1.はじめに
平成28年11月1日より、愛媛大学医学部附属病院消化器腫瘍外科において、手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下胃がん手術を、厚生労働省の認可する先進医療(先進医療B)として行うことが可能となりました。先進医療技術名は「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下胃切除術」で、ロボット手術の安全性、有効性、経済性を検証する多施設共同臨床試験として行われます。
この試験では参加施設・術者(執刀医)個人について、ロボット手術や腹腔鏡下手術の経験や、技術を担保する認定資格などに関する一定の基準が設けられており、それらを満たした施設の外科医のみが実施することができます。本試験についてもっと詳しくお知りになりたい方は、研究代表施設 藤田保健衛生大学病院のホームページをご覧ください。
2.本先進医療技術の特徴
費用:
先進医療は、(1) 通常の診療に係る費用、(2) 先進医療に係る部分の費用について混合診療として扱うことが国から特別に認められています。通常診療部分は保険診療として行い、さらに年齢や所得に合わせて高額療養費制度が適用されるため負担が軽減されます。先進医療に係る費用は患者自己負担となりますが、本先進医療においては一部をIntuitive Surgical社が負担します。したがって、先進医療に係る費用においては、患者負担額は約63万円となります。また、患者さんが加入されている民間医療保険の契約内容によっては、先進医療特約の支給対象となる場合もあります。
当院で使用する手術支援ロボット:
米国Intuitive Surgical社の製品「ダ・ヴィンチSi」を使用します。ロボット操作は外科医が行い、3Dの高精細画像を見ながら外科医の精細な手の動きを更に精緻に制御する4本のアームを介して行います。腹部の傷の大きさは、従来行ってきた腹腔鏡下手術によるものとほぼ同じになります。
期待される効果:
ロボット手術で外科医が操る手術器械は、通常の腹腔鏡下手術用器具にはない関節機能を持つため、より繊細な動きが可能です。手術野を3Dで精緻なカメラで観察でき、精緻な器具の操作が可能であることから、従来の手術で発生していた合併症を減らすことが期待されています。
手術適応・術式:
臨床病期I~IIの胃がんが適応となります。先進医療としてこの手術を受けるためには、そのほかにもいくつかの基準を満たしている必要があります。
手術を希望される方、詳しい情報を知りたいとお考えの方:
費用や適応などに関してさらに詳しくお知りになりたい方は、当院消化器腫瘍外科を受診し、ご相談ください。医療相談(セカンドオピニオン)も承っています。
お問い合わせ先:消化管・腫瘍外科学講座 渡部祐司
術者は操作器具(サージョンコンソール)に座り3Dカメラ画像を見ながら、2つのコントローラーを介して患者体内に挿入されたロボット鉗子を操り、手術を行います。
患者には4本のロボットアームに取り付けた8mm−10mmの器具が挿入されます。青いランプが点灯している器具から先が患者体内に挿入されます。
3D高精細画像を用いて、人間の手を限界を超えた角度や微細な操作が可能です。
手ブレ補正機能も備えており、手術の質の向上と局所の合併症軽減が期待されます。