学生の皆さまへ

医学部生・医学研究コースの皆さまへ
 わたしたちの講座は、医学科1年生の細胞生物学と医学研究コースを担当してい
ます。講座の理念として、「医療の現場で感じた疑問を科学的に解決し臨床に還元
できる研究医― Physician Scientist-の育成」を掲げています。近年の急速な医学
研究の発展に伴い、現在の医学部生は、これからの医師としての人生の中で様々な
変化を体験することと思います。そのような変化にしっかりと対応するためには、
学部生の段階で、しっかりとした基礎力を獲得し、リサーチマインドを育むことが
重要と考えています。ここでいう基礎力とは単なる教科書的な知識ではなく、医師
や研究者にとっての重要な力のひとつという意味です。例えば、わたしたちが担当
する細胞生物学(講義では生化学や分子遺伝学を扱います)は、生命・医学領域に
おける共通の言語を学ぶ土台になる科目です。そのため、他の基礎領域や臨床領域
にとっても大切で、医学部生としての第一歩をスムーズに踏み出すためにもとても
重要です。教科書的な知識を積み込むことも大事なのですが、それ以上に、教科書
の内容を論理的に理解していくことが大切です。このような論理的思考力は、将来
医師になった時にも必ず役に立つ力になるはずです。

  医学研究コースは、現役の研究者とマンツーマンの環境で研究に触れ、自ら学び、
礎研究の重要性と魅力、そして身近な存在であることを知ってもらう貴重な機会
です。医学研究コースを通じて、教科書には書かれていないリサーチマインドや科
学的思考力、探求心をはぐくみ、学際的な視野を広げてもらいたいと思います。これまでの受験勉強などとは異なり、大学の講座では学問を作り上げていく仕事をしています。教科書を理解し、過去の研究成果を知ることはもちろんのこと、より重要なことは、自ら問題を見出し、の解決策を導くことで、誰もが知らなかった領域に切り込んでいくことになるのです。そして、その成果が教科書に載る日がやってくるかもしれません。ただ、研究は思い通りに進まないことも多く、忍耐力が要求されます。しかし、どんな小さなことでも、自分が世界で最初の発見者になる喜びはかけがえのないものです。自ら研究し、学会や論文で成果を発表してみませんか?是非、大学における自分の目的や、その先の将来像を描いてもらい、一緒に学問や研究をすすめていければ嬉しく思います。

大学院生の皆さま、研究者を志す皆さまへ
 大学院では、独自にテーマを探索し新たな概念を創出できる研究医・研究者の育成を理念としています。そのためには、①科学的疑問を明確にし、②自由な発想に基づいた研究をすすめ、③論理的な議論と考察を重ね、④獲得した医学的知見を発信する、というステップを基本としますが、なによりも困難でチャレンジングな研究を最後まで成し遂げる力の獲得が重要で、それが世界に通用する人材として次のステップへと踏み出すことにつながると信じています。
 大学院は様々な背景をもつ人が集まる場でもあります。そこでは、人生でかけがえのない仲間をみつけ、あるいは卒後に原点回帰できる場になることもあるでしょう。現在の科学の世界では、学際性(様々な領域の学術的視点・手法)や国際性がとても重要になっています。このような点からも、テーマ・期間等問わず、あらゆる分野の学生や人材を受け入れていきたいと思っています。そして可能な限り国際経験を積んで欲しいと思います。私たちの講座は、臨床の現場で得た疑問に対して基礎研究を行い、その成果を臨床に還元することを目指しています。皆さんが感じている疑問は、わたしたちが行っている研究テーマとはかけ離れているかもしれません。しかし、そこに学術的融合が発生し、まったく新しいことを発見する可能性が秘められています。基礎研究を体験することは、臨床にも役に立つことが多いと思います。まずはお話だけでも結構ですので、気軽に見学にお越しください。世界に羽ばたく研究医・研究者がわたしたちの講座・愛媛大学から巣立つことを願っています。