教育・研修

教育・研修

初期研修

ローテーターの皆さんへ

現在の卒後臨床研修制度では否応なく最低1カ月の精神科研修が必修とされています。これはどの科の医師になっても必要とされる他科の研修では習得しがたい研修項目がたくさん含まれているからです。
一般に、患者は体調不良を自覚し、治療を希望して来院されます。しかし、精神疾患を持った患者の場合、自身が病的な状態で治療が必要であることを自覚されていなかったり、不調を自覚されていても、どこがどのように、どの程度障害されているのか客観的にイメージすることが困難であったりすることは珍しくありません。そのため、一般的な問診や説明が受け入れられ難いことがあり、「精神科はわからない」「どう対応してよいのかわからない」と他科の先生方から伺うことがあります。

そのような場合の対応として、まず行うべきことは「丁寧に患者の訴えを聞き、丁寧に説明する」というごく当たり前のことを当たり前にすることです。訴えを丁寧に聞くことは精神科診察では特に重要で(傾聴と言います)、そういった習慣を会得する絶好の機会となることと思います。
また、精神症状はなにも精神科においてのみ観察されるものではありません。
精神疾患を持つ患者が身体疾患を合併することは当然ありますし、周産期や周術期など精神症状を呈しやすい環境が病院内には多数あります。
そもそも、病院を受診する患者はなにかしらの不安を感じておられ、全人的な医療を行う上で、その不安を汲み取る作業を無視することはできません。
今や社会問題となっているCommon diseaseとしてのうつ病や認知症の診察技術も全ての医師に必須と言えます。

加えて、精神科臨床の上で重要なポイントの一つに、精神に影響を与える要因の精査を行うことがあります。頭蓋内器質性病変、内科的身体疾患や内服薬による認知機能低下などの除外のため、詳しい問診や血液検査、神経学的検査、頭部形態画像、機能画像、胸腹部X線検査、脳波検査などの検査所見を正確に評価する技術も要求されます。
当科では大学病院の精神科という位置づけから統合失調症やうつ病、不安障害、身体疾患に伴う症状精神病といった一般的な精神疾患はもとより、専門的な認知症の高次脳機能の評価や、広汎性発達障害や高機能自閉症、Asperger症候群、AD/HDといった社会的関心が高い児童思春期特有の障害についてもそれぞれの分野の専門医、認定医、指導医が病棟、外来、リエゾンの場で診察、治療技術の実際をレクチャーします。また、要望に応じては認知症の神経心理学的検査、評価の実際や遺伝子研究からの精神症状へのアプローチする方法論などを学ぶ機会があります。
診察場面のみならず、精神障害を持つ患者の生活の支援のため様々な職種と連携を取り、オーガナイザーとしての医師の役割を経験することも今後のキャリアに深みを与えてくれることと思います。

必ず医師としての成長の一助となる研修ができますので皆さん奮っておいで下さい。

週間予定

曜日 午前 午後
外来勤務・病棟勤務 病棟勤務・教授回診
外来勤務・病棟勤務 病棟勤務・外来勤務・レクリエーション・作業療法
外来勤務・病棟勤務 病棟勤務・外来勤務・レクリエーション・作業療法・講義
外来勤務・病棟勤務 病棟勤務・外来勤務・レクリエーション・作業療法
外来勤務・病棟勤務 病棟勤務・外来勤務・レクリエーション・作業療法・医局会

外来勤務

筆記係として外来担当医の診療に同席します。また、初回受診患者の現病歴や、生活歴などを聴取します。患者の症状やご本人、ご家族のニーズを的確に捉え、多角的に治療方針を計画する技術を学べます。また、他科とのリエゾンに同伴し、主たる疾患の治療と精神症状の治療と依頼元の主治医と相談し、治療の優先順位を決めたり、薬物を選択したりする上で必要な知識を身につけることができます。

病棟勤務

副主治医として実際に患者の診察を行います。薬物療法も含めた治療方針を主治医とともに計画します。患者の訴えを丁寧に聞き、症状だけでなく患者の個人的な背景も考慮しながら一人一人に応じた治療を行えるよう指導します。

レクリエーション・作業療法

入院患者の病棟外での活動を観察し、カンファレンスを行い問題点や治療効果などをディスカッションします。診察場面だけでは見えない患者の症状や、個性を観察できる機会です。

講義

統合失調症、うつ病、認知症、精神科救急と精神保健福祉について講義を行います。それぞれの歴史や現在最新の知見を含め、患者の症状をより深く観察、理解できるようにします。

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