生殖医療研究部門
愛媛大学医学部附属病院 生殖医療部門では、最先端の不妊治療・生殖補助医療(ART)を提供するとともに、未来の医療発展のための臨床研究に精力的に取り組んでいます。特に近年、力を注いでいるのが「がん・生殖医療(妊孕性(にんようせい)温存治療)」です。がん治療を始める前の患者さんが、将来子どもを授かる可能性を残せるよう、卵子や受精卵の凍結保存、精子の凍結保存に加え、高度な技術を要する「卵巣組織凍結保存」にも対応しています。
また、これらのがん・生殖医療の発展と質の向上を目的としたデータベース「JOFR(日本がん・生殖医療学会データレジストリ)」に協力し、症例登録を通じた臨床研究を行っています。すべての治療および臨床研究は、倫理的配慮に基づき、安全性を最優先に実施しております。
地域の患者さんに寄り添い、確かな技術と最新の研究成果をもって、未来の家族への希望をつなぐサポートをしてまいります。
腫瘍研究部門
婦人科腫瘍部門では、婦人科悪性腫瘍に関する基礎的および臨床的研究を行っています。基礎研究としては、婦人科悪性腫瘍の発生・進展、卵巣癌の治療反応性や分子標的治療薬に関する研究を中心に取り組んでいます。
大学内の他の研究室とも連携し、腫瘍の生物学的特性や治療抵抗性に関わる分子機構を明らかにすることで、新たな治療戦略や個別化治療の開発などにつなげることを目指しています。臨床研究としては、国内外の多施設共同臨床試験グループの参加施設として、各種臨床試験に積極的に参画し、その成果を論文報告しています。
さらに、新規薬剤や治療法の開発を目的とした企業治験・医師主導治験も数多く実施しています。基礎研究と臨床研究の連携を通じて、婦人科がん診療の発展と新たな治療法の創出に貢献することを目指しています。
周産期研究部門
当教室では、「胎児期・周産期環境が成人期の代謝疾患リスクに与える影響(DOHaD:Developmental Origins of Health and Disease)」に関する研究を推進しています。 地域住民コホート研究(東温スタディ)では、日本人においても低出生体重が成人期の2型糖尿病発症と関連することを明らかにしました。さらに、糖尿病内科学講座との共同研究により、この関連が遺伝的素因によって修飾されることや、妊娠高血圧症候群の既往と遺伝的素因が出産後の2型糖尿病発症リスクに関与することを報告しています。また、エコチル調査では父親の体格が3歳児の肥満リスクと関連することを示しました。一方、基礎研究領域では薬理学講座と共同して、マウスモデルを用いて母獣の栄養状態や食事介入が仔の代謝恒常性に及ぼす長期的影響を解析するとともに、妊娠期脂肪組織のシングルセル解析による分子機構の解明や、母獣における食餌や薬物介入により次世代の代謝異常への影響に関する研究にも取り組んでいます。ヒト疫学研究と基礎研究を融合し、生活習慣病の発症予防と次世代の健康増進を目指しています。
女性医学部門
思春期から老年期までの女性のヘルスケアに関しては、思春期外来や妊娠前(プレコン)外来、女性漢方外来などを開設し、女性の生涯にわたる健康課題の解決に取り組んでいます。
また、妊娠糖尿病や妊娠高血圧腎症の方は、産後将来的な糖尿病や高血圧の発症リスクが上昇するため、産後フォローアップ外来を開設し、それらの患者のフォローおよび追跡調査研究を行っています。