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愛媛大学乳腺センター

患者様・ご家族の皆様へ

診療案内

メッセージ

日本における乳がんの罹患率は年々増加の一途をたどっており、2019年の乳がん罹患数は年間9万7千人を超えています。日本人女性に発生するがんの1位は乳がんであり、9人に1人が生涯のうちに乳がんに罹患すると言われています。

乳腺センターでは、乳がんをはじめ乳腺疾患全般に対する診断、治療を行っています。特に乳がんの治療については診断から手術、薬物療法、放射線療法、およびその治療後のフォローアップを一貫して行っています。また、乳腺専門医4名(2024年4月時点)のみならず各領域、診療科の専門医が多数所属する大学病院である利点を生かし、放射線診断医、放射線治療医、腫瘍内科医、形成外科医、病理医といった関係各科との密接な連携のもと、集学的治療を行っています。

また当院は日本オンコプラスティックサージャリー学会の乳房再建用エキスパンダー、インプラント実施施設の認定(一次一期、一次二期、二次再建のすべて)を受けております。乳房切除後の乳房再建をご希望の方は、当院形成外科との共同診療による治療を受けていただくことが出来ます。

その他、HBOC:遺伝性乳がん卵巣がん症候群の診療にも力を入れており、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構の基幹施設の認定を受けています。臨床遺伝専門医、遺伝性腫瘍専門医4名(2024年4月現在)、臨床遺伝カウンセラー、婦人科等関連科との連携のもと、遺伝カウンセリング、BRCA1/2遺伝学的検査(外注)やパネル検査、遺伝子変異を有する方のサーベイランスなどを行っており、希望のある方にはリスク低減乳房切除術を行っております。

詳しくはこちら(附属病院ホームページにジャンプします。)

外来受診について

初診受付 : 午前8:00~午前10:30(完全予約制)

再診受付 : 予約制となっております。

診療開始時間 : 午前8:30(初診・再診)

休診日 : 土・日・祝日・年末年始、その他学会等で休診になる場合があります。

※乳がん検診や良性疾患の定期経過観察は実施していません。自治体検診、職域検診、人間ドッグ、近隣のクリニックでの受診を推奨させて頂いております。

対象疾患

乳がん、乳腺良性腫瘍(葉状腫瘍、増大する線維腺腫など)、良悪性の診断が困難な乳腺腫瘤、など。

乳腺センター外来担当医

亀井義明
野田令菜
中村萌美
亀井義明
村上朱里
日下部恵梨菜
予約のみ 亀井義明
田口加奈
野田令菜
村上朱里
田口加奈
竹本佳菜

※2024年4月時点

赤字は女性医師による診察です。

検査について

当院では、受診していただいたその日に、視触診、マンモグラフィ検査(トモシンセシス)、超音波検査を施行しております。必要があれば組織を採取する検査を実施し、より正確な診断を行っております。

マンモグラフィ
乳房を圧迫して撮影するX線検査です。40歳以上の方は2年に1回マンモグラフィ検診が推奨されています。石灰化病変の描出に優れています。

トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)
乳房は厚みがあるので、1枚の画像では乳腺としこりが重なって見え難くなることがあります。トモシンセシスでは乳房に対し複数の断面画像を撮影し、3Dで病変を描出することができます。検診で要精査となった方や、しこりが触れる方を対象に撮影しています。

乳房超音波(エコー)検査
体の表面にゼリーを塗り、プローベ(超音波検査器具)をあてて乳房内を撮影する検査です。痛みや侵襲を伴わない検査です。
乳房超音波(エコー)検査

超音波ガイド下穿刺吸引細胞診
超音波で病変を確認しながら、採血と同程度の針を刺入し、吸引をかけながら細胞を採取する方法です。局所麻酔下に行います。

超音波ガイド下針生検
超音波で病変を確認しながら専用の針を刺入し、組織を採取する方法です。局所麻酔下に行います。

超音波ガイド下吸引式乳腺組織生検
超音波で病変を確認しながら専用の針を刺入し、吸引をかけながら組織を採取する方法です。局所麻酔下に行います。

ステレオガイド下吸引式乳腺組織生検
石灰化病変に対し、マンモグラフィガイド下に行う吸引式の組織生検です。超音波では確認しにくい石灰化主体の病変に対して施行します。この検査には腹臥位式(うつぶせ)と座位式がありますが、当科ではより患者さんの精神的負担の少ない腹臥位式を採用しております。

造影(ソナゾイド)超音波検査
ソナゾイド造影剤を用いて超音波検査を行うことにより、微細な血流を確認して病変の範囲などの詳細な評価を行います。CT・MRI用の造影剤などに対するアレルギーのある方や腎機能の悪い方、喘息の既往がある方でも安全に行うことが出来ます(卵アレルギーのある方は受けていただくことが出来ません)。

