Course

地域生活習慣病・内分泌学

Course introduction

講座紹介

提案型寄附講座
地域生活習慣病・内分泌学講座

内子町における地域医療と

大学における生活習慣病・

内分泌学・病態栄養学の

教育・研究・診療を担当

内子町の寄附により2010年4月に開設された本講座は、2020年4月から第III期5年間が新たにスタートしました。講座の役割は、① 内子町の地域医療支援(済生会小田診療所)、② 内子町の保健医療行政への協力、③ 大学における生活習慣病・内分泌学・病態栄養学の教育・研究・診療、の3点です。

【講座問い合わせ先】

寄附講座 提案型寄附講座 地域生活習慣病・内分泌学講座 〒791-0295 愛媛県東温市志津川454
TEL:089-960-5308 / FAX:089-960-5310

Research content

研究内容

  • 内子町における生活習慣病重症化予防

内子町の死因統計、国保レセプトから、生活習慣病、特に糖尿病に起因する疾患での死亡や透析導入例が、愛媛県の他の地域よりも多いことが判明しました。自治区単位で「地域健康教室」を2010年度に小田地区から開始し、2019年度で内子町内全地区を終了しました。また、2011年度から少なくとも年1回は、生活習慣病やがん検診などのテーマを取り上げて、地域での「市民講座」や「高齢者大学」、「婦人会講座」を町が主催で、当講座が協力して開催しています。2017年度からは厚労省(市町国保、協会けんぽ)、愛媛県医師会、糖尿病対策推進会議の連携による糖尿病性腎症重症化予防プログラムが稼働し、内子町の特定検診、国保レセプトの突合によるハイリスク例の抽出、医療機関への受診勧奨、保健指導、検診受診勧奨の保健活動に協力するとともに、小田診療所、加戸病院での減塩不十分例に対する在宅保健指導の依頼を行っています。また、内子町内のかかりつけ医(非専門医)と専門医(小田診療所、加戸病院)の連携のためのセミナーも行っています。

  • 福島県民健康調査(甲状腺検診)

2012年度から、福島原発事故による愛媛県への避難民(20歳未満)の甲状腺一次検診を当講座が担当するようになり、3年間で初期の26名の検診を実施しました。2015年度からはfollow upの検診となり、対象者が20歳になるまで、2年に1回、それ以後は5年に1回、検診を実施する予定です。2016年度からは二次検診も当講座が担当していますが、二次検診の該当者は現時点ではゼロです。

  • 消化管ホルモン受容体活性化機構の解明

消化管ホルモンは、生活習慣、あるいは生活習慣病と密接にかかわっています。日々の食行動、すなわち食欲に始まり、実際の食事摂取・嚥下、消化管運動、消化・吸収、代謝、体組成維持に至るすべての過程において、消化管ホルモンが関与しています。従って、肥満やメタボリックシンドロームの発症や治療に消化管ホルモンは関係してきます。一方、ガストリンやインスリンには細胞増殖作用がみられ、膵癌や胆道癌、大腸癌においてガストリン受容体異常やインスリンの関与が報告されています。当講座では、消化管運動に関与するモチリン系とグレリン系を中心に、受容体活性化機構の解明とともに臓器連関の解明を行っています。

  • 生活習慣病・内分泌疾患の治療法の開発

抗酸化作用を有する天然型ビタミンEのサプリメント800IU/日(533mg/日、日本人のビタミンE摂取目安量は6-7mg/日)を糖尿病のないNASH例84例に96週間投与したSanyalらのRCTの報告では、AST、ALTの改善、肝組織における脂肪化、炎症の改善がみられています。当講座における温州ミカンに高濃度に含有するカロテノイドの一種であるβ-クリプトキサンチン3mg/日(温州ミカン3個分に相当)含有飲料(「アシタノカラダ」、えひめ飲料(株)製造)のNAFLD例 39例に対する12週間の投与では、NAFL例、NASH例ともに、有意にHOMA-Rの改善、酸化LDLなどの酸化ストレス系の改善、SODなどの酸化ストレス抑制系、IL10などの炎症性サイトカインの改善を伴って、AST、ALT、G-GTの低下が見られました。その他抗酸化作用を有するアスタキサンチンやポリフェノール、アントシアニン、レスベラトロールなどもモデル動物において肝の脂肪化や炎症、線維化を改善させる報告が多く見られますが、ヒトでの介入試験で明らかにNASHを改善させた報告はほとんどありません。β-クリプトキサンチンのNAFL/NASH改善の機序を解析中です。

Main achievements

主な実績

  • 1) Kawamura T, Matsuura B, et al: Effects of motilin receptor agonists and ghrelin in human motilin receptor transgenic mice. Int J Mol Sci 20: pii: E1521, 2019
  • 2) Utsunomiya H, Matsuura B, et al: Upregulated absorption of dietary palmitic acids with changes in intestinal transporters in non-alcoholic steatohepatitis. J Gastroenterol 52: 940, 2017
  • 3) Matsuura B, Miyake T, et al: Usefulness of b-cryptoxanthin for nonalcoholic fatty liver diseases. J Food Nutr Disor 5: 3, 2016
  • 4) Matsuura B, Nunoi H, et al: Obesity and gastrointestinal liver disorders in Japan. J Gastroenterol Hepatol 28: 48, 2013
  • 5) Matsuura B, Dong M, et al: Differential contributions of motilin receptor extracellular domains for peptide and non-peptidyl agonist binding and activity. J Biol Chem 281: 12390, 2006
  • 6) Matsuura B, Taniguchi Y, et al: Effect of antiandrogen treatment on chemical hepatocarcinogenesis in rats. J Hepatol 21: 187, 1994

Educational materials

教育に関する資料

Staff introduction

スタッフ紹介

地域生活習慣病・内分泌学講座 教授 松浦 文三
地域生活習慣病・内分泌学講座
教授
松浦 文三

教授からのメッセージ


生活習慣病・内分泌学・病態栄養学は、疾患を臓器にとらわれることなく系統的全身的に理解し、多職種と協働してチーム医療ならびに医療施設から在宅までの医療を提供するに必要な医学の領域です。当講座は、これらの領域の専門医の育成とともに、大学病院、地域での医療を実践しています。我々と一緒に研究、診療してみませんか。

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