愛媛大学大学院医学系研究科顎口腔外科学講座のホームページをご覧いただき有難うございます.
2019年4月より当講座の教授を拝命いたしました,内田大亮でございます.
以下に私の自己紹介と当講座の運営理念・所信表明を述べさせていただきます.
出身は香川県で,1995年に徳島大学歯学部を卒業後,徳島大学歯学部口腔外科学第二講座(当時)に入局,同時に徳島大学大学院歯学研究科に進学しました.学位取得後の1999年に徳島大学分子酵素学研究センター(当時)でポスドクをした後,2001年より徳島大学歯学部口腔外科学第二講座に復職,2014年に獨協医科大学医学部口腔外科学講座に准教授として赴任いたしました.2019年4月より初代谷岡博昭教授,先代浜川裕之教授の後任として,教室を担当しております.
私は,医学部(医学部付属病院)における口腔外科の役割は,以下であると考えています.
1. 口腔外科・口腔内科特有の疾患(口腔腫瘍,顎顔面外傷,先天後天奇形,顎顔面インプラント,口腔粘膜疾患等)の治療,教育,研究
2. 医科・歯科連携の促進および有病者歯科治療,ならびにその研究,教育
3. 周術期等口腔機能管理(口腔ケア)による各科治療のサポート,および口腔ケアに関する研究,教育
4. 地域関連病院および開業歯科医院との連携の促進
先代浜川教授のスピリッツを継承し,「よく遊び,よく学べ!」,「遊びに夢中になれる者は良い仕事ができる」をモットーに,教育・研究・臨床のバランスがとれた「熱い教室作り」を目指してまいります.今後共ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます.
資格・役職など
日本口腔外科学会指導医・専門医・代議員
日本がん治療認定機構がん治療認定医(歯科口腔外科)
日本有病者歯科医療学会専門医・認定医
日本口腔科学会認定医
厚生労働省認定臨床研修指導歯科医
日本口腔組織培養学会理事
日本口腔内科学会代議員
NPO法人チームリバー副理事長
学部学生への講義では口腔顎顔面領域の系統授業を行っており、本領域の重要性を将来医師になる学生諸君に理解してもらいたいと考えます.医師として必要な歯科口腔外科疾患(口腔腫瘍,顎顔面外傷,口唇口蓋裂,顎変形症など)のみならず,口腔内科疾患(特に全身疾患の一症状としての口腔粘膜疾患)についての知識,医科疾患で治療を受けている患者(いわゆる有病者)の歯科医師と医師の連携のあり方,周術期等口腔機能管理(いわゆる口腔ケア)の重要性を教示することを通じて,記憶すること以外に,考えること,論理を積み上げていくことを思い出させる教育を目指します.
平成18年度に開始された歯科医師臨床研修制度では,先代の浜川教授時代に,全国の医学部付属病院に先駆けて整備が行われました.現在当院では,デンタル・アイ(愛)プログラム(https://www.m.ehime-u.ac.jp/hospital/kenshu/training/senmon-gaiyoupdf/27-sika.pdf)として,口腔癌治療,外科矯正治療(下顎枝矢状分割、下顎枝垂直骨切り術,上下顎同時移動、仮骨延長など),口唇口蓋裂の一貫治療,顎顔面外傷などの口腔外科疾患の研修を中心に,有病者を含めた一般歯科治療(地域開業院での研修も可能),外来小手術,骨造成を含めた歯科インプラント治療,周術期口腔機能管理(口腔ケア)の研修を行っています.初年度は外来小手術の習得を目指しますが,技術の向上だけではなく,口腔ケア(周術期,癌化学療法・放射線治療前,移植前,神経系疾患で嚥下機能低下患者,人工呼吸器装着患者など)と有病者歯科治療を通して,種々の全身疾患を学び,医師と連携の取れる知識,すなわち専門的な会話ができる知識の習得を見据えた研修を行います.また,2年目以降のアドバンスコースでは麻酔科研修,内科研修を行い,最終的には日本口腔外科学会認定医,専門医の取得を目指します.詳細は入局案内(https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/dentistry/clinical)も御覧ください.
