「小児慢性特定疾病対策」(H27.1~児童福祉法改正)

小児期発症疾患を有する患者の医療費を含む社会生活支援を目的とした制度として、本邦では小児慢性特定疾患治療研究事業が従来から実施されてきました。同事業は児童福祉法の中で、小児期発症の慢性疾患である小児慢性特定疾病を抱える子どもとその家族への公的な支援策として一定の役割を果たしてきましたが、医療費助成が裁量的経費によるものであることや、自立支援に関する取り組みが不十分であるなどの課題が指摘されていました。
そのため、これらを踏まえて、平成27年1月の児童福祉法の改正とあわせて同事業の内容が見直され、医療費助成制度は義務的経費化されるとともに、対象となる疾患の拡充(令和元年7月1日時点で16疾患群762疾病)、および新規の法定事業として小児慢性特定疾病児童等自立支援事業が追加されました。

医療費助成制度の確立

  • 義務的経費化
  • 支援の対象となる疾患の拡充(現在16疾患群762疾病)

(悪性新生物、慢性心疾患、神経・筋疾患、膠原病、糖尿病など)

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業 (自立支援事業)の実施

  • 新規の法定事業として追加

 

児童福祉法の一部を改正する法律の概要

法案提出の趣旨

持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、小児慢性特定疾病の患者に対する医療費助成に関して、その実施に要する経費に消費税の収入を充てることができるようにするなど、公平かつ安定的な制度を確立するほか、基本方針の策定、慢性疾病児童の自立支援事業の実施、調査及び研究の推進等の措置を講ずる。

法律の概要

(1)基本方針の策定

  • 良質かつ適切な小児慢性特定疾病医療支援の実施その他の疾病児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針を定める。

(2)小児慢性特定疾病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立

  • 都道府県・政令指定都市・中核市は、小児慢性特定疾病にかかっている児童等であって、当該疾病の程度が一定程度以上であるものの保護者に対し、申請に基づき、医療に要する費用(小児慢性特定疾病医療費)を支給。(現行の小児慢性特定疾病医療費助成は児童福祉法に基づく法律補助であるものの裁量的経費。今回、義務的経費化。)
  • 医療費助成に要する費用は都道府県等の支弁とし、国はその2分の1を負担。
  • その他、適正な医療費助成及び医療の質を担保する観点から指定医療機関(都道府県等が指定)制度等に関する規定を整備。

支給認定の申請に添付する診断書は、指定医が作成。都道府県等は、支給認定をしないときは、小児慢性特定疾病審査会に審査を求める。

(3) 小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施

  • 都道府県等は、相談支援など小児慢性特定疾病児童に対する自立の支援のための事業(※)を実施。

(※)必須事業:小児慢性特定疾病児童等、その保護者その他の関係者に対する相談支援、必要な情報提供、助言等。
任意事業:①レスパイト(医療機関等における小慢児童等の一時預かり)、②相互交流支援、③就労支援、④家族支援(家族の休養確保のための支援)等。

(4) 小児慢性特定疾病の治療方法等に関する研究の推進

  • 国は、小児慢性特定疾病の治療研究など、慢性疾病にかかっている児童等の健全な育成に資する調査及び研究を推進。

 

施行期日

平成27年1月1日

※「難病の患者に対する医療等に関する法律」と同日施行