教授からのご挨拶
われわれの教室は、神経精神医学講座として昭和50(1975)年4月に開講し、翌昭和51(1976)年10月の医学部附属病院開院とともに診療科として立ち上がりました。愛媛大学医学部の理念「患者から学び、患者に還元する教育・研究・医療」のもと、精神疾患を持つ患者の視点に立ち情報を得、状態について様々な手法で解析し、診療に活かす知識の獲得を目指すべく、愛媛県で唯一の医育機関として教室員一同一丸となって日々研鑽しています(講座改変により平成25年より「精神神経科学」と改称し、平成21年から診療科は「精神科」と呼称変更しています)。
診療では、精神科全般の外来・入院治療の他、子どものこころセンター、認知症疾患医療センターなどの専門外来を開設しています。総合病院として合併症を伴う精神疾患治療は当然として、他診療科とのリエゾン精神医療、緩和ケア医療、痛みセンターにも関わっています。精神科特殊治療では、クロザピンなど最新の薬物療法や新規薬物の治験、修正型電気けいれん療法などの身体療法、認知行動療法などの精神療法、作業療法などリハビリテーション療法を適宜行っています。
教育では、神経科学・神経心理学の基礎から精神神経疾患について講義・演習・実習を通した医学教育に携わっています。卒後教育では、医師として基盤となる初期研修医に対する精神科研修、精神科医を目指す後期研修医には専門医として巣立つための研修に力を注いでいます。精神医学は、医療者として最低限、身に着けなければならない基礎医学であり、生涯教育としても重要と考えています。そのため、定期的な勉強会に加え、国内外から講師を招き講演会を開催しています。
研究では、自由な研究をモットーに、研究範囲に束縛されない独創性に富んだ研究活動をこれまで行ってきました。研究分野では、初代教授柿本泰男先生から引き継がれた神経化学的解析、二代教授田邉敬貴先生によって組み入れられた症候学と画像解析に、児童思春期精神医学を加え3つの柱としていますが、研究分野を越え相互に交流しながら行う多角的研究は、国際的にも高く評価されています。
医学の発展に伴い、精神神経科学分野で扱う疾病やその理解、治療も大きく変わってきています。これからは、予防の概念を取り入れた体制をさらに充実する必要があるでしょう。われわれは、愛媛から世界に発信する精神医療を目標に、努力を積み重ねています。
このホームページをご覧になると、医学生、大学院生、精神科医の他、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士、作業療法士、その他教室のメンバーが、それぞれやりがいを感じて活動しているのがご覧になれると思います。ぜひ、ご覧になる方々が、われわれの教室について、少しでも興味を持っていただければ幸いです。