発達障がいは生まれつきの特性で、「病気」とは異なります。発達障がいはいくつかのタイプに分かれていますが、いずれも脳の一部の機能に障害があるという点が共通しています。また、発達障がいのタイプは、「発達障害者支援法」による分類と、医療機関でよく使われる「ICD-10」や「DSM-5」などの診断基準で分類されますが、使われる障がい名がそれぞれ違います。対比表を示します。

発達障がいのタイプ別の対比表。詳しくはハンドブックをご覧ください。

ICD-10の基準ではAD/HDやLDは発達障がいに分類されていないため、医療現場ではDSM-5の基準が使われることが多く、このサイトでも基本的にDSM-5で説明をしていきます。

それぞれの発達障がいについて

こちらではそれぞれの発達障がいについて、わかりやすくまとめています。

自閉スペクトラム症(Autism spectrum disorder: ASD)

主な特徴

  • コミュニケーションが苦手

言葉によるコミュニケーションが苦手で、言葉の裏にある意味をくみとるのが難しかったり、自分の気持ちを伝えることが苦手だったりします。目を合わせない、身振り手振りが少ない、体にふれる、など言葉を介さないコミュニケーションも苦手です。

  • こだわりや興味の偏りがある

同じことを繰り返したり、固定した趣味や異常に熱中することがあります。予定が変わるとパニックになってしまうこともあります。味覚や聴覚など感覚刺激に過敏であることもあります。

上記のような特徴があります。

また、ASDの対人関係の問題は「孤立型」「受け身型」「積極奇異型」といった3パターンで特徴づけられることもあります。

ASDの対人関係の問題パターン別の対比表。詳しくはハンドブックをご覧ください。

.注意欠如多動症(Attention-deficit hyperactivity disorder: ADHD)12歳以前から、学校と家庭など複数の場面で「不注意」「多動性」「衝動性」が認められます。「不注意」学業のミス、課題や遊びに集中しない、注意が持続しない、一部のことに過剰に集中する、話しかけられていても聞いていない、学業や用事をやり遂げられない、順序立てて行うのが苦手、忍耐を要することを避ける、なくしものが多い、忘れ物が多い、などがあります。「多動性・衝動性」手足をそわそわ動かす、席からすぐに離れる、走り回る,高いところに登る、静かに遊べない、じっとしていない、おしゃべり、相手の話を聞かずに話す、話に割り込む、順番を待てない、などの特徴があります。限局性学習症(Learning disorder: LD)LDは読み書き能力や計算力などの算数機能に関する、特異的な発達障がいのひとつです。全般的な知的発達に遅れはないですが、聞いたり話したり、推論したりする力などの能力の障がいを指し、「読み書きの障がい」「計算能力などの障がい」などがあります。小児期に生じる特異的な読み書き障がいは発達性ディスレクシアとして知られ、知的な遅れや視聴覚障がいがなく充分な教育歴と本人の努力がみられるにもかかわらず、知的能力から期待される読字能力を獲得することに困難がある状態、と定義されます。知的発達症(Intellectual disability: ID)IDは概念的(読み書きや数学、論理的思考、知識や問題解決)、社会的(対人コミュニケーション、社会的判断、自己制御)、実用的な領域(金銭管理、行動の管理)における知的機能と適応機能両面の欠陥を含む、発達期の間に生じる障がいです。知的障害という名称が一般的に使われており、発達障害者支援法には含まれず、知的障害者福祉法にて定義されます。診断は知能検査によって確かめることが多く、そのほか、学校や家庭、職場などでのコミュニケーション、社会参加、自立した生活といった日常生活活動における機能を評価して診断されます。