小児慢性特定疾病児童等自立支援事業に関する児童福祉法条文(抄)

第三目 小児慢性特定疾病児童等自立支援事業

第十九条の二十二

都道府県は、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業として、小児慢性特定疾病児童等に対する医療及び小児慢性特定疾病児童等の福祉に関する各般の問題につき、小児慢性特定疾病児童等、その家族その他の関係者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、
関係機関との連絡調整その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業を行うものとする。

○2 都道府県は、前項に掲げる事業のほか、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業として、次に掲げる事業を行うことができる。

一 小児慢性特定疾病児童等について、医療機関その他の場所において、一時的に預かり、必要な療養上の管理、日常生活上の世話その他の必要な支援を行う事業
二 小児慢性特定疾病児童等が相互の交流を行う機会の提供その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業
三 小児慢性特定疾病児童等に対し、雇用情報の提供その他小児慢性特定疾病児童等の就職に関し必要な支援を行う事業
四 小児慢性特定疾病児童等を現に介護する者の支援のため必要な事業
五 その他小児慢性特定疾病児童等の自立の支援のため必要な事業

○3 都道府県は、前項各号に掲げる事業を行うに当たつては、関係機関並びに小児慢性特定疾病児童等及びその家族その他の関係者の意見を聴くものとする。

○4 前三項に規定するもののほか、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

児童福祉法施行規則

第七条の四十

法第十九条の二十二第一項に規定する厚生労働省令で定める便宜は、小児慢性特定疾病児童等、その家族その他の関係者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言、小児慢性特定疾病児童等、その家族その他の関係者と行政機関、教育機関、医療機関等の関係機関との連絡調整その他の小児慢性特定疾病児童等、その家族その他の関係者に必要な支援とする。

小児慢性特定疾病児童自立支援事業

【事業の目的・内容】
幼少期から慢性的な疾病にかかっているため、学校生活での教育や社会性の涵養に遅れが見られ、
自立を阻害されている児童等について、地域による支援の充実により自立促進を図る。
【実施主体】都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市
【国庫負担率】1/2(都道府県・指定都市・中核市1/2)
【根拠条文】児童福祉法第19条の22、第53条
【予算額】平成29年度予算額: 922,784 千円 → 平成30年度予算:922,784千円(± 0千円)

<必須事業>(第19条の22第1項)

<任意事業>(第19条の22第2項)

 

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業(必須事業)

事業の目的

都道府県等は、小児慢性特定疾病児童等(以下「小慢児童等」という。)とその家族について、適切な療養の確保、必要な情報の提供等の便宜を供与することで、小慢児童等の健康の保持増進及び自立の促進を図る。
また、小児慢性特定疾病児童等自立支援員(以下「自立支援員」という。)による各種支援策の利用計画の作成、関係機関との連絡調整等を実施することにより、自立・就労の円滑化を図る。

相談支援のメニュー

相談支援の具体的な内容としては、以下のものが考えられるが、地域の実情に応じて都道府県等において適切な相談支援体制を整備し、実施。

① 療育相談指導

医師等が医療機関からの療育指導連絡票に基づき、小慢児童等の家族に対して家庭看護、食事・栄養及び 歯科保健に関する指導を行うとともに、福祉制度の紹介、精神的支援、学校との連絡調整、その他日常生活に 関し必要な内容について相談を行う。

② 巡回相談指導

現状では福祉の措置の適用が困難なため、やむを得ず家庭における療育を余儀なくされていて在宅指導の必要がある小慢児童等に対し、嘱託の専門医師等により療育指導班を編制し、関係各機関と連絡調整の上出張又は巡回して相談指導を行い、必要に応じ訪問指導を実施する。

③ ピアカウンセリング

小慢児童等の養育経験者が、日常生活や学校生活を送る上での相談や助言を行い、小慢児童等の家族の不安の解消を図る。

④ 自立に向けた育成相談

小慢児童等は、疾病を抱えながら社会と関わるため、症状などの自覚及び家族や周囲との関係構築の方法など、自立に向けた心理面その他の相談を行う。

⑤ 学校、企業等の地域関係者からの相談への対応、情報提供

小慢児童等を受け入れる学校、企業等への相談援助、疾病について理解促進のための情報提供・周知啓発等を行う。

自立支援員による支援の例

① 自立支援に係る各種支援策の利用計画の作成・フォローアップ

小慢児童等の状況・希望等を踏まえ、自立・就労に向け、地域における各種支援策の活用についての実施機関との調整、小慢児童等が自立に向
けた計画を策定することの支援及びフォローアップ等を実施。

② 関係機関との連絡調整等

小慢児童等への個別支援として、学校、企業等との連絡調整、各種機関・団体の実施している支援策について情報の提供等を行う。

③ 慢性疾病児童地域支援協議会への参加

慢性疾病児童地域支援協議会の構成員として、協議に参加し、取組の報告及び意見陳述等を行う。等

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業(任意事業)

療養生活支援事業

目的

小慢児童等及びその家族が地域で安心して暮らすことができるよう、小慢児童等の日中における居場所を確保し、療養生活の改善を図る。

事業内容

医療機関その他の適切な場所において、小慢児童等を一時的に預かり、必要な療養上の管理、日常生活上の世話、その他必要な支援を行う。
<例>
・医療機関等によるレスパイト事業の実施

相互交流支援事業

目的

小慢児童等が相互に交流することで、コミュニケーション能力の向上、情報収集、社会性の涵養等を図り、自立を促進する。

事業内容

相互交流を行う機会の提供及びその他の便宜を供与する。
<例>
・ワークショップ
・小慢児童等同士の交流、小慢児童等と小児慢性特定疾病にり患していた者、他の小慢児童等の家族との交流

就職支援事業

目的

働く意欲がありながら、長期にわたり慢性的な疾病にり患しているために就労阻害要因を抱えている小慢児童等に対して、地域の関係者が連携して就労の支援や、一般就労の機会の拡大を図り、もって小慢児童等の自立と社会参加の一層の推進を図る。

事業内容

就労に関する必要な支援又は雇用情報の提供を行う。
<例>
・職場体験・職場見学・就労に向けて必要なスキルの習得支援
・雇用・就労支援施策に関する情報の収集や提供に関すること

介護者支援事業

目的

小慢児童等の介護者の身体的、精神的負担の軽減を図ることにより、小慢児童等の療養生活の改善及び家庭環境の向上を図り、もって小慢児童等の福祉を向上させることを目的とする。

事業内容

介護者の負担軽減に資する必要な支援を行う。
<例>
・小慢児童等の通院等の付添 ・家族の付添宿泊支援
・小慢児童等のきょうだいの預かり支援 ・家族向け介護実習講座 等

その他の自立支援事業

目的

慢性的な疾病を抱えるため、学校生活などでの教育や社会性の涵養に遅れが生じ、自立を阻害されている児童等について上記に掲げる事業以外の必要な支援を行う。

事業内容

自立に必要な支援を行う。
<例>
・長期入院等に伴う学習の遅れ等についての学習支援 ・身体作り支援
・自立に向けた健康管理等の講習会 ・コミュニケーション能力向上支援 等