センター長あいさつ

肝疾患診療相談センター センター長 日浅陽一 現在、慢性肝炎はその大部分をウイルス肝炎が占め、70-80%がC型肝炎ウイルス(HCV)、約20%がB型肝炎ウイルス(HBV)によります。本邦におけるウイルス肝炎患者は350万人、C型肝炎ウイルス(HCV)キャリア数は約150-200万人、B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアーは約130-150万人と推定されています。しかしながらHCVに感染していても約半数が肝機能異常を伴わず、またHBVに感染していてもその多くが肝機能異常を伴わない無症候性キャリアーの状態です。厚生労働省の調査では、2005年10月時点でのC型肝炎の患者総数は34万7千人であり、罹患して病院に通院している患者は全体の2割程度にすぎないと推定されています。HCV同様、HBVに感染しているが通院していない患者も多数いると推測されます。HCV, HBVは慢性肝炎のあと、肝硬変および肝細胞癌を引き起こします。HCV感染者の癌発生率は25-40%、HBV感染者の癌発生率は10-15%と、ヒトに感染する病原体では非常に高い確率で発癌します。C型肝硬変では1年に7-8%が肝細胞癌を発症すると言われています。慢性肝炎は症状に乏しく、いかに早く確実にHCV, HBVキャリアーであることを診断し適切な治療によって肝硬変への進展、肝細胞癌の発癌を阻止するかが重要な課題になっています。
 さらに生活習慣病でもある非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は成人の8%程度、そのうち肝線維化が進行する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は成人の1%程度いると考えられています。肝硬変の全国集計にてNASH診断後10年経過中の発癌率は10.2%であり、今後益々対策が必要になってくる肝疾患と考えられます。アルコール性肝硬変も肝硬変の13.6%を占め、依然高頻度にみられます。また自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変などの自己免疫性肝疾患、ヘモクロマトーシス、ウイルソン病などの代謝性疾患についても正確な診断と治療が望まれます。急性肝炎、肝移植を考慮しうる肝不全などは早期の診断と対応が必要になります。
 このような状況から、肝疾患について他の医療機関と連携しながら診療する肝疾患診療拠点病院が各都道府県より指定されました。当院は愛媛県より肝疾患診療拠点病院に指定され、その事業の一環として肝疾患診療相談センターが平成21年10月1日に設置されました。
 我々の責務は、肝疾患の検診を広く受けて頂くこと。その結果、肝機能異常がある、あるいは肝炎ウイルス感染、その疑いがあると指摘された患者さんに、肝疾患に対する正確な情報をお伝えし、適切な治療を受けていただく。その結果、肝硬変への進展、肝細胞癌の発癌阻止、肝不全への進展を阻止することです。また、既に肝硬変、肝細胞癌を発症されている患者様に対しても、日進月歩の治療法の中で適切な治療を受けていただくように情報を提供することです。
 そのために当センターでは、愛媛県内の肝疾患でお悩みの患者さんおよび家族の方々の相談を、電話、Fax、E-メールで受け付け、専門医が対応し相談いたします。また、最新の肝疾患の診療について、医療関係者の方々からのご相談をひろくお受けいたします。なにかありましたらお気軽にご相談ください。
 我々の活動が少しでも肝疾患で悩まれている患者さんの一助になれば幸いです。また今後、研究会や市民公開講座を通して、患者さんやその家族の方々、様々な病院の臨床医の先生方にも肝疾患診療の最新情報を提供していきたいと考えています。左にある「患者さんへのお知らせ」、「医療関係者の方へのお知らせ」を時々クリックしていただき、是非ご参加いただければと存じます。
 微力ですが、少しでも肝疾患診療の向上のためにお役に立ててればと存じます。どうかよろしくお願いいたします。

肝疾患診療相談センター センター長 日浅陽一