初年度研修修了後は大学院への進学が可能です.私自身は,「とりあえず博士は取っとこうか」ぐらいの気持ちで大学院に進学しましたが,実際に研究をしてみると,データが出たときの興奮感,自分のデータを学会で発表するときの緊張感,そのデータが論文になったときの高揚感は何事にも変えられず,以降,探求的思考(リサーチマインド)を持ち続けて臨床を行う習慣がつきました.このような経験・習慣は,私自身がいい指導者に恵まれたことが最大の要因です.幸い,当科には国際経験豊かな優れた指導者が多く在籍しており,毎年国内のみならず,国際学会での発表を行っています(https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/dentistry/research).大学院に進学し,私達と世界を目指しませんか.
【基礎的研究】
昨今,口腔癌に対する手術技術や再建手術,放射線化学療法は目覚ましい進歩を遂げ,治療成績を著しく向上してきました.しかしながら,進行癌の5年生存率は70%程度であり,治療成功後の摂食・会話などの機能低下も生じます.また,見かけ上早期癌であっても悪性度の高いものがあり,これらを事前に診断し,適切な治療を行うためにはゲノム・分子レベルでの解析が必要です.私達は,以下に示す口腔癌の低侵襲医療、個別治療の開発をめざしています。詳細はHPの研究欄(https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/dentistry/research)を御覧ください.
1.口腔癌転移の早期診断
2.口腔癌の浸潤・転移メカニズムの解明とその制御
3.口腔癌の分子標的治療
4.口腔癌の転移予測・治療効果予測システムの開発
【臨床研究】
これまで自分たちが行ってきた様々な分野での臨床結果を集計し他施設のデータと比較することは,治療態度を客観的に評価することができ,今後の治療成績向上につながると考えられます.当科では,口腔外科・口腔内科特有の疾患(口腔腫瘍,顎顔面外傷,先天後天奇形,顎顔面インプラント,口腔粘膜疾患等),有病者歯科治療, 周術期等口腔機能管理(口腔ケア)などの臨床研究も積極的に行っています.
愛媛県における歯科疾患の最終病院として,地域開業歯科医院との連携を密に取り,病気を臨床的に治癒させることのみに重きをおくのではなく,術後のQOL改善や機能回復にも考慮した,患者様に満足していただける医療を目指しています.口腔外科全般の診断・治療に携わっていますが,当科が重点を置く疾患・治療は,口腔腫瘍,顎変形症,口唇口蓋裂,インプラント治療,口腔ケア,有病者歯科治療(特に抗血栓療法患者,心臓弁膜症患者,ビスフォスフォネートなどの骨修飾薬内服患者)です.また,2019年4月より矯正歯科診療もはじめました.詳細は診療案内(https://www.m.ehime-u.ac.jp/school/dentistry/clinical)を御覧ください.
今後共,当講座をよろしくお願い申し上げます.
昭和51年 | 歯科口腔外科設置 |
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昭和52年 | 2月 |
谷岡博昭教授着任 |
昭和52年 | 4月 |
歯科口腔外科開設、診療開始 |
昭和58年 | 4月 |
歯科口腔外科学講座開設 |
昭和60年 | 6月 |
臨床研究棟へ歯科口腔外科学講座医局移動 |
昭和62年 | 歯科口腔外科病棟9階東へ移転 |
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平成4年 | 歯科口腔外科外来3Fへ移転 |
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平成5年 | 歯科口腔外科学講座同門会設立 |
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平成12年 | 3月 |
谷岡博昭教授退官 |
平成12年 | 11月 |
浜川裕之教授就任 |
平成13年 | 新病棟 (2 号館) 2Fへ移転 |
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平成18年 | 4月 |
愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻病態制御部門 |
平成28年 | 12月 |
HPリニューアル |
平成29年 | 3月 |
浜川裕之教授退官 |
平成31年 | 4月 |
内田大亮教授就任 |