Course

泌尿器科学

Course introduction

講座紹介

器官・形態領域
泌尿器科学

課題を夢に

泌尿器科学講座では腎尿路性器疾患を扱う総合診療であるという観点から、臨床、研究および教育活動に取り組んでいます。研究面では泌尿器悪性腫瘍における基盤的研究として前立腺癌の発生や転移機序の解明、腎尿路性器癌における癌免疫機構への新しいアプローチや工学部との共同研究で、ロボット手術と画像処理の組み合わせや小児泌尿器科における新しい画像診断技術の開発に取り組んでいます。さらに多数の手術/臨床データをもとに、総合診療科としての外科的治療の位置づけやより良い治療方針を見出すべく臨床的解析を進めています。教室員の連携や一方で無駄な雑務を軽減することでワークライフバランスの双方向的向上を目指しています。

【講座問い合わせ先】

器官・形態領域 泌尿器科学 〒791-0295 愛媛県東温市志津川454
TEL:089-960-5356 / FAX:089-960-5358
公式HP http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/urology/

Research content

研究内容

  • 1.前立腺癌の骨転移を制御する分子の探索

前立腺癌特異的な骨転移の分子機構の解明のために、前立腺癌細胞株のマイクロアレイデータおよび骨転移を有する前立腺癌患者の臨床サンプルを用いた遺伝子発現データベースから骨転移に関連する候補因子を探索している。既に同定したGPRC5Aはノックアウトにより、in vitroおよびin vivoにおいて増殖が著明に抑制され、in vivoにおいて骨転移成立の抑制を認めた。ヒト前立腺癌生検組織 を用いた解析の結果、GPRC5Aの免疫染色性は、Gleason Scoreおよび骨転移の有無と有意な正の相関を示した。現在、他の候補因子につき研究を継続している。

  • 2.前立腺癌の新規標的分子の探索と機能解析に基づく臨床応用研究

前立腺癌患者の約15%に共通して見られる変異遺伝子としてSPOPが知られている。SPOPはCullin3 (CUL3)をプラットフォームとするユビキチンE3リガーゼの基質受容体であり、アンドロゲン受容体やERGを代表とする標的基質の報告はあるがSPOPの基質は正確には把握されていない。SPOPの新たな基質を含めた基質探索を愛媛大学プロテオサイエンスセンターが独自に開発したヒトFlag-タグ24000タンパク質アレイを基盤としたAplhaScreenアッセイシステムを用いながら進めている。
本研究により見出される新規標的分子を、前立腺癌の治療及び診断に応用することを目指している。

  • 3.腎盂内圧測定を行う検査機器の開発

無症候性水腎症の病態は、腎盂尿管移行部の狭窄により腎盂から尿管の通過障害が起こり腎盂内に尿が停滞する。そして、腎盂内圧上昇により腎実質での尿の産生障害、尿の直接的な腎実質への圧排が腎機能を悪化させると考えられている。しかし、腎盂内圧を測定する方法として体表より腎盂に針を穿刺し直接圧力を測る非生理的な侵襲的検査(Whitaker test)であり、手術適応をきめる検査としては使用されていない。腎盂内圧が与える腎実質への影響を解明することが水腎症の病態を把握する上で重要であり、生理的かつ非侵襲的な腎盂内圧測定方法を開発することが必要となる。愛媛大学工学部との共同でエラストグラフィとアレイセンシングを組み合わせた測定理論を考案し実験モデルを用いて検証を行う。

  • 4.映像トラヒック削減含めた遠隔指導システム構築

現在普及している泌尿器科におけるロボット手術は前立腺癌手術を中心に多くの経験が蓄積されてきた。一方で、ロボット手術に長けた熟練医と不慣れな医師との間で技術格差が認められることがあり熟練医の遠隔指導による技術向上が期待される。大阪大学工学部との共同でロボット手術技術の遠隔指導サ ービス実現を目的とし高精細・多次元映像伝送を元にした医療分野における遠隔指導サ ービスにもたらす影響を明らかにする。

Main achievements

主な実績

  • Yanagihara Y, Nishida K, Watanabe R, Koyama K, Sawada Y, Noda T, Asai S, Fukumoto T, Miura N, Miyauchi Y, Kikugawa T, Saika T dical Cystectomy in Elderly Patients: A Comparative Analysis of Clinical Outcomes in a Single Institution 73(5):413-418, 2019
  • Asai S, Fukumoto T, Watanabe R, Koyama K, Sawada Y, Noda T, Miura N, Yanagihara Y, Miyauchi Y, Miyagawa M, Kikugawa T, Saika T New classification of hydronephrosis on 18F-FDG- PET/CT predicts post-operative renal function and muscle-invasive disease in patients with upper urinary tract urothelial carcinoma. 48(11):1022-1027, 2018
  • Saika T, Miura N, Fukumoto T, Yanagihara Y, Miyauchi Y, Kikugawa T Role of robot-assisted radical prostatectomy in locally advanced prostate cancer. 25(1):30-35, 2018
  • Miyauchi Y, Noda T, Miura N, Kikugawa T, Saika T Case Report of Living Kidney Transplantation Using Ectopic Pelvic Kidney Harvested by Reduced Port Laparoscopic Donor Nephrectomy. 50(10):3917-3919, 2018

Staff introduction

スタッフ紹介

教授からのメッセージ


私たち外科系医師は完璧な手術など存在しないことを知っているように、医療は常に不確実、不完全で課題に満ちています。克服しなければならない課題の解決は苦しいように思えますが、課題解決を夢に換えていくことで夢を追求する喜びにすることが出来ます。臨床と同様に医学研究においても解決すべき課題が高みにあるほどそこに挑戦する喜びと達成感は大きくなります。われわれ泌尿器科講座は臨床的/研究的課題を大事にして大きな夢に向かって進んでいます。

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