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2016.03.16 活動報告

平成24年度 地域医療再生学講座(寄附講座)活動報告書

平成24年3月
愛媛大学大学院医学系研究科 地域医療再生学講座

地域医療再生学(寄附)講座の度の1年間

畠山隆雄(地域医療再生学講座主任教授)

平成22年4月に私どもの地域医療再生学(寄附)講座が開設され、3年が経ちました。度の当講座のこの1年を振り返り、さらに次年度に向けた方針を述べたいと思います。

当講座の教員は、四国中央市役所にある「地域サテライトセンター」を通じて、宇摩圏域にある2か所の2次救急病院に救急などの診療の支援にあたっていますが、23年4月より公立学校共済組合四国中央病院では中野直子助教から本田美里助教に勤務が交代となり、さらに11月より本田美里助教から西村幸士助教に交代ました。これまで通り小児医療を継続しています。

24年4月~6月に、愛媛大学医学部付属病院から1名の2年目初期研修医が「地域サテライトセンター」がある石川病院で臨床研修を行いました。9月24日~28日に、2名の愛媛大学医学生1年生の介護体験実習を同病院で体験し、12月10日から25年3月29日まで18名の同大学5年生が地域医療の臨床実習を行いました。

24年11月15日愛媛大学医学部附属病院地域医療支援センター主催の第2回地域医療再生セミナーが開催され、愛媛県、県内各自治体および大学から多くの関係者が出席されました。同センターの事業説明の後、愛媛大学医学部地域支援の4つ講座による講演とパネルディスカッション「愛媛の地域医療はどうあるべきか」が開催されました。当講座から今川弘教授による「地域医療におけるミッション」、私の「地域医療連携の取り組み」の講演が行われました。

23年11月から始まった愛媛県の地域診療機能強化事業により、宇摩圏域では「心筋梗塞患者における救急隊-病院連携体制の構築」と「脳卒中地域連携・相談機能の強化」の各事業が展開されました。前者の事業は、二次救急病院と四国中央消防署の支援で、急性心筋梗塞患者について、救急車から二次救急病院に心電図データを伝送し、専門医が治療方針や搬送先を決定することにより、治療開始までの時間短縮を図るための、救急隊と病院の連携体制を強化するものです。運用開始が24年3月から行い、25年2月末の時点で65件の心電図伝送が行われました。後者は、四国中央保健所・四国中央市の支援を受けて、脳卒中患者について、急性期から維持期までの地域医療連携パスの構築、脳卒中地域連携相談センターの設置、および維持期での医療・介護関係者や患者・家族が患者情報を共有するための患者管理手帳の作成・運用を行います。24年9月より地域連携パスの運用が開始され、2月末までに4件の連携パスが行われました。退院後の脳卒中患者に対して、脳卒中患者管理手帳「脳卒中ノート」の配布も開始されました。

宇摩圏域である四国中央市は、愛媛県の6医療圏中で、単位人口当たり医師、看護師および病床の数が最も低くなっています。平成21年度に宇摩圏域の地域医療再生計画にも挙げられたように、二次救急病院に過重な負担を掛けず、少ない医療資源を有効に活用するためには、不要・不急の時間外受診の抑制や地域における医療施設の機能分担などが必要とされています。これは、地域とともにある当講座が開設から3年間変わらず目指してきたミッションでもあります。これからも、私どもは、行政・二次救急病院・医師会と連携しながら、住民への救急や生活習慣病の講演会、地域の説明会等を通じて、応急処置や適正な医療機関への受診の啓蒙とともに、小児医療、急性心筋梗塞患者における行政・医療機関との連携や脳卒中患者での地域医療連携の構築・支援を行ない、住民がより安心して地域で生活を送ることができるように地域医療に貢献していきます。