation of mouse erythroblasts during terminal differentiation. FEBS Open Bio. 2019, 9(2):291-303. doi: 10.1002/2211-5463.12573.
  • Ohkubo N, Matsubara E, Yamanouchi J, Akazawa R, Aoto M, Suzuki Y, Sakai I, Abe T, Kiyonari H, Matsuda S, Yasukawa M, Mitsuda N. Abnormal behaviors and developmental disorder of hippocampus in zinc finger protein 521 (ZFP521) mutant mice. PLoS One. 2014; 9(3):e92848. doi: 10.1371/journal.pone.0092848.

Staff introduction

スタッフ紹介

循環生理学 教授
満田 憲昭

教授からのメッセージ


〜 探究心と創造性を持とう 〜
医学部に在学中あるいは卒業後の皆さんは、医師免許を取得したのちにたくさんの医療技術を習得するでしょう。しかしそれだけでは単なる技術者に過ぎません。優れた医師とは、患者さん・住民・医療スタッフ・後輩医師に対する指導者であり、教育者でなければなりません。そして優れた指導者や教育者は、探究心や創造性を持ち合わせていなければならないと私は考えています。これらの能力は自分で研究を行うことを通じて身に着けるしかありません。また、日進月歩の医療についていくためには、自ら先端医療について学ぶ習慣を身に着けていなければなりません。そのためには外国語の論文を読む能力も必要です。私は医学部を卒業後10年間ほど臨床講座に身を置いたのち、基礎医学講座に移り基礎研究を開始しました。当講座では、経歴、年齢を問いません。基礎研究に興味がある方は、ぜひ訪ねてみてください。

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