研究紹介

1. ヒト分化多能性獲得の分子メカニズム解明

マウスiPS細胞は様々な細胞への分化能獲得がしっかりとなされている。一方でヒトiPS細胞では、分化能の低さと株ごとの性質のゆらぎが問題視されている。この問題解決に向けて、ヒト分化多能性に固有なメカニズムの解明に向けた研究を行っている。

2. T-iPS細胞を活用した高効率分化誘導系の開発

DNA脱メチル化に働くTET1遺伝子を山中因子と協働させると、極めて分化能の高いiPS細胞(T⁻iPS細胞)が取得できることを見出している。本細胞を用い、臨床上で重要だと考える様々な神経細胞、グリア細胞さらには肝細胞を高純度で分化誘導し、その特性を解析している。

3. 創薬プロセスにおける毒性評価系の開発

iPS細胞を活用することで、創薬現場にヒト細胞を提供することが可能になった。独自に開発したT⁻iPS細胞の社会実装の一環として、この細胞から分化誘導したヒト細胞を用いて、あらかじめ毒性をテストできる細胞の提供を目指し、神経毒性や肝毒性を簡便に調べ得る毒性試験系の開発を行っている。

4. 神経外傷における自然免疫の作用の解明

5. 神経保護薬による脳卒中、神経外傷及び神経変性疾患の新規治療法の開発

脳梗塞や外傷性脳損傷など様々な神経損傷により誘導される生理活性分子の発現様式の解析を通じて、それぞれの損傷治癒に際して神経細胞やグリア細胞の役割を解明し、新しい治療法につながる研究を行っている。

AMED再生医療実用化研究事業・研究課題「高分化能を保有する新型ヒトiPS細胞T-iPS細胞の有用性実証研究」※2019年度~