新教授就任挨拶

ご挨拶

教授

教授 西原佑

 2024年4月より、愛媛大学大学院医学系研究科 麻酔・周術期学講座の五代目教授に就任いたしました。当教室は1976年から初代教授横田晃和先生、二代目教授新井達潤先生、三代目教授長櫓巧先生、四代目教授萬家俊博先生らの指導により発展してまいりました。この歴史ある教室の舵を取らせていただく重責を感じております。

 麻酔科学は、手術中の患者さんの生命を維持するために外科から派生した学問であり、当時は外科医の中でその日の手術の麻酔を担当する医師という意味で“麻酔医”という言葉が使われておりました。しかしながら、手術医療の発展とともに、50年前では麻酔および手術は困難であったであろう疾患に対する手術や、重篤な併存症を持つ患者さんの手術が出来るようになってきており、また、手術自体の高度化に伴って、麻酔の難度も日々上がってきております。その為、現在では手術中の管理だけに留まらず、術前および術後管理を含む周術期において細やかな全身管理が必要となってきており、麻酔を専従とする“麻酔科医”が強く求められる時代となっています。また、麻酔科医が有する、手術中の患者さんの生命を守るために必要な全身管理の知識や技術は、集中治療やペインクリニックなどの分野でも活かすことができ、麻酔科医が活躍する領域はどんどんと広がってまいりました。各領域において、世界に通じるスペシャリストを育成していくことが当教室の使命でございます。

 現在、愛媛県内において手術麻酔・集中治療・ペインクリニックに従事する麻酔科医は徐々に増えてきてはおりますが、それ以上に手術需要が増えていることによって、相対的にはまだまだ麻酔科医は足りていないのが現状でございます。愛媛県内では東・中・南予それぞれの中核病院を中心に、我々の教室員が活躍しておりますが、今後もますますその需要は増すばかりであります。  愛媛県において一人でも多くの患者さんに最高水準の医療を提供することが出来るよう、豊富な知識、確かな技術、細やかな危機管理能力、そして柔軟な対応力を持った臨床医の育成を目指すと同時に、さらなる麻酔科学の発展に寄与し、日本や世界の医療に貢献できる研究医の育成にも努めてまいります。今後もどうぞよろしくお願いいたします。

2024年4月
愛媛大学大学院医学系研究科 麻酔・周術期学講座 教授
西原 佑