野元先生雑感

2018年10月09日

寒露(かんろ)今治地区について 10月8日

10月8日 寒露 

今年の夏は暑く、また、雨が激しく洪水となった。知り合いの方にも被害に合われた方が多かった。お見舞いを申し上げる。10月になり、ようやく涼しくなり、また、急に冷える朝も出てきた。今年は早い時期からインフルエンザも報告されている。感染症に罹ると病院への出勤を控えるように指導しているが、代わりのスタッフを確保できないときも多い。健康管理には充分に配慮してほしい。

 

今治地区について

 平成30年10月から、済生会今治病院へ赴任している。松山は江戸時代と明治時代の歴史が街にあふれており、豊かな時間の流れを感じるが、今治は時代を追いかける活動を感じる。小学校で瀬戸内工業地帯を勉強したが、中学校では社会(地理)で今治の造船業が取り上げられていた。最近ではサッカーやブランド化に成功した今治タオル、さらに獣医学部が話題になっている。先日学会で札幌へ行き、北海道大学の先生を訪問したが、JR札幌駅の構内に立派な今治タオルの専門店があったので、タオルをお土産にしたところ、とても喜ばれた。来島海峡のサイクリングも人気で、多くのサイクリストに出会う。また、海峡の見えるお洒落なレストランも人気である。ゆるキャラのバリィさんも一位を獲得しており、今治地区の開発精神の旺盛さを感じる。聞くところによると、月賦販売も今治が発祥の地であるいう。 

 診療時には患者さんの毎日の生活をうかがい運動を勧めるようにしているが、70歳を過ぎても現役で働いている方が多い。造船やタオル、住友関連会社での業務や農業が主である。そのため次回の予約を調整するときに仕事を休めないことも多く、必ずしも受診は同じ間隔とならない。生涯現役時代の参考となる地区であろう。

 医師は転勤の多い職種に入る。今年の国会で医師法が改正され、医師の少ない地域への赴任をキャリアとして評価する制度ができた。転勤して新しい街や職場に慣れるのは大変と思うが、その分、いろいろな医療機関で働くと仕事の幅や業務の知識が豊かになる。そのことがキャリアとしても評価されるとすれば、ありがたい制度と考えてよい。私は要請があると希望して島嶼部に赴任していた。研修医、医員の時代は赴任の事務手続きが容易なこともあり、採用されて屋久島と奄美大島の診療所へ赴任した。慢性、救急ともに全科の疾患に対応し、勉強する機会が得られた。また、魚は苦手であるが、その日に採れた魚はとてもおいしく、本土では食べることはできない食材を楽しめた。

 是非いろいろな地域へ赴任して、知識と経験を広げてほしい。すべての経験は自分の成長の糧となるので。