「情報フォトニクスによる次世代生命科学研究の創生」は愛媛大学若手研究者リサーチユニット創生支援として2022年11月に発足した新しい研究組織です。

情報フォトニクスは、「光を情報処理して計測する」、「計測した光を情報処理する」といった手法を用いる科学技術です。

本研究組織は、この技術をベースとし、開発者と使用者が一体となった学際的研究組織の形成を通じて、バイオイメージング分野での先端的技術開発研究を推進することを目的としています。

光は生体内を観察する基本的なツールで、現代では、顕微鏡、遺伝子解析装置から内視鏡などの医療機器まで、生命・医科学を支える大きな基盤技術となっています。我々は特に顕微鏡技術に情報フォトニクス技術を応用展開することを目指しています。

顕微鏡は私たち人の目では直接見えないミクロな生物の世界を映し出してくれます。顕微鏡は1590年にオランダのJanssen親子が初めて作ったとされています。1665年にRobert Hookeが細胞の観察記録を出版し、顕微鏡による細胞観察が始まりました。それ以降顕微鏡技術の発展があり、現代において顕微鏡は光学、電子機械工学や情報科学技術との融合でデジタルに4次元画像計測を行う装置となっています。このような技術発展により、タンパク質・細胞・組織といった生物の構成要素が複雑に絡み合う様子をありのままの姿で観察できるようになっています。ミクロなレベルで見る技術は、生命原理の解明、疾患の発生機序の解明、さらには治療法開発にも貢献できると期待されます。

光学イメージングに関わる研究は、物理学、光学、電子機械工学、情報科学、さらに応用としての生命科学と多岐の分野にまたがっています。新しい技術発展には、開発者と使用者である生命科学研究者との連携が重要です。さらに学術界・産業界を含めた超学際的連携体制を構築し、先進技術開発から応用までを一貫して遂行することが新しい生命科学研究の創生に繋がると考えられます。

本研究組織はこのようなことを想定して作られました。
光計測を基盤とする新しいバイオテクノロジーによって、生命科学への貢献、新たな産業分野の開拓、また研究ネットワークの構築など社会に還元できる研究に繋げたいと考えています。

齋藤卓