野元先生雑感

2018年02月22日

雨水(うすい)眩暈 2月19日

2月19日 雨水

今年の冬は気温の下がる日が多かった。インフルエンザで勤務できなかった諸君も多かったと思う。今週までで、来週からは、平年並みとなるらしい。

 

眩暈

めまいを主訴としての診療、あるいは、相談をうけることが多いと思う。どの診療科でも、しばしば、見られる症状である。

めまいには、大きく分けて2通りあり、回転感を伴うものと、浮遊感を主とするものである。両方を伴うことも少なくない。回転感を伴うときは,起立することは難しくなり、勤務や家事はできず、トイレ以外は横にならざるを得ない。トイレもつかまって、あるいは、這ってようやく行ける。一方浮遊感は、歩けるが、どうもしっくりしない、うかうかする、雲の上、あるいは、厚い絨毯の上を歩いているようで、不安定感を感じるものである。一般に、中年以降に起こるめまいは、圧倒的に後者が多い。脳梗塞や脳出血の後遺症としても多く、慢性の脳虚血でもよく見られる。起立性低血圧や不整脈、時に低血糖でもみられる。しかし、診察しても、検査しても特別な疾患は見つからないことが多い。同様のことは、四肢のしびれ感でも見られる。めまい感としびれ感のために何回も医療機関を受診し、診察と検査を繰り返している方も少なくない。私は、加齢に伴う末梢神経の変化と説明している。

四肢の振動覚は20歳代では15秒から20秒程度であるが、特別の障害はなくても70歳ころには10秒前後となる。同様に味覚を担当する味蕾の数は小児期の半分以下となる。確かに、苦みや甘みは子供の時が強く感じたと思う。めまい感も第8脳神経の加齢と考えれば理解できる。ただ、バランスを保つ機能は低下するので、転倒には注意が必要である。階段は必ず手すりを持つか、手すりの脇を降りるように勧めている。

誰でも思いは20歳代であるが体は、同じようではない。体を、自分自身をいたわって、怪我無く、100歳まで過ごしましょうと勧めている。

夜明けの石鎚山(11号線から)