研修医の一次・二次救急研修報告「感染動向に目を向ける」
アイプログラム(愛媛大学医学部附属病院を中心とした研修プログラム)では、救急研修の一環として、大学病院に隣接する愛媛医療センターで研修医が一次・二次救急の診療にも当たっております。熊木天児センター長が指導医として同行することもあり、センター長から与えられたお題に応えるように、研修医の皆さんに経験談をレポートして頂きました。どの研修医も学びに繋がるしっかりとした研修を受けております。
本日は第3弾!感染動向に目を向けることの大切さを感じたという研修医の経験です。3日連続の救急研修報告も本日で最後となりました。またの機会にレポートしたいと思います。最後まで、読んで頂きありがとうございました。これからも定期的に研修報告を行っていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
D先生(2年目研修医):感染動向に目を向ける
私は一過性の意識消失後に単独の交通事故を起こした50代男性を診察しました。幸い、明らかな骨折などの外傷はなく、意識消失の原因精査を行いました。来院時、発熱はありませんでしたが、前日に咽頭痛あり、朝37度台の微熱があったことを聴取できました。
また、家族も熱はないものの数日前咽頭痛があったとわかりました。最近再度COVID-19が流行していると囁かれ始めていたことから、事前確率は高いと判断しコロナ抗原検査を実施したところ陽性の結果となりました。他、意識消失の原因となりうるものを画像検査や血液検査で除外し、最終判断としてはCOVID-19による発熱由来の一過性意識消失の可能性を考えました。
たとえ来院時に感染症を疑うような症状や身体所見に乏しくても丁寧な問診が診断の一助となり、そのためには流行中の感染症に気を配ることが重要であるとわかりました。
センター長からのコメント
1年目研修医の指導も兼ねながらのお見事な診療でした!感染症の流行を把握しておくことは本当に大切ですよね。特にCOVID-19の動向は地域ごとで異なるのでアンテナを張っておく必要がありますね。COVID-19の特徴がまだ判然としない流行初期の頃、転倒による外傷のため救急搬送されてきた患者さんが後になってCOVID-19と診断されたなんてこともありました。おそらく一過性意識消失があったのだと思います。感染拡大をさせないためにも見逃さないことが重要ですね。