愛大コーホート研究を実施しています

2021.8.21
 愛大コーホート研究は中高年を対象とした20年間追跡する前向きコーホート研究です。生活習慣病の発症には、喫煙や食習慣、運動などの生活習慣や生活環境の要因の役割が重要と考えられています。これらを改善することで相当程度生活習慣病を予防できると考えられています。一方、生まれつきの体質、すなわち遺伝的素因も生活習慣病の発症に影響します。また、遺伝的素因により、同じ環境要因に対する感受性が人によって異なることが示唆され、これを解明することができれば、体質に合わせた生活習慣病の予防法を進展させることができ、予防医学上、大変重要な課題であります。生活習慣や生活環境、さらには遺伝子多型の頻度の違いから、欧米のエビデンスを日本人に適用することはできないため、日本人を対象とした疫学研究によって創出されたエビデンスが求められています。そこで、愛大コーホート研究では、愛媛県をはじめとした国民の健康の維持、増進に資すること、健康寿命の延伸に寄与することを目的に、がんをはじめとする生活習慣病などの原因究明と本態解明、環境要因と体質(遺伝要因)およびその交互作用、疾病特性をも考慮した予防や治療のエビデンスを創出します。
 平成27年度の八幡浜市での調査を皮切りに、平成28年度は内子町で、平成29年度は西予市と愛南町に加え東温市P社従業員も調査に参加しました。平成30年度は西条市(市民、市役所職員、I社、S社従業員)、東温市役所職員、愛大病院整形外科入院患者、かとう歯科患者、D社従業員で、令和元年度は四国中央市、新居浜市、東温市、松山市で、令和2年度は今治市、宇和島市、鬼北町、松野町、松山市で調査を実施いたしました。令和3年2月現在計8688名が調査に参加くださっています。令和3年度は伊予市、松前町、砥部町、久万高原町、上島町、松山市で調査を行います。
 ベースライン調査では、約70ページの質問調査票を用いて生活習慣、生活環境、既往歴、心理社会的要因等広範囲の情報を得ています。認知機能検査、身長、体重、体組成、ウエスト、ヒップ測定、超音波骨密度測定、動脈硬化の検査、口腔内検査(う蝕視診・歯周ポケット測定)、体力測定等の研究用健診を実施しています。血液、尿、遺伝子検体を集めています。
 できるだけたくさんの方々にご参加いただき、追跡データも集めながら、さらには、愛媛県内の保健医療福祉に関する様々なデータとリンケージしながら、愛媛独自のヘルスデータサイエンスに資するビッグデータを構築していく所存です。

愛媛県の皆様へ
 愛大コーホート研究のデータを集めることができれば、一人あたりの情報量が膨大で、参加者数も十分にある日本で最も学術的価値の高い医療データベースになります。
 愛大コーホート研究から様々なエビデンスを創出できることになります。
 医療の発展に貢献するため、有能な医師は、エビデンスを公表したいものです。エビデンスの公表を実現するために、愛媛に来て、医師として働きながら、愛大コーホート研究のデータベースを活用して、エビデンスの公表を実現する。これこそが、地域医療を維持発展させながら、世界に愛媛を発信できる唯一無二の戦略となります。
 次世代の予防医学、地域医療の発展に貢献できます。是非とも、調査にご参加いただきますよう、お願い申し上げます。

〒791-0295
愛媛県東温市志津川454
愛媛大学大学院医学系研究科疫学・予防医学講座
担当:野間、田中
電話:089-960-5283
FAX:089-960-5284
E-mail:epi-prev@m.ehime-u.ac.jp