乳房MRI検査
病変部の広がりや、副病変、対側病変の有無をチェックする目的で行います。
造影剤を使用して行います。

PET-CT検査
がんと診断された方に対し、転移や治療後の再発の有無等をチェックするために行います。

造影CT検査
がんと診断された方に対し、病変部の質的診断や他の病変の有無の確認、転移や治療後の再発の有無等をチェックするために行います。

骨シンチ検査
がんと診断された方に対し、骨への転移の有無等をチェックするために行います。

BRCA1/2遺伝学的検査
一般的に乳がんの発症は食生活などの環境因子の影響が主に関与していますが、乳がんの約5~10%は遺伝的な要因が強く関与して発症していると考えられています。その中で多くの割合を占めるのがHBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)です。HBOCは、BRCA1またはBRCA2遺伝子の変異が原因で、生涯のうち乳がんや卵巣がんを高いリスクで発症する遺伝性腫瘍の1つです。当科では、来院時に問診票に基づいて家族歴や既往歴を詳細に聴取し、HBOCの可能性がある方は遺伝カウンセリングをお勧めしています。家族歴や既往歴からHBOCの可能性が高く、患者さんのご希望がある場合はBRCA遺伝学的検査を行います(保険診療で行いますが、自費診療となる場合があります)。また、乳がんが転移再発した方にも、コンパニオン診断(治療薬の適応があるかどうかを診断する)目的でBRCA遺伝学的検査を行うことがあります。
2018年7月PARP阻害剤であるオラパリブが「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」で適応となり、2022年8月から「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法」として適応が追加されました。

Oncotype DX™検査
Oncotype DX™検査は、がん組織内の「増殖」や「浸潤」などに関する21個の遺伝子の発現を調べることで、患者さん毎の乳がん再発リスクと術後補助治療(ホルモン治療や化学療法)における化学療法の上乗せ効果等を予測する検査です。再発スコア結果は、0から100までの数字で表され、9年以内に再発する可能性(術後5年間のホルモン治療のみを受けた場合)やホルモン治療に化学療法を上乗せした場合の再発抑制効果についても数値が示されます。対象となるのは、リンパ節転移陰性または陽性(1-3個)でホルモン受容体陽性、HER2陰性の早期乳がん患者さんです。検査は生検や手術で切除した組織を少量使って実施するので、この検査のために追加の手術や処置を受ける必要はありません。結果は3-4週間ほどでわかります。
また、この検査は2023年9月より保険収載されております。適応については主治医にご相談ください。

手術について

乳腺センターでは、現在年間約150例の乳腺手術を施行しております。

乳房全切除術(全摘術)
乳房全切除術とは、乳輪や乳頭を含めて患側の乳房を全て切除する手術です。昔は胸筋合併乳房全切除術が行われていましたが、現在は大胸筋や小胸筋は原則温存しています。術後は胸の膨らみがなくなり、1本の傷が残ります。

乳房全切除術(全摘術)

乳房再建術
乳房再建術は、乳房全切除術によって失われた乳房を形成外科的な技術によって再建する方法です。再建術には大きく分けて、人工乳房(インプラント)による方法と、自家組織による方法があります。乳がんの病状(ステージ、しこりの大きさや広がりなど)、体型、術後治療のスケジュールなどによって、適切な再建の方法や時期は異なります。再建について検討したい方はご相談ください。

☆人工物を用いた乳房再建術

人工物を用いた乳房再建術

☆広背筋皮弁(自家組織)を用いた乳房再建術

広背筋皮弁(自家組織)を用いた乳房再建術

☆深下腹壁動脈穿通枝皮弁(自家組織)を用いた乳房再建術

深下腹壁動脈穿通枝皮弁(自家組織)を用いた乳房再建術

乳房部分切除術(温存術)
乳房部分切除術とは、乳頭乳輪は温存し、乳がんとその周囲の乳腺を余裕をもって円柱状または扇状に切除する手術です。乳房部分切除術を受けた際には、乳房内再発リスクを下げるために術後に放射線治療が必要です。同じ乳房内に2つ離れた乳がんがある場合や、広範囲に乳がんが広がっている場合、術後に放射線治療を行えない場合(妊娠中、体位がとれない、放射線療法による二次がんのリスクが高い場合など)などは原則乳房部分切除術の適応となりません。

乳房部分切除術(温存術)

センチネルリンパ節生検、腋窩リンパ節郭清術
センチネルリンパ節とは、「見張りリンパ節」のことを指します。乳がんは進行すると脇のリンパ節に転移することがありますが、がん細胞が最初に到達する(転移する)リンパ節をセンチネルリンパ節と定義します。手術中にセンチネルリンパ節を摘出し、がん細胞の有無を調べる一連の検査をセンチネルリンパ節生検と呼びます。センチネルリンパ節の同定方法として、色素法やRI(放射性同位元素)法があり、手術中に乳がんから最も近いリンパ節(=センチネルリンパ節)を同定し、迅速転移診断を行い転移の有無を確認します。転移がなければ、腋窩リンパ節郭清術は省略します。

☆センチネルリンパ節の同定方法(色素法)

センチネルリンパ節の同定方法(色素法)

