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2020.06.19 お知らせ

抗加齢医学(新田ゼラチン)講座の伊賀瀬教授が共同研究に参加した論文がNature誌に掲載されました

イギリスの総合科学誌「ネイチャー」(2020年5月6日出版)に、抗加齢医学(新田ゼラチン)講座の伊賀瀬教授が参加した共同研究論文、

“Identification of type 2 diabetes loci in 433,540 East Asian individuals”(東アジア人集団における2型糖尿病に関わる新たな遺伝子領域の発見)が掲載されました。

 

2型糖尿病は日常的に血液中の糖が多い「高血糖状態」が続くことで、人の脳、心臓、腎臓などの臓器を傷めて脳卒中・心筋梗塞・腎不全を引き起こしたり、がん、認知症の発症に関連したりすることも知られている重大な疾患です。現在日本国内でも1,000万人以上が2型糖尿病であると言われています。

この2型糖尿病のかかりやすさは、いわゆる生活習慣の乱れなどの環境要因とともに遺伝要因によっても影響されますが、これまでは欧米人集団に比べ東アジア人集団におけるデータは不十分でした。

今回の研究ではノースカロライナ大学チャペルヒル校のSprackle博士ら4名が筆頭著者となり、2型糖尿病の遺伝素因を明らかにするためにGWAS(ゲノムワイド関連解析)という手法で得られた23の結果を統合してメタ解析が行われました。その結果トータルで40万人を超える規模の東アジア人集団の遺伝情報を用いて、2型糖尿病の発症のリスクを高める61の遺伝子領域が新たに同定されました。

本研究には日本からも複数の研究グループが参加しておりますが、愛媛大学医学部附属病院抗加齢予防医療センターの調整サンプルもアンチエイジング研究コホート(AASC)として貢献をしました。

本研究成果は、2型糖尿病の遺伝要因における筋肉や脂肪などのインスリン感受性に関わる組織・臓器の寄与を示し、2型糖尿病のより一層の病態解明や治療薬開発にも貢献することが期待されます。

 

雑誌名:「Nature」

論文タイトル:Identification of type 2 diabetes loci in 433,540 East Asian individuals

研究グループ:東京大学大学院医学系研究科, 理化学研究所 生命医科学研究センター,大阪大学大学院医学系研究科