医師を志す皆さん、こんにちは
総合臨床研修センター長
熊木 天児 Kumagi Teru
医師を志す皆さん、こんにちは。早速ですが、なぜ将来医師になりたいですか?1分間目を閉じて考えてみて下さい。幼少期の自身または親族の健康問題、医療従事者である親族やTV番組の影響などが挙げられると思います。一方では、親族や先生の勧めによる人もいるでしょう。ここで医学科での学びおよび医師に必要な資質に触れながら、卒業生および教員として医師を志す皆さんにメッセージを送りたいと思います。是非ともモチベーション向上に繋げて下さい。
医学科は将来像が明確なため、愛媛大学では入学から卒業まで教員や医師による強力な指導体制が確立しております。初めの2年で教養科目(物理など)および基礎医学(解剖学など)を学びます。その間にearly exposureと呼ばれる病院に出向く介護実習などの体験実習もあります。続いて2年弱かけて学ぶ臨床医学(内科学など)があり、基礎医学と同様に試験が次々と待っております。そして、4年次の秋に医療知識と実技マナーに関する共通試験に合格して初めてstudent doctorとして病院での臨床実習の資格が与えられます。ここまで読み、「試験ばかり?」、「臨床実習開始まで4年弱も?」と思ったことでしょう。はい、その通りです!入学してから臨床実習が始まるまでの期間は葛藤かもしれませんが、入学することがゴールではないのです。しっかりと地に足をつけ、積立貯金をする基礎固め期間です。4年次の冬からは臨床実習が始まり、患者さんと接することで社会的な責任感を実感します。実習中には残念ながら不幸な転帰を辿る患者さんに遭遇することもあります。それが契機で研究者を目指す人もいます。最後に、学生生活の関門である卒業試験(6年次の秋)と国家試験(6年次の2月)に合格して晴れて社会人です。しかし、ここもゴールではありません。医師として社会貢献するスタートラインに立っただけであり、ここからが本番です。数年間のトレーニング期間を経て、最高の治療成績を求めてアートを磨く者、最善の治療法を追求するべくサイエンスに没頭する者、地域医療に情熱を燃やす者、後進の教育・指導に没頭する者など、いずれも社会貢献です。
ところで、自身が病気になった時、誰に診てもらいたいですか?雑学を含めた知識や経験の豊富な医師に診てもらいたいですよね。全ての患者さんが親族だと思えば、学生時代をどのように過ごすべきか自ずと見えてきます。もちろん、意識せずに振る舞えるのがベストです。一方、患者さんが求めているのは医学だけではなく、温かみのある医療です。あいさつができる、綺麗な身だしなみでいる、誰とでも目を合わせて話せる、協調性があるなどは将来の医療従事者としては最低限の資質です。そして、他人の気持ちに共感でき、老若男女問わず優しく、究極的には人が好きであることも重要な資質です。しかし、人情味があるだけではいけません。やはり、研究者としての資質も必要です。根拠に基づく理科系思考回路、探究心や独創性を持ったリサーチマインドも求められます。そして、英語に抵抗のないことも重要です。
如何でしたか?医学生または医師としての将来像を漠然ながらも想像できましたか?各種試験を突破して、晴れて医学生および医師になる訳ですが、医学は日々進歩しており、学び続けることが医師の使命です。そして、社会貢献することが医師の責任です。そうなのです、一生学び続けられるんです!一生社会に貢献できるんです!これらのことに喜びを感じる人が進む道です。これ以上のやり甲斐はありません。有意義な学生生活を楽しみに今できることに取り組んで下さい。まずは受験突破ですね、皆さんの健闘を祈っております。