研修医の一次・二次救急研修報告「未来も見据えて診療を」
アイプログラム(愛媛大学医学部附属病院を中心とした研修プログラム)では、救急研修の一環として、大学病院に隣接する愛媛医療センターで研修医が一次・二次救急の診療にも当たっております。熊木天児センター長が指導医として同行することもあり、センター長から与えられたお題に応えるように、研修医の皆さんに経験談をレポートして頂きました。どの研修医も学びに繋がるしっかりとした研修を受けております。
第2弾でご紹介するのは、未来を見据えて診療にあたる必要性を学べたという経験です。4日連続で投稿していきますので、ぜひご確認ください。
「未来も見据えて診療を」(2年目研修医 B先生)
私は右上肢、顔面右半分の脱力を主訴に来院された50代男性を診察しました。健診で高血圧と脂質異常の指摘を受けていましたが、未治療でした。夕食時に右上肢と顔面右半分の脱力が出現し受診されました。来院時には意識清明で、症状は改善傾向にありましたが、右上下肢にMMT 3-/V程度の筋力低下がみられ、自覚的な脱力感も残存していました。
TIAや脳梗塞を鑑別とし、頭部単純MRIを撮影しましたが、急性期脳梗塞所見や明らかな血管狭窄像はみられませんでした。症状は徐々に改善しておりましたが、経過観察の目的で翌日近医の脳神経科へ紹介受診する予定で帰宅の方針となりました。
センター長より、今回の検査で明らかな所見がみられない場合でも、症状の残存やリスク因子を考慮し、再評価と基礎疾患の管理が必要であると指導されました。救急といえども、その場限りでなく、今後の発症の予防も考えて対応することの重要性を学びました。
センター長からのコメント
救急診療で出会う患者さんは、その場限りで二度と診察することのない方がほとんどです。しかし、その限られた1回の短い時間であっても最大限の医療を提供したいですよね。その点、未治療の患者さんやリスク因子を有する患者さんをかかりつけ医へバトンタッチするのも救急診療を担当する医師の役割だと思っております。時間的余裕のある場合には紹介状を作成し、余裕のないときはメモだけでも良いので渡すようにして下さい。