• HOME
  • 活動報告
  • 平成23年度 地域医療再生学講座(寄附講座)活動報告書
2016.03.16 活動報告

平成23年度 地域医療再生学講座(寄附講座)活動報告書

平成24年3月
愛媛大学大学院医学系研究科 地域医療再生学講座

地域医療再生学(寄附)講座の平成23年度の1年間

畠山 隆雄 (地域再生医療学講座主任教授)

平成22年4月に私どもの地域医療再生学(寄附)講座が開設され、早や2年が経とうとしています。平成23年度の当講座のこの1年を振り返り、さらに次年度に向けた方針を述べたいと思います。

当講座の教員は、四国中央市役所にある「地域サテライトセンター」を通じて、宇摩圏域にある2か所の2次救急病院に救急などの診療の支援にあたっていますが、23年4月より公立学校共済組合四国中央病院に村尾紀久子助教から中野直子助教に勤務が交代となりました。これまで通り小児医療を継続しています。

4月18~28日まで、「地域サテライトセンター」がある石川病院にて、2名の愛媛大学医学生が地域医療の実習を行いました。今後も若い医師が愛媛に残る手立ての一つとして、医学生や研修医の研修ができるように支援を行います。

23年8月1日に、愛媛県から地域医療再生基金からの補助より、地域医療支援センターが愛媛大学医学部附属病院に開設されました。同センターは、地域医療に従事する医師確保と、その医師の地域の定着を図ることで医師の地域偏在の解消を目的として設置され、内部に総合臨床研修センター、医療手技習得のための様々なシミュレーターがあるスキルラボやトレーニングルーム、および地域医療支援の各講座が配置されています。当日開所式には、愛媛県、県内各自治体および大学から多くの関係者が出席されました。式典の後、同センター内において愛媛大学医学部地域支援の4つ講座による講演とパネルディスカッション「愛媛の地域医療はどうあるべきか」が開催されました。当講座から今川 弘教授による「地域医療におけるミッション」、私の「安心な地域医療をめざして」の講演が行われました。

11月には、愛媛県の地域診療機能強化事業からの補助により、宇摩圏域における「心筋梗塞患者における救急隊-病院連携体制の構築」と「脳卒中地域連携・相談機能の強化」の各事業が開始されました。前者の事業は、今川教授が中心となって四国中央消防署とともに、急性心筋梗塞患者について、救急車から二次救急病院に心電図データを伝送し、専門医が治療方針や搬送先を決定することにより、治療開始までの時間短縮を図るための、救急隊と病院の連携体制を構築するものです。後者は、篠原直樹助教、私と、同事業で採用された宮内凉子保健師が担当で、四国中央保健所・四国中央市の支援を受けて、脳卒中患者について、急性期から維持期までの地域医療連携パスの構築、脳卒中地域連携相談センターの設置、および維持期での医療・介護関係者や患者・家族が患者情報を共有するための患者管理手帳の作成・運用を行います。

宇摩圏域である四国中央市は、愛媛県の6医療圏中で、単位人口当たり医師、看護師および病床の数が最も低くなっています。平成21年度に宇摩圏域の地域医療再生計画にも挙げられたように、2次救急病院に過重な負担を掛けず、少ない医療資源を有効に活用するためには、不要・不急の時間外受診の抑制や地域における医療施設の機能分担などが必要とされています。当講座では、行政・2次救急病院・医師会と連携しながら、住民への救急や生活習慣病の講演会、地域の説明会等を通じて、応急処置や適正な医療機関への受診の啓蒙とともに、急性心筋梗塞患者における行政・医療機関との連携や脳卒中患者での地域医療連携の構築・支援を行ない、住民がより安心して地域で生活を送ることができるように地域医療に貢献していきます。