術前に脇のリンパ節への転移を認める場合や、センチネルリンパ節生検で転移が見つかった場合は、腋窩リンパ節郭清術を施行します。ただし、転移があっても微小転移(がんの転移がごくわずか)の場合など、一定の条件を満たせば腋窩リンパ節郭清術を省略することがあります。

☆腋窩リンパ節郭清の範囲

腋窩リンパ節郭清の範囲

【リンパ浮腫の予防と治療について】
腋窩リンパ節郭清術を行うと、手術をした側の腕がむくむリンパ浮腫という後遺症を生じる可能性があります。術後はリンパ浮腫予防のための日常生活の指導等を行っております。またリンパ浮腫が生じた場合、状態に応じて弾性着衣や弾性包帯による圧迫療法、運動療法や用手的リンパドレナージ、スキンケアなどを組み合わせて行います。また、形成外科にてリンパ管静脈吻合術など外科的治療を行うことがあります。

薬物療法について

乳がんの治療は手術だけではなく、薬物治療などの集学的治療を必要とすることが多いです。乳がん術後に抗がん剤治療を行う目的は、どこかに潜んでいる可能性のある微小転移を根絶させることです。また、転移や再発が認められた場合にも、がんの進行を抑え、症状を和らげる目的で薬物治療を行います。
乳がんには様々なサブタイプ(生物学的特性)があり、また病状や病期によっても治療法が異なります。

ホルモン療法(内分泌療法)
乳がんの約7割は、エストロゲン(女性ホルモン)を栄養として増殖するホルモン受容体陽性乳がんです。ホルモン療法薬は、体内のエストロゲンの量を減らすことや、がん細胞がエストロゲンを取り込むことをブロックすることで、がんの増殖を抑えます。ホルモン療法は、閉経後ホルモン受容体陽性のがん患者さんの手術後の初期治療として行うことで、転移や再発を約半分に減らすことが分かっています。
ホルモン受容体陽性で転移再発がみられる患者さんには、腫瘍内のエストロゲン受容体を減少させるフルベストラントをホルモン療法と併用します。また、分子標的治療薬であるエベロリムス、アベマシクリブ、パルボシクリブをホルモン療法と組み合わせて使用することがあります。

化学療法(抗がん剤)
再発リスクが高い乳がんには化学療法を行うことがあります。乳がんは術前や術後(周術期)に抗がん剤を何種類か同時に使用することで、効果が最大になることが臨床研究で明らかになっています。具体的には、AC療法(ドキソルビシン+シクロフォスファミド)に、タキサン系薬剤(パクリタキセル、またはドセタキセル)を追加することで再発予防効果が上乗せされます。また、TC療法(ドセタキセル+シクロフォスファミド)も行われることがあります。
抗がん剤は全身の正常細胞にも影響を与えるため、吐き気、脱毛、骨髄抑制などの副作用が起こることがあります。副作用の程度は薬剤によって異なり、個人差もあるため、治療の目的と副作用のバランスを考慮しながら行うことが必要です。
また当科では、抗がん剤の副作用である脱毛を予防するために、自費診療でPAXMAN®(頭部冷却装置)を導入しています。

分子標的治療薬
がん細胞は、正常細胞と異なり際限なく増殖し続けますが、増殖するために必要な特有のタンパクを持っていることがあります。このタンパクを狙い撃ちする治療薬を分子標的治療薬と呼びます。乳がんの約20%はHER2(ハーツー)タンパクを発現しており、HER2から刺激が入ることでがん細胞が増殖します。抗HER2薬であるトラスツズマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、トラスツズマブデルクステカンは、HER2タンパクに結合することで、HER2タンパクの働きを阻害しがん細胞の増殖を抑える薬です。トラスツズマブやペルツズマブ、トラスツズマブエムタンシンを術前術後に使用する場合は、全体で1年間投与します。抗がん剤と組み合わせたり、他の抗HER2薬を投与することもあります。トラスツズマブデルクステカンは「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がん」に適応があり、2023年3月よりHER2低発現にも適応が拡大されました。
その他の分子標的治療薬としては、ベバシズマブ、パルボシクリブ、アベマシクリブ、エベロリムスなどがあります。
BRCA1またはBRCA2遺伝子に変異がある遺伝性乳がん卵巣がん症候群と診断された方で、がん化学療法歴のあるHER2陰性の転移再発乳がんの薬物療法、および再発のリスクの高いHER2陰性乳がんの術後薬物療法として、PARP阻害剤であるオラパリブの効果が認められています。
また、がんを攻撃する免疫シグナルをコントロールする分子標的治療薬として、抗PD-L1阻害剤であるアテゾリズマブやペムブロリズマブがPD-L1陽性の転移再発トリプルネガティブ乳がんで適応となっています。また、ペムブロリズマブは再発リスクの高いトリプルネガティブ乳がんの術前化学療法で使用される事があります。

お問い合わせ

乳腺センター外来受診に関するお問い合わせは、089-960-5968までお願いいたします。

受付時間:8時30分~17時15分(病院休診日以外)