アレルギー疾患医療拠点
病院について

愛媛県において、「アレルギー疾患対策基本法」および「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」に基づき、居住する地域に関わらず、そのアレルギーの状態に応じて適切な医療が受けられるよう、アレルギー疾患対策の充実・強化を進めることとしています。 愛媛大学医学部附属病院は、その一環として、令和3年10月1日に「愛媛県アレルギー疾患医療拠点病院」として指定されました。

イメージ:愛媛県アレルギー疾患医療拠点病院

アレルギー疾患医療拠点病院の主な役割

アレルギー疾患医療拠点病院は、各都道府県のアレルギー疾患医療の拠点となる医療機関であり、都道府県連絡協議会で検討されるアレルギー疾患対策に基づき、以下の役割を担っています。

1

診察
重症及び難治性アレルギー疾患を抱える患者さんへ、必要に応じて関係する複数の診療科が連携する診断、治療、管理

2

情報提供
地域住民へのアレルギー疾患に関する適切な情報の提供や、アレルギー疾患を抱えた患者さん及びその家族に対する定期的な講習会・啓発活動

3

人材育成
アレルギー疾患医療に携わる医療従事者の知識や技能を向上するための研修の実施や、健師、栄養士、学校及び児童福祉施設等の教職員等に対する講習の実施

4

研究
都道府県におけるアレルギー疾患対策の推進を支援するため、アレルギー疾患対策の状況やアレルギー疾患の地域特性などの実情を継続的に把握するための調査・分析の実施や、国が長期的かつ戦略的に推進する大規模な疫学調査や臨床研究等への協力

5

学校、児童福祉施設等における
アレルギー疾患対応への助言、支援
学校や児童福祉施設等におけるアレルギー疾患に関する諸問題について、市区町村の教育委員会や関係部局への医学的見地からの助言、支援

アレルギー疾患診療のために

患者さんが、安心して治療を受け、 継続していただける診療体制を目指したい。

ヒトの体には「免疫」と呼ばれる、細菌、ウイルスなどの体にとっての外敵や、様々な異物から身を守る仕組みがあります。しかし、その働きに異常を来してしまい、多くは過剰に反応して、くしゃみ、発疹、呼吸困難、下痢、ショックなど、多彩な症状を引き起こすことをアレルギーと言います。 よく知られているアレルギー疾患には、アレルギー性蕁麻疹、花粉症などのアレルギー性結膜炎やアレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などがあります。またその他に、食物アレルギー、好酸球性胃腸炎などの消化管アレルギー、さらに薬物によるアレルギー、金属アレルギー、職業性アレルギー、そして緊急性のあるアナフィラキシーなど、生活環境の中で遭遇する様々な物質(抗原)に対する反応が含まれます。 これらのアレルギー疾患は、引き起こされる機序は比較的共通しているものの、反応の原因となる物質とその反応の部位、臓器により、症状も多彩であり、様々な診療科が専門性を持ってその診療にあたっています。その診療には、全身病としての診療科の間の情報共有や連携、さらに病院とかかりつけ医との間での診療連携が大切となります。 昨今、増加の一途をたどっているアレルギー疾患に対して、全国において、そして愛媛県においても、診療体制の構築と、病院間の連携、診療ネットワーク作りが必要となっています。厚生労働省では、平成26年にアレルギー疾患対策基本指針が制定され、アレルギー疾患対策を総合的に推進することを示しました。その中で、都道府県においてアレルギー疾患医療拠点病院を指定し、診療連携の協力体制を整備することが求められています。これらの状況を受けて、愛媛県では、愛媛県アレルギー疾患医療連絡協議会を立ち上げ、その中で県のアレルギー診療体制についての話し合いがなされました。それらの議論を踏まえて、愛媛大学医学部附属病院がアレルギーに関連する各診療科の診療体制が整っていると評価され、愛媛県から令和3年10月1日に、愛媛県アレルギー疾患医療拠点病院として指定を受けました。 現在、愛媛大学医学部附属病院では、アレルギー疾患医療拠点病院指定関係ワーキンググループを組織し、主にアレルギー診療に関わる、内科(呼吸器内科、消化器内科)、小児科、眼科、皮膚科、耳鼻咽喉科の代表者を委員として指名するとともに、診療科横断的なアレルギーに対する診療体制の構築と、拡充をしているところです。 今後、愛媛大学医学部附属病院では、アレルギー疾患に対する診療の充実とともに、関連する診療科の連携、専門医およびコーディネーターの育成を進め、市民公開講座などによるアレルギー疾患の啓発、アレルギーに関連する研究会などの支援に力を入れていきます。さらに、愛媛県内でアレルギー疾患に尽力されている愛媛県立中央病院、松山赤十字病院、愛媛県立今治病院、市立宇和島病院、西条中央病院などの関連医療機関、かかりつけ医との診療ネットワークを作り、連携を深めて、アレルギー疾患に悩まれる患者さんが、さらに安心して治療を受け、継続していただける診療体制を目指したいと存じております。 ぜひ、我々のアレルギー疾患に対する活動をご支援いただき、WEBで提供させていただいている資材や情報をご利用いただくとともに、アレルギー疾患に対する理解を深めていただき、愛媛県におけるアレルギー疾患の診療にご協力をいただければ幸いです。何卒よろしく御願い申し上げます。

愛媛大学医学部附属病院 第三内科 診療科長 アレルギー疾患医療拠点病院指定関係ワーキンググループ委員長

日浅 陽一