愛媛大学白菊会について ~献体について~

献体とは

献体とは医学・歯学の大学における人体解剖学の教育・研究に役立たせるため自分の遺体を無条件・無報酬で提供することをいいます。

解剖の種類

解剖には、大きく分けて次のような3種類があります。

  1. 正常解剖(系統解剖)・・・・人体の構造を調べるための解剖
  2. 病理解剖      ・・・・死後、すぐ病変を調べるための解剖
  3. 法医解剖(司法・行政解剖)・変死体の死因を調べるための解剖

献体に直接関係があるのは「1の正常解剖」で、医学・歯学教育の基礎といわれています。良い医療人を育てるためには全身の構造を学ぶ「解剖学」の教育を充実させることが絶対に必要なことなのです。

献体の意義

献体の最大の意義は、みずからの遺体を提供することによって医学教育・研究に参加し、学識・人格ともに優れた医療人を養成すると同時に、日々進歩する医学・医療の向上のための礎となり、医療を通じて次の世代の人達のために役立とうとすることにあります。

愛媛大学白菊会について

愛媛大学医学部が開設された翌年の昭和49年に「愛媛大学白菊会」が発足しました。
この集まりは、献体登録をした人たちで作る組織団体で、会員は愛媛大学医学部に献体することになっています。「愛媛大学白菊会」では、年1回総会を開催して活動方針を話し合い決定しています。
また、地区懇談会の開催、会員の投稿する会報「しらぎく」の発行などを通じて、会員間の親睦と交流を図っています。

コ・メディカルの解剖実習について

愛媛大学医学部では全国に先駆けてコ・メディカルのための解剖実習を行っています。
コ・メディカルとは医師とともに医療を支える看護師、理学、作業・言語療法士、介護福祉士などの専門職をいいます。これらのコ・メディカルスタッフを育成する学校等では解剖学が必修となっていますが、従来は自ら解剖実習をすることはなく、見学にとどまっていました。しかし、医療の進歩とともにコ・メディカルスタッフにも高い専門知識が要求されるようになり、解剖実習の必要性が高まってきました。そこで解剖学会コ・メディカル教育委員会や全国篤志献体協会連合会が中心になり、コ・メディカル解剖の普及が推進されております。これに対応し、愛媛大学白菊会が中心になり、コ・メディカル解剖の普及が推進されております。これに対応し、愛媛大学白菊会でも、医師・歯科医師だけでなくコ・メディカルの解剖実習に積極的に協力していくことになりました。

卒後教育及び手術手技研修について

愛媛大学医学部ではこれらの解剖実習に加え、臨床医が新たな手術法の開発や後進の教育に際してご遺体を活用させていただいております。今後、最前線で活躍する医師や教育スタッフにますます高度な卒後教育が求められ、ご遺体の解剖や手術手技研修を行うことが多くなってくると思われます。愛媛大学白菊会では、学生教育のみならず、卒後教育にも積極的に協力しています。

愛媛大学では平成25年に手術手技研修センターが全国に先駆けて設置されました。同センターには医師や歯科医師がご遺体による手術手技を研修するための手術室さながらの最新設備が整備されました。また、隣接する法医学講座に設置されているCT により、ご遺体のCT 画像が得られるため、より高度な研修を行うことができます。さらに、遠隔地の医師が研修を受けることができるよう、ハイビジョンカメラ等により精緻な手術画像を撮影し、勉強会等で限定公開することが可能になりました。なお、個人を特定しうる画像の撮影及び第三者が閲覧可能な状態での一般公開は固く禁止しております。

臨床研究へのご協力のお願い

会員の皆様のご賛助により、我が国の医療人の技能は世界的にみてもトップレベルにあります。しかし一方で、我が国の医療現場において用いられる医療機器は、そのほとんどが海外製です。残念ながら、海外製の高額医療機器が我が国の医療経済を圧迫しています。そのため愛媛大学では、医学部附属病院が中心となって国産の医療機器・医療技術の開発を鋭意進めております。具体的には、手術・CT 等の画像を活用した新技術、人工関節、人工置換弁、インプラントなど臨床研究の結果開発された機器および新規術式やそれに使用する器具等の開発を行っています。これらは、皆様より提供されたご遺体の一部を用いて行うことが可能で、前述の解剖実習や手術手技研修と平行して行うことができます。このように従来に加えてより積極的に医学全般に波及効果のある活用をお願いする次第です。

臨床研究にご参加頂くには、皆様の事前の同意が必要になります(「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」文科省/厚労省)。そのため、「愛媛大学白菊会入会申込書」に加え、「愛媛大学卒後研修・手術手技研修・臨床研究同意書」として(1)卒後教育・手術手技研修目的での使用および、(2)臨床研究への参加に対する同意書へのご署名をお願いしております。なお、この臨床研究への参加につきましても、会員様の自由なご意思を最優先いたします。最初は同意なされておられても、その後お考えが変わった場合を想定し「臨床研究同意撤回書」をご用意しています。このように、白菊会への入会とは別に、愛媛大学における臨床研究への参加のご意思を伺います。この際もう1点ご注意頂きたいことは、この研究の結果発生する知的財産権等に関しては、愛媛大学に帰属し皆様には権利が発生しない点です。参加による報償などもございません。これは法令の定めるところですので、合わせてご了承のほどお願いいたします。現在会員の方で臨床研究同意を撤回されたい方は、事務局までご連絡ください。