教室案内

概要

講座名称 愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻病因・病態領域 麻酔・周術期学講座
所在地 〒791-0295  愛媛県 東温市志津川
開講 1976年
TEL/FAX TEL:089-960-5383 / FAX:089-960-5386

教室のあゆみ

開講初期の医局員

開講初期の医局員

昭和51(1976)年4月に麻酔学教室として開講し、横田晃和先生が初代教授に就任した。同年10月に附属病院が開院し、麻酔科の診療も開始された。昭和54(1979)年より卒業生が輩出され、少しずつ入局者が増え、教室としての基礎が固まった。昭和63(1988)年10月には新井達潤先生が第2代教授に就任し、平成4(1992)年4月には麻酔・蘇生学講座(教室)と改称した。また、この頃から他大学卒業で愛媛県出身の入局者も増え始め、手術麻酔、集中治療、ペインクリニックなどの臨床業務が活発となり、研究面でも多くの成果を上げることができるようになった。平成10(1998)年に新井教授が会長として第18回日本臨床麻酔学会総会を主催し、平成17(2005)年には日本麻酔科学会第52回学術集会も主催した。平成18(2006)年4月から、医学部の大学院重点化実施に伴い、大学院医学系研究科医学専攻高次機能統御部門臓器機能制御医学講座生体機能管理学分野に改称した。平成18(2006)10月に長櫓巧先生が第3代教授に就任し、平成23(2011)年には、長櫓教授の専門であるペインクリニック学領域の学会である日本ペインクリニック学会第45回大会を主催した。平成25(2013)年4月に講座名を生体機能管理学から麻酔・周術期学へ変更した。平成27(2015)年に萬家俊博先生が第4代教授に就任し、現在に至っている。

教室の現状

当教室は、開講以来、麻酔・集中治療・ペインクリニックに関連する分野の研究を行うとともに、愛媛県の麻酔科診療の中心を担ってきた。
現在では、愛媛県内の主要な基幹病院の麻酔科は、当教室からの派遣もしくは同門会(あおばの会)に所属する麻酔科医師が大方を占めている。ただ、地方の医師不足、麻酔科医不足は愛媛県でも例外ではなく、定員を満たせていない病院が多々あり、また、1人の常勤医の奮闘により支えざるを得ない地域基幹病院もある。新研修制度の影響でその後入局者が少なく、危機感を抱いた時期もあるが、この数年は着実に入局者が増え、滞っていた研究面も活性化してきている。今後は、研究面の充実とともに、地域の麻酔科診療に貢献できるよう努めていく。

臨床

手術室やカテーテル検査等の麻酔、ペインクリニックと緩和ケア、集中治療が3つの柱である。

1.麻酔

手術部には13室の手術室があり、年間手術件数は約5,900件で,そのうち麻酔科管理症例は約4,400件ある。各種内視鏡下手術の他、心臓血管外科(補助人工心臓植込や先天性心疾患含む)、生体肝移植、ロボット支援下手術など幅広い手術の麻酔研修が可能である。平成20(2008)年4月には循環器病センターが設置され、小児心臓血管外科症例や小児先天性心疾患のインターベンションに対する麻酔管理が増加している。

2.ペインクリニックと緩和ケア

平成17(2005)年に痛みセンターが設置され、他の診療科の医師と協力して,難治性の痛みの治療を行っている。また、平成19(2007)年に緩和ケアセンターが設立され、各診療科と連携してがんの痛みの治療の中心的役割を担っている。

3.集中治療

集中治療部は8床を有し、当教室の3名の医師が専従し、また講座に所属する医師全員がサポートする体制で運営している。主に外科手術後の患者を対象に人工呼吸や血液浄化、補助循環などの集中治療を行っている。

教育

学生教育は4年生に対する講義と5、6年生に対する臨床実習を担当している。5年生への臨床実習と6年生へのクリニカルクラークシップ(選択制)においては,きめ細やかなプログラムを設定し、指導にあたっており、学生から好評を得ている。初期研修では、麻酔科を選択した研修医に対し、麻酔診療研修を通して呼吸管理と循環管理に関する知識と技能が得られるように指導が行われている。平成23(2011)年からは、高機能シミュレータという人体の呼吸循環に関する生理的な反応を再現できるマネキンを用いて,全身麻酔の手技トレーニングや人工呼吸中の異常事態に対する対応トレーニングなどを行っており,研修医や学生に好評である。

研究

主な研究実績内容

  1. 脳虚血障害に関連した薬理学的研究
  2. 心筋に対するプレコンディショニング作用に関連した研究
  3. 神経障害痛治療に関する臨床研究
  4. 線維筋痛症治療に関する臨床研究
  5. 経皮的コルドトミーに関する研究

現在の研究内容

基礎研究

  • 神経因性痛における脊髄マイクログリアの活性化とその分子メカニズム
  • 一酸化炭素中毒後遅発性脳症における活性型マイクログリアの関与および低酸素性脳障害との差異

臨床研究

  • ロボット支援前立腺全摘術中の眼圧変化と視機能に及ぼす影響についての検討
  • 分離肺換気による肺再灌流障害に対してデクスメデトミジンが及ぼす効果の検討

将来の展望

今後、麻酔科診療の柱である麻酔、ペインクリニック、集中治療をまんべんなく研修し、幅広い知識と着実なスキルを身につけたバランスのとれた麻酔科医を育成できる教育システムを再構築し、また、それぞれの部門での臨床研究、臨床的課題の解決を目指す基礎研究を推進して、医療、医学の発展に貢献できる人材を育成したいと考えている。 (文責:萬家俊博)