センター長あいさつ

 令和元年7月1日付けで初代の日浅陽一先生に代わり、肝疾患診療相談センター長を拝命いたしました。
 愛媛大学医学部附属病院が愛媛県より肝疾患診療連携拠点病院の指定を受け、当センターが開設されてから10年が経過しました。この間に、C型肝炎に対する治療はインターフェロンから経口薬に代わり、多くの方がウイルスを排除することができるようになりました。肝がんで亡くなる方も全国的には減少傾向にあります。B型肝炎やC型肝炎に対する対策が進んできたことが一因と考えられます。ただ、脂肪肝炎やアルコールを原因とする肝がんは増えています。愛媛県内に目を向けると、肝がんの死亡率が高い状況が続いています。特に75歳未満の年齢調整死亡率は全国ワースト5以内が続いており、喫緊の問題です。
 肝がんを減らすために、当センターでは愛媛県と協力して様々な活動を行ってきました。世界・日本肝炎デー(7月28日)、肝臓週間の時期に街頭キャンペーンやライトアップを行い、各種健康イベントなどで無料肝炎ウイルス検査と肝臓に関する相談を受けています。また、県民の皆様のそばで、肝炎に関する情報提供やサポートを行うことができる「愛媛県肝炎医療コーディネーター」について、愛媛県から委託を受けて養成やスキルアップの研修会を開催しています。
 肝疾患、肝がんの通院・治療と仕事をいかに両立させるかも、患者さんにとっては大きな問題です。当センターは、愛媛県社会保険労務士会の協力のもと、社会保険労務士が肝疾患に関する就労・両立相談を実施しています。この取組みは全国トップクラスの実績をあげています。当院以外に通院中の患者さん、ご家族の方も無料(要予約)で受けることができます。
 まだ、肝炎ウイルスの検査をしていない、陽性だけれども体調がいいので受診しないといった方もまだまだ多いと予想されます。愛媛県内の保健師や医療関係者、肝炎医療コーディネーターともタッグを組んで、一人でも多くの方を受検から受診・受療、さらには治療後のフォローアップまで適切に導くことで、肝がんを減らし、皆様の悩みを解消できるよう努力していきたいと思います。
 このような肝疾患診療連携拠点病院の活動について、ご指導・ご協力のほど何卒よろしくお願いいたします。

 

 

愛媛大学医学部附属病院
肝疾患診療相談センター長
徳本 